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五感を感じる~一瞬で人の心を癒す香りの効用

昨年、
主人は、
心の風邪をひきました。

ただ…
いつかこうなることは
分かっていました。

数年前から
不眠の症状は続いていて、
眠るために
お酒は欠かせませんでした。

お酒の力を借りて
眠りについても
夜中に目が醒め
その後眠れなくなる
ということが
しょっちゅうありました。

何年か前のある朝のこと。

「昨日からずっと
動悸がおさまらない。
今日は仕事を休んで、
家で一日ゆっくりする」

と主人。

動悸って…。

その日仕事だった私は
もしものことがあったらと
心配でたまりませんでした。

「お願い、今日こそは
病院に行って診てもらって!」

何度も念を押し
不安なまま
仕事に向かいました。

仕事に行ってからも
ずっと、主人のことが
気懸かりでした。

ちゃんと病院に行ったかな…

心配になって
メールをしました。

程なく
『行って来ました』
の返信に
心からほっとしました。

家に帰ると
意外にも
主人は穏やかな表情でした。

「一日ゆっくりしたら良くなった」

笑顔でそう話してくれました。

病院から
薬は処方されたけれど
飲みたくないし、
心理テストのようなものを
渡されたけれど
それも受けたくないと。

それから、
こんなことを聞かれました。

「マスクに何か付けてた?」と。

私は、
その頃幼稚園で
パートのお仕事を
していたのですが
ちょうどインフルエンザや
風邪の時期だったこともあり
自身の予防のために
マスクに
抗菌作用のあるアロマを
数滴垂らしていました。

その日は
レモンティートゥリーを
付けてみたのですが、
想像していたよりも
オイルの色が濃くて
マスクに
うっすら黄色いシミが
付いてしまったため、
別のマスクに変え、
アロマも色が付きにくいものに
変えました。

そして、
レモンティートゥリーの
シミが付いてしまった
そのマスクは
ダイニングテーブルに
置いて行きました。

何も知らない主人は、
私がマスクを準備してくれたと
思ったようで
シミに気が付かずに
それを付けて
病院に行ったらしいのです。

「あぁ、あれね。
レモンティートゥリー」

「マスクをしてたら
凄く気分が落ち着いてさ…」

どうやら、
この日の主人に、
レモンティートゥリーが
かなり効いたようなのです。

主人は、
その頃はまだ
診療内科への受診や投薬に
強い抵抗がありました。

その日は
私のお願いで
渋々病院には行ったものの、
今後治療を続けるつもりも
薬を服用する気も
全くないようでした。

ただ、
その日から
自分の好きな香りを
身に付けるように
なりました。

アロマは 
その後しばらく
主人にとって
心の安定剤のような
役割を果たしてくれていた
ように思いますす。

この主人の一件から数日後
こんなこともありました。

「今から少しだけ園に来れる?」

勤めていた幼稚園から
突然打ち合わせの連絡が入り、
私は急きょ
幼稚園を訪れました。

私が上司の隣に座ると
「なんか、いい香り…これ、何?」
と尋ねられました。

どうやら、
私が身に付けていた
アロマの香りのことでした。

「オレンジスウィートという
エッセンシャルオイルです」
そう言うと

「そうなの。
なんかね、気持ちがふわっとして
凄く癒されたのよ」

聞けば、
上司は、ここ数年
精神的なプレッシャーから
眠れない日々が
続いているのだと。

「薬も飲んでるのよ」
そう小さな声で
教えてくれました。

上司は
その週末、
オレンジスウィートの
エッセンシャルオイルを
買いに出掛けたと
言います。

ところが
行ったお店に
オレンジスウィートはなくて、
仕方なく
店にあった
エッセンシャルオイルを
一つ一つ嗅いでみて
その中で一番気に入った
ゆずを購入したのだそう。

そして、
その夜から
それを枕元に置いて
寝るようにしたのだそうです。

そしたらなんと
薬なしで眠れるように
なったというから
驚いてしまいました。

主人に続き、上司まで。
アロマって凄い!

これを機に
私の中で
アロマテラピーへの興味が
ぐんと広がりました。

それから、
しばらくして、
こんなこともありました。

仕事で小学校を訪れた際、
以前、幼稚園で担当した
クラスの子どもたちに会いました。

その中に
Kちゃんがいました。

Kちゃんは明るく元気な女の子。
でも、心の中は
いつも寂しさでいっぱいの子でした。

泣いて、すねて、怒って…。
Kちゃんは
そんな風に、
私に寂しさを伝えてきました。

その日、Kちゃんは、
私の姿を見つけると
全力で駆け寄って来て
「先生、大好き!」
私の胸に飛び込んで来ました。

その時
ちょうど胸元にぶらさげていた
アロマオイルのネックレスが
Kちゃんの顔のところに
当たりました。

その瞬間
Kちゃんは、

「あ~このにおい…あの時のにおい…」

とうっとりしました。

「K、このにおい大好き!」

「幼稚園楽しかったな…。
また、幼稚園に戻りたい…」

その日、
私が身に付けていたのは
オレンジスウィートの香り。

Kちゃんと出会った頃
私はよく
この香りを身に付けたり
保育室で芳香として
使用したりしていました。

オレンジスイートは
子どもからお年寄りまで
幅広く受け入れられる
香りでもあり
明るく元気な気持ちに
させてくれる効果もあります。


どうやら、
Kちゃんの中で
私と過ごした思い出と
この香りが
結び付いていたようでした。

Kちゃんが
いつかまた、
この香りを嗅いだ時に
あの頃の楽しかった出来事や
私と過ごした日々を
思い出したりするのかな…。
今日のように
幸せな気持ちになるのかな…。

そんなことを考えていたら
胸がいっぱいになりました。


香りは、
一瞬で心身をシフトすると
言われています。

香りの刺激が伝えられる
脳の部位と
快、不快を感じる部位が
近いため、
気分が左右されるようです。

何かの香りを嗅いで
気持ちが落ち着いたり
元気になったり、
懐かしい気持ちになったり、
あるいは、
嫌な気分になったり
不快に感じたりという経験が
皆さんにもあると思います。

そう考えると
主人や上司
Kちゃんの気分が
一瞬にして変わったことも
何の不思議もないこと
なのですね。

アロマの香りには
心身への効用がありますから
効用を見て決める
という方もいると思いますが
実際に嗅いでみたら
全く受け付けない香りだった
ということもあると思います。

実は、私は、
それでたくさん失敗しました。

今は、
出来るだけ香りを嗅いで、
「心地良いな」
と感じるものを
選ぶようにしています。

直観で
ピンと感じた香りは
今の自分につながる香りで
体が求めている香りでもある、
そんな風に思うからです。

不思議なことに
全く受け付けなかった香りが 
心地良く感じるように
なっていたり、 
その逆も、
あったりするのです。

レモンティートゥリーや
オレンジスウィートには
心を穏やかにする作用があり、
精神的に辛い状況にあった
主人や上司が
これらの香りによって、
心がふわっと軽くなったのも
頷けます。

上司が購入したゆずにも
同様の作用がありますし、
もしかしたら、
上司の中に
ゆずの香りに纏わる
温かな思い出があって
それが上司の心を癒した
ということも、
あるのかもしれません。

こんな風に
自分が心地良いと
感じる香りを知ることで
今の自分を知ることが出来るのは
とても興味深いことだなと
思います。

そう言えば、
以前、友達から
近況を聞いたた後に
最近気になるアロマの香りを
教えてもらったら、
その友人のその時の
心理的なものと
アロマのそれとが
ピッタリと合致していて
とても驚いたことが
ありました。


アロマは
雑貨品として、
扱われていることもありますが、
アロマテラピーは
自然療法の1つです。 

その効果は
薬と違って
心と体に穏やかに
作用していくものです。 
もちろん個人差はありますが。 

注意点が、
いくつかありますが
それさえ守れば
誰でも気軽に楽しめるものです。

何からどう始めたら良いか
分からないという方は
書籍もたくさん出ていますし
noteの世界には
アロマを
香りをお仕事にされている方も
たくさんいらっしゃるようですから
そのような方の
お力を借りてみるのも
良いかもしれませんね。

なぁんて、
こんなことを言いながら、
最近は
すっかりアロマから
遠退いていた私。

noteの記事を読んでいたら
色々なことを思い出して、
また、
生活に取り入れてみようかなと
思い始めたのです。

アロマとは違いますが、
私は
コーヒーの香りが好きです。
特に朝に
淹れ立てのコーヒーの香りを
嗅ぐと
それだけで
ふわっと、
心が明るくなります。

どうやら
コーヒーの香りには
癒し効果や
リラックス効果があるようです。

昔から
様々な儀式や医療などに、
使われてきたスパイスには、
本能を呼び起こす作用も
あるのだとか?!

ハーブやお花のある暮らしも
視覚はもちろん
嗅覚にも働きかける
と言う意味で
とても良いのでしょうね。

視覚や聴覚に偏りがちな
今の生活には、
嗅覚を意識することは
必要かつ、
とても大切なことなのだと
最近特に感じます。

同様に、
触覚、味覚も
大切にしていきたいものです。

触覚!
あっ、 
我が家の朝のハグは
とても良い習慣なのですね。

あれから本当に
主人の笑顔が増えました。
もっと早く始めるべきでした。

こうして考えてみると
五感を意識しながら
生活することは
私たちにとって
良いことづくしなのですね。


五感が研ぎ澄まされることで、
必要なメッセージやサインも
より受け取りやすくなって
いくでしょうしね。

五感を感じながら暮らす

それは、
自分の気持ちに正直に生きる
無理をしない生き方
とも言えるかもしれませんね。

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