身体を整える〜自律神経が乱れがちな方へ送る『丸くなる稽古』〜
寝付きが悪い
眠りが浅く、寝ても疲れがなかなか取れない
イライラしやすかったり、常にやることでいっぱいで余裕がない
常に何かしらの不安を抱えている
つらいけど「見た目」を気にして背筋を伸ばしている
首が痛い・肩こりがひどい
反り腰で腰が痛い
これらは現代社会を過ごす方にとても多い身体の悩みです。
この記事は、このような方に向けて「運動」からのアプローチをする内容となっています。
別の言い方をすると、便利になった『現代社会の弊害』を受けた方のための運動処方をした記事。
後述しますが、ここで紹介している運動は、医学的な根拠に基づきご紹介しています。もちろん臨床現場でも使用しているもの限定です。
そのため1つ1つを丁寧に実践する事によって、今お抱えになっている症状の緩和が期待できます(もちろん『絶対』とは言いません)。
「精神的な問題は関係ないのでは?」
きっとそう思いましたよね?
心の問題のように思える「不安」や「イライラ」といった問題も、身体を変える事によって、解決の糸口が見えます。
その根拠は「自律神経」というキーワードにより医学的にも説明がつきます。
なにより「心と身体は繋がっており、その影響は双方向」です。
さて、本記事では、お悩み解決に有効と思われる「身体を丸めるお稽古」について徹底的にご紹介していきます(なぜ「トレーニングではなく『稽古』と呼ぶかはここでは割愛します)。
というのも、先ほど挙げたお悩みの解決を目指す上で、運動によるアプローチとして共通する点は「背骨を丸める事」だからです。
背骨を丸める事により、
・興奮した自律神経が整う
・呼吸が深くなる
・内臓機能の活性化
・精神的な落ち着きを得られる
・前後の筋肉のバランスが整い、反り腰が軽減する
などの効果が得られます。(詳細は後述しますね)。
もちろん一筋縄ではいきませんが(←ここ重要!)
※僕は『楽に簡単に変わります!』とは言いません。10年の臨床経験上、身体を変えるには覚悟と努力が必要だと確信しています)。
ここで1つ、あなたは「上手に背骨を丸めることができるか?」という確認をしてみましょう。
一度立っていただき、前屈をしてみて下さい。そして、その姿を鏡やスマホで確認し、以下の画像と比較してみましょう。
もしあなたの前屈が②や③のようになっていた場合は、上手に背骨を丸めることができていない事になります。
その状態を放置しておくと腰痛や首痛などの関節痛のトラブルにまで発展する可能性もあります(すでにお持ちの方は放置の結果と考えられますね)
関節痛に発展させないためにも、そしてすでに痛みをお抱えの方は「痛みの軽減させる、またはこれ以上悪化させないためにも」、背骨を丸めるお稽古を行っていきましょう!
早速実践!と入る前に、まずは【理論編】として「なぜ背骨を丸められないのか?」という事をお話をします。これはこのnoteを書く理由にもなっている大切な部分です。
その後、背骨を丸めることのメリットを改めてご説明して、最後に【実践編】という流れで身体を動かしていきましょう!
「早速動きたい!」という方は、いきなり最後の【実践編】へ飛んで頂いても結構ですよ!笑
では、参りましょう!
※本講座は、「これをやれば症状が一瞬で治る」というような魔法はご紹介していません。もし魔法をお求めの方はご期待に添えませんので予めご了承ください。
自分の身体と心に真剣に向き合い、本気で「身体を変えたい!」という方のみこの先へお進みください。
【理論編】背骨を丸められないのは『現代病』
これは僕の10年の臨床経験から言える事実ですが、背骨を丸められない、というのはもはや「現代病」です。
昔は「若い=身体が柔らかい」と思われていましたが、今は老若男女問わず身体が硬いです。もちろん「子ども」も含まれます。
これが僕が「現代病」と呼ぶ所以です。
たくさんいる「背骨を丸めることができない身体」のせいで身体に不調を引き起こしている人が一人でも楽になって欲しい!
これがこのnoteの目指すところです。
では、なぜ現代人は背骨を丸める事ができないのか?一例を挙げるとすると以下のようになります。
これらは、僕が臨床現場にいてよく遭遇していたパターンです。
「良い姿勢でいなきゃ!」というのは、昔からの日本人女性の美意識、または「固定概念」ですね(これが悪い訳ではないからね)。
では、なぜ自律神経が乱れると、背骨を丸められなくなるのか?
説明します。
自律神経の乱れ→「背中が緊張する」→丸くなれない!
背骨から出ている神経は、身体の様々な部位と関連があります。
今回のキーワードの1つである「自律神経」が関連しているのは「背中」です。ちょうど肩甲骨の間の部分ですね。
一般的に神経の興奮により関連する筋肉は、収縮します(硬くなる)。
自律神経が乱れている人は、背中の筋肉が収縮するため、本来後弯している背骨が真っ直ぐになってしまうんです(反り腰を併発する方もいます)。
背骨の画像を使って説明しますね下の画像をご覧ください。
背中の部分は「丸くなって」いますよね?真っ直ぐではありません。
これは背骨の「生理的な後弯(こうわん)」と呼ばれており、背骨の本来の形です。この後弯が、背中の筋肉が持続的に収縮することによって消失し「まっすぐな背骨」が完成します。
ヒトの身体は、背中の丸みがあることを前提として作られているので、背骨同士の関節が自然に噛み合い、パフォーマンスを最大限に発揮することができます。
つまり、背骨が真っ直ぐになるという事は、背骨の関節が噛み合わせが悪くなり、非合理的な姿勢・動きとなります。
結果として、身体に余計なストレスをかけ、身体の不調をきたすのです。
また、自律神経が乱れが慢性化すると、背骨が真っ直ぐな状態も慢性化します。
すると、「背骨を丸める」という感覚が脳の中で薄くなり背骨を丸める事ができなくなります。すると背骨が真っ直ぐな状態が続き、不調も慢性化してしまうのです。
ちなみに「良い姿勢でいなきゃ!」という美意識により常に胸を張った姿勢をとることで背骨が真っ直ぐになっている方も多くいます。
またこれは反り腰になるパターンでもあります。反り腰の方も背骨を丸めることができなっている方が多いですね。
背骨を丸めることのメリット
では、ここまでのお話を踏まえて、背骨を丸めることで得られるメリットを改めてまとめておきましょう。
①自律神経が落ち着く(リラックス効果)
②呼吸が深くなる
③内臓機能が高まる
④姿勢が本当の意味で「正しく」なる
⑤合理的な運動が可能となり関節への負担が減る(楽に動ける)
というのが主なメリットです。
では、簡単に説明していきますね。
①自律神経が落ち着く
自律神経が興奮状態にあると、背骨は「真っ直ぐになる」ということは先ほどお話しました。自律神経の興奮が慢性化する事で不調の原因なのであれば、その不調を取り除くには自律神経の興奮を落ち着かせれば良いわけですね。
本来、自律神経には「興奮と鎮静を繰り返す」というリズムがあります(概日リズムと言います)。この本来のリズムを取り戻すことで、身体の不調を整えるのです。
さて、自律神経の興奮を落ち着かせるには、真っ直ぐの逆、つまり「丸める姿勢」をとることが有効とされています。
お腹の中にいる赤ちゃんを想像すると分かりますが、身体を丸める姿勢というのは「リラックス・安心」の象徴です。
そのため、自律神経が興奮している方には「背骨を丸める」という姿勢が重要なのです!
つまり、背骨を丸める事ができる身体を獲得することで、興奮しっぱなしの自律神経が落ち着き、自律神経由来の身体の不調が解消できるかも!、ということになります。
②呼吸が深くなる
お化け屋敷に入る時をイメージして頂きたいのですが、その時の呼吸は、どちらかと言えば「浅くて速い」ですよね?よっぽどお化け屋敷に恐怖を抱かない人以外は、落ち着いてゆっくり呼吸している方は少ないかと思います。
この時の自律神経は興奮状態です。何が起こるかわからないという恐怖からいつでも闘える・逃げ出せるように身体が準備しているからですね(闘争逃走反応と言います)。
もちろん全身の筋肉は硬く緊張しています。
自律神経が常に興奮状態にある人というのは、いつもお化け屋敷に入る時の状態になっている、とも言い換えられます。全身は緊張し呼吸は浅く速くなっています。
丸くなることができるようになる事で、自律神経は落ち着くことができ、常に全身が緊張状態にあるという状況から解放されます。
その結果として、全身の筋肉は適切な状態になり、呼吸も落ち着いた呼吸となります。
このように「落ち着いた状態になることができる」という事は、背骨を丸める大きなメリットです。
ちなみに、この構造を利用してあえて呼吸から自律神経を落ち着かせる方法をとるのが瞑想の狙いの1つですね(もちろん瞑想はそれだけが狙いではありませんが)。
③内臓機能が高まる
続いて「内臓機能を高める」というメリット。
このメリットの根拠は2つあります。
1つ目が、自律神経が落ち着くと内臓機能が活性化するというヒトの身体の仕組みです。
自律神経は興奮状態(交感神経優位)と落ち着いた状態(副交感神経優位)の2パターンがあることは何度もお話しています。
自律神経が興奮している状態は、闘うか逃げるか?の身体の状態ですので、内臓よりも筋肉に血液や神経が集中します。
一方で、落ち着いた状態は、リラックスしている状態で、この時に内臓機能が活性化します。
食後、お腹いっぱい食べるとなんとなく身体は落ち着き眠くなってくる、なんて経験があるかと思いますが、あれは自律神経が落ち着いていることによる現象です。
このように、自律神経が常に興奮状態にある人は、内臓機能が活性化されない状態が続いている、と言えます。そのため、内臓を由来として不調を引き起こす恐れがあるんですね。
背骨を丸める事で自律神経を整え、その不活化した内臓を活性化させることにより、身体の不調を解消することが期待できるのです!
2つ目は、背骨の運動に伴うメリットです。
背骨からは全身の筋肉を動かす神経が出ていますが、実は「内臓」の働きに関与する神経も出ています。
背骨が伸びたり丸まったりさまざまな方向に動くことで、内臓とつながる神経周りの血流が上昇。結果として神経が活性化し、内臓機能の向上が期待できます!(背骨が動くこと自体での内臓のマッサージ効果もあります)
以上の2つの根拠によって、背骨を丸めることが内臓機能の活性化が期待されます。
内臓機能は、間接的に腰痛などの関節痛にも関与するため、そういった面でも決してスルーできません。
ちなみに「丸くなる」というのは内臓を緩める姿勢でもあります。
想像してみてください。お腹が痛い時ってどんな姿勢ですか?
きっと身体を丸めてますよね?
胃の調子が悪い時、胃は硬くなっています(胃も『平滑筋』という筋肉でできています)。
そのため腰や胸を反っていると硬くなっている胃が伸ばされて不快なので、「お腹(胃)の筋肉を緩める姿勢=丸める姿勢」を自然と僕たちはとるのです。
このように「背骨を丸める」ということの内蔵へのメリットはたくさんあるんですね!
④姿勢が本当の意味で「正しく」なる
背骨を丸めることにより、背中の筋肉はストレッチされて緊張感がほぐれてきます。
すると先ほどお話しした「背骨本来の後弯(丸み)」が出てきます。
背骨本来のS字カーブのある姿勢が「正しい」とすると、背中を丸める運動により本来の「正しい姿勢」をとることが可能となります。
ただし、これは理論上の話で、姿勢の崩れは様々な要因が重なって決められるものなので、背骨を丸める運動をしただけで、本来の形に戻るかは断言できません。やってみないとわからないのが正直なところです。
なので、その「可能性もある」という程度に捉えていただけると良いですね(ただ間違いなく後弯が生まれる方向に身体は変化していきます)。
⑤合理的な運動が可能となり関節への負担が減る(楽に動ける)
背中が真っ直ぐになることによって、背骨の関節の噛み合わせが悪くなるので、背骨が持っている「衝撃の吸収作用」や「動きの連動性(合理的な身体の動き)」が失われてしまいます。
その結果、重力や非合理的な動きによって関節への負担が増大するので、腰痛や首の痛み、もっと言えば、肩の痛みや膝の痛みなど、全身に影響を及ぼす事態となってしまいます。
今は大丈夫かもしれませんが、5年後、10年後にその影響が及ぶ可能性も十分にありますね。
すでに関節の痛みをお抱えの場合は、その原因が「背骨」にあるかもしれません。
たまに経験するケースなのですが、「首を動かすと痛い」といって僕の元にきた女性に対し「姿勢を楽にして首を動かしてみてください」とお伝えしただけで首の痛みが消えたケースがあります。
「え!?うそ!?」とびっくりされます。
これは、リラックスした姿勢になる事で背骨の関節の噛み合わせが良くなる事に加え、肩甲骨も安定した結果、首回りの余計な筋肉の緊張が軽減し合理的な動きができるようになったため痛みが消えた、という理屈です。
このように、背骨を丸める事ができる余裕があるというのは、それだけで「関節にかける負担を減らし、本来の合理的な動きを取り戻す事ができる」のです!
だから背骨を「丸める練習」が必要
いかがでしたでしょうか?
ここまでお話で、背骨を丸めることの重要性をご理解頂けたでしょうか?
もうお話することはありません。
よし、背骨を丸める稽古を始めましょうか!
では、いよいよ僕が実際の臨床現場でもガンガン使用している「背骨を丸める稽古」をステップ1〜ステップ3の3段階に分けてご紹介します!
全ての稽古ができるようになった時には、いや、その途中であっても、あなたの症状は変化していくかもしれません。
しっかり、正しく行えていれば、時間がかかったとしてもほぼ間違いなく身体は変わります。これは僕自身が現場で多くの患者さんとのリハビリする中で目の当たりにしていますので確かです!
わからない部分があればご相談に乗ります。
運動は1つずつじっくりこなしていきましょ。
ここまでで、【理論編】は以上となります。
次から、この記事の本題である【実践編】に入っていきます!
僕の10年以上の臨床経験をもとにした「自律神経を整えるために有効な『背骨を丸める稽古』」をご紹介していきますね。
【実践編】背骨を丸める稽古【全25種類】を大公開!!
では、ここからは本題である「背骨を丸める稽古」をご紹介していきます!
先ほどもお話ししましたが、段階別に大きく3つのステップに分けてご紹介しています。
(Step0:稽古前の準備&うまくできない時のケア)
Step1:1箇所のみをじっくり動かす比較的シンプルな稽古
Step2:背骨と脚を協調的に使う稽古
Step3:負荷量の強いもの、立って行う「実生活に近い形」のもの
Step1から3にかけてレベルが上がっていくカリキュラムとなっていますので、まずはStep1のワークから確実にできるように練習していきましょう!
稽古の動きは全て動画にてご紹介します。
そして、ポイント・うまくできているかどうかの目安・注意点を文章にて説明致します。
もちろん、Stepは行き来しても良いです。できそうなものからトライしてみてくださいね♪
全てできるようになるのにかかる時間は人それぞれ!そこは氣にせず自分のペースで行いましょう!
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サポートありがとうございます!とっても嬉しいです!!絶対に目標を達成します!!!!