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出会いと別れの春に見て欲しいドラマ「君に届け」🌸

4月。春。別れと出会いの季節。
新しい生活に心躍らせる人もいれば
少し前までの環境が既に恋しくて、
寂しさや不安を抱える人もきっと
少なくないだろうこの季節。

かくいう私は、新社会人でもなく、
新卒採用を行っていない会社勤務、
もっと言えば、部署異動とかもなく
引っ越しもする予定は当分ない。
何の変化もない日々を送っている。

大学時代はコロナ禍真っ只中。
これと言って友達との思い出もなく
むしろ、大学の友達は片手を出す
必要もないくらい少ないし、
卒業式には出席すらしてない。

だから、街ゆく高校生や大学生を
見るたびに、少しコンプレックスを
感じて、いつも思うことがある。

私もちゃんと青春を味わいたい!

そんなことを思っていた私を救う
ドラマが、去年颯爽と現れた。
その名も「君に届け」。

原作コミックは、シリーズ累計
3600万部を突破しており、テレビ
アニメはもちろん、2010年には、
多部未華子、三浦春馬のW主演で
実写映画化もされている、今でも
高い支持を得る超人気漫画。

2010年に公開された実写映画は、
恋愛映画の実写の中ではかなり
評価が高く、ドラマ化発表時には
映画がよかったのに何でドラマ?
という声も少なからず見受けられた。

私も映画が好きで繰り返し見ていた
こともあり、何であえて同じ作品を
ドラマに…?と少し疑問に思いつつ
初回を見始めた。最初の方は、ただ
何となく見続けていたものの、回が
進むごとに、どんどんこのドラマを
好きになっていった。

ここからは、出会いと別れを感じる
この春にこそ見て欲しい、ドラマ版
「君に届け」の魅力を綴っていく。

【ドラマ版・君に届けの魅力】

まずはそもそものあらすじから。

あらすじ
高校1年生の黒沼爽子は、長い黒髪と
青白い肌から「貞子」というあだ名で
呼ばれ、クラスから孤立していた。
ひとりぼっちの学校生活を送る中、
噂を気にせずに爽子に話しかける
男子生徒が現れる。明るい性格で、
男女問わず人気を集めるクラスの
中心人物、風早翔太だ。彼だけは、
爽子がクラスのために嫌な作業を
引き受けていることを知っていた。
風早と接することで、他のクラス
メイトとも徐々に打ち解けていく
爽子。夢だった高校生活を過ごして
いくなかで、風早に対しての気持ち
にも変化が訪れ…?

サイトから引用

爽子を演じたのは、南沙良ちゃん。
風早を演じたのは、鈴鹿央士くん。
どちらも今をときめく若手俳優。

そして、脇を固めるのも注目の若手
俳優陣。爽子の初めての友達で、
天真爛漫でムードメーカーの千鶴を
演じるのが、中村里帆ちゃん。
個人的にキャスト解禁で一番解釈の
一致だったし、嬉しすぎた。
そして、大人びたお姉さんタイプの
通称やのちんを演じたのが、
久間田琳加ちゃん。ほんわかした
役のイメージが多いから、あまり
イコールにならないかもしれない
けど、私の中で久間田琳加ちゃん
史上一番のはまり役!大正解!
キャスティングした方優勝!!!
そして、風早の親友で、千鶴の
幼なじみの龍を演じるのが、
櫻井海音くん。原作よりも愛嬌が
プラスされた感じの龍が可愛い。
そして風早に想いを寄せる少し
厄介なくるみ役が香音ちゃん。
イラっとしながらも、自分でも
ブレーキ掛けられない感じが
絶妙で憎めなかった~!
そして、爽子に普通に話し掛ける
チャラい男子生徒ケント役が、
鈴木仁くん。こういうちょっと
チャラめの役本当しっくりくる。

そんな人気も高い若手キャストが
集結したドラマ版「君に届け」の
魅力は、何と言っても、映画よりも
時間がたっぷり取れる分、映画では
描かれなかった、関係が変化した
先に待つ進路選択だったり、周りの
キャラクターたちの抱えている
想いだったりがかなり濃く描かれる
という部分だと思う。

〇ギャップが凄い爽子と風早

「君に届け」が人気の理由は多分、
2人が時折発するギャップ満点の
台詞にあると思う。

特に、爽子は本当に恋愛初心者!?
と疑いたくなる返しを時々繰り出す
ことがある。

「一緒にいると理性が
吹っ飛んじゃいそうになって」
「黒沼を傷付けるのは俺かも
しれないのに」

という風早に対して、爽子は

「気付いてないの?私を傷付けられる
 のは風早くんだけだよ?」

と返す。もはや自分から風早のこと
吹っ飛ばしにきてない?この返し。
本当に恋愛初心者?凄くない??

そして、風早もギャップ所有者(?)
爽やか青年でありながら、実は結構
重い。進路が決まった爽子に言った

「黒沼が札幌行くまでに合鍵作って
 おかないとね」

って台詞はまだ軽い方で、遠距離に
なる前に最初にするプレゼントの
チョイスが指輪で、渡すときには、

「いつかちゃんとしたの渡すから。
 一生用の」

という言葉付き。爽やかではありながら
好きな子には重たくなっちゃうのが
リアルな空気感で伝わってくるのも
没入感があって好きだった。

〇千鶴の恋と龍の恋

ドラマ版で割と長く描かれたのが、
千鶴と龍の幼馴染コンビの恋。
千鶴は龍の兄である徹にずっと
片想いをしていて、龍は、徹に
恋をする千鶴を想い続けている。

この作品の中で、かなりグッとくる
シーンの1つとして、徹が結婚する
ということを知った千鶴に爽子が
言うこのセリフ。

「ちづちゃん、ミニスカートだよ」

徹には妹としてしか見られていない
だから、次会うときはミニスカートで
意識してもらうと言っていた千鶴。
しかし、ミニスカートを履く間もなく
徹は結婚報告をしに帰ってくる。
そんなとき、制服姿の千鶴に爽子が
この言葉を投げかけるのだ。
千鶴の想いを汲みながらも、後悔が
残らないようにと千鶴の背中を押す
このセリフ、めちゃめちゃ好き…。

そして、そこからの見どころはなんと
言っても、徹の結婚を機に長い恋を
終わらせた千鶴と、その千鶴に長い
恋を続けている龍の関係性。
龍は圧倒的な“野球バカ”だから、
ずっと想い続けてる千鶴に、

「いつだって龍を応援したいの
 一番に応援したいの」

って言われたときも、抱きしめたり
するんじゃなくて、野球を全力で
頑張ろうとする。幼馴染としての
絆もしっかり存在してるこの2人の
関係性が本当に好きだし、その上で

「俺が好きなのはずっと千鶴だよ。
 ずっと千鶴だけだ」

みたいに時折ドストレートに想いを
ぶつける龍に射抜かれる。

この2人は、爽子に対してもいつも
真っすぐに言葉をぶつけてくれる。

爽子が風早とのすれ違いで卑屈に
なっていたら、千鶴は涙交じりに、

「風早にそういう態度取らせてんのは
 あんただよ爽子。あたしらだって
 いるのにあんたいつまで自分のこと
 下げて生きるつもり?気分悪い!
 鈍さになれるな!」

と悔しそうに怒ってくれる。

龍は、風早への気持ちに悩む爽子に

「俺は千鶴一筋…内緒な?」
「理屈で答えないとダメなの?
 気付いたらずっと特別だったよ。
 他と比べらんねえもん」

と気持ちを吐露する。
龍の想いが千鶴に届く日は来るのか
というのもこの作品の見どころ。

〇やのちんの恋

放送が終わっても未練しかないのが
やのちんの恋。

やのちんは大人びた性格で、爽子や
千鶴よりも恋愛経験が多い。作中で
彼氏に殴られたと顔に怪我をして
現れるシーンもある。

そんなやのちんに想いを寄せるのが
ケント。チャラいながらも真っすぐに
やのちんのことが好きなケント。
しかし、2人の間には進路問題が…。

そして、やのちんが惹かれるのが、
適当でガサツな担任・ピン。
元々は、ピンを煙たがっていた
やのちんだが、進路相談をしていく
中で、ピンの考え方や言葉に背中を
押され、次第に惹かれていく。

この2人のシーン、とにもかくにも
空気感が良すぎる。ピンを演じる
三浦翔平の絶妙なキュンが天才。

進路相談をしているやのちんが、

「私のことどう思う?」

と聞くシーンがある。はあ?と答える
ピンに、

「いや、違う違う!そういう
意味じゃなくて」

と慌てて訂正するやのちん。このあと、

「どういう意味だよ」

と笑いながら低めトーンで返すピンが
何か大人で、何かカッコ良くて、
ドキドキしてしまうやのちんの表情も
可愛くて、こっちまでときめく。

他にも、商店街で2人が会うシーン。
進路で悩んだとき、香水の匂いで
リフレッシュできるというやのちんの
話を聞いて、「アホだ」と笑いながら
バカにするピンと、それを見て、少し
嬉しそうにつられて笑うやのちんの
可愛さたるや…他のキャラクターと
比べて、分かりやすいキュンがある
わけでもないのに、空気感だけで
キュンを伝えてくるやのぴんが
尊すぎて、胸がギュッとなった。

〇進路選択や別れの描き方

春に見て欲しいと理由がこの部分。
映画版では、風早と爽子の恋が
実って終わったが、ドラマ版ではその
先の進路選択なども描かれていく。

このドラマは進路に関する心情
描写がとにかくリアルだった。

恋人や好きな人、友だちと
離れたくないという理由で進路を
選択したとき、相手の負担に
ならないか、もしどちらかが
ダメだった時負い目を感じないか、
両方受かってもその関係は本当に
ずっと続くのか。そんな進路選択で
感じたことがある人も多いだろう
葛藤はもちろんのこと、最初から
選択肢にも入れなかった、蓋をした
自分の想いにも気付かせてくれる。

中でも、進路に悩んでいる生徒たち
との面談でピンが投げかけた

「自分には無理だとか、向いてねえ
 とかそんなつまんねえ理由で外した
 選択肢はなかったか?」

「心の奥底にあるものはこれから先
 何やったって変わんねえんだから」

というセリフはかなり印象的で、私も
ピンに進路相談に乗って欲しかったな
と思った。これから進路を選ぶ人は
もちろん、もう既に社会人だけど、
何か内に秘めた想いがある人にも
この言葉は響くんじゃないかと思う。

進路が決まってからのシーンは、今、
この季節に見ると色んな感情が
こみ上げて胸が詰まる感覚になる。

会うと泣いてしまうから、別れが
つらいからと黙って上京しようとする
やのちんと、ギリギリ見送りに
間に合った爽子や千鶴の涙には心を
打たれた。北海道と東京は行こうと
思えば日帰りで行けるけど、実際に
離れると思った時の寂しさや不安が
やりとりに詰まっていて、見ている
こっちまで涙してしまった。

他にも同じ北海道内ではありながら
お互いの進路を優先して遠距離を
選択した爽子と風早の別れだったり、
ずっと好きな千鶴と離れて進学する
龍の決意だったり。離れる側は
もちろんのこと、地元に残って、
大好きな友だちや幼馴染を見送る
千鶴や風早の寂しさ、切なさも
繊細に描かれているのがこの作品の
好きなところだ。

地元に残る千鶴と風早、地元を離れて
市外に進学する爽子と龍。北海道から
離れて誰もいない土地に踏み出した
やのちん。そして、地元に残って、
皆を見送る千鶴と風早。距離とか
それぞれの関係性とか、さまざまな
別れが描かれるからこそ、この春
変化があった人は自信を投影して、
変化がない人は変化を疑似体験して
楽しめるんじゃないかと思う。

理想の青春が詰まったドラマ
「君に届け」は現在Netflixで配信中。
出会いと別れに心揺さぶられるこの
時期に是非、おすすめしたい🌸

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