とある公式の「発見」
壁にぶつかりました。
親を見つける変換が定まっていないばかりか、三分木構造になっていませんでした。ループが見つかってしまったのです。完全に手詰まりです。
直角三角形のナンバリングでは上手くいったこの方法ですが、60度、120度を含む三角形のナンバリングには流用できないようです。
「転進」することにしました。
今日は、ブレイクタイムにしたいと思います。
いきなり恒等式として紹介した
$${3(\tfrac{-3x-2y+2z}{3})^2+(\tfrac{-6x+y+2z}{3})^2-(\tfrac{-6x-2y+5z}{3})^2 =3x^2+y^2-z^2}$$
について、どこから出てきたのか、疑問に思っている方もいると思うので、この辺の事を書きたいと思います。
ピタゴラス数を生成する恒等式
$${(-x-2y+2z)^2+(-2x-y+2z)^2-(-2x-2y+3z)^2=x^2+y^2-z^2}$$
の発見過程は、最初の投稿の中で説明した通りです。方程式、
$${x^2+y^2=z^2}$$
において、$${z-x,z-y}$$を保存する2解の関係を求める中で見つけたものです。$${z-x=p,z-y=q}$$を要請すると、元々の式が二次式なので、解が二つ見つかり、それら二つの解の「共役」関係を、符号反転の対称性に絡め、恒等式として引き出すことができたのです。
同様のことを、
$${x^2+y^2+z^2=w^2}$$
でやってみようと思いました。まさに、あのときと同じような手段でです。何とか、見つけました。さらに、
$${x^2+y^2+z^2+w^2=u^2}$$
$${x^2+y^2+z^2+w^2=u^2+v^2}$$
等でもやってみました。
見つけました。
すると、一定の法則があることに気づきます。
それらを整理すると、次のようになりました。
$${m,n}$$を非負整数とします。
$${m+n+1}$$個の変数、$${x_1,x_2,...,x_m,y_1,y_2,...,y_n,λ}$$の間に、
$${(m-n)λ=2(x_1+x_2+...+x_m-y_1-y_2-...-y_n)}$$
の関係があるならば、
$${\small{ (λ-x_1)^2+(λ-x_2)^2+...+(λ-x_m)^2-(λ-y_1)^2-(λ-y_2)^2-...-(λ-x_n)^2}}$$
$${\small{=x_1^2+x_2^2+...+x_m^2-y_1^2-y_2^2-...-y_n^2} (※)}$$
が成立する。
恒等式ですから、展開さえすれば確認できます。
$${m≠n}$$の時は(※)を$${λ}$$に関する二次方程式だと思って解くと、
$${λ=0,\dfrac{2}{m-n}(x_1+x_2+...+x_m-y_1-y_2-...-y_n)}$$
が得られるので、特性方程式を立てて、解いただけとも言えます。
実は、極めてシンプルに見つけることができた式だったのです。
$${m=n}$$の時は、$${x_1+x_2+...+x_n=y_1+y_2+...+y_n}$$が成立するなら、
任意のλに対し、
$${\small{ (λ-x_1)^2+(λ-x_2)^2+...+(λ-x_n)^2-(λ-y_1)^2-(λ-y_2)^2-...-(λ-x_n)^2}}$$
$${\small{=x_1^2+x_2^2+...+x_n^2-y_1^2-y_2^2-...-y_n^2}}$$
が成立するという主張になります。こちらもなかなか面白い式なのですが、ここでは深掘りはしないでおきます。
$${m=2,n=1}$$のとき、$${λ=2(x_1+x_2-y_1)}$$となり、
$${(x_1+2x_2-2y_1)^2+(2x_1+x_2-2y_1)^2-(2x_1+2y_1-3y_1)^2=x_1^2+x_2^2-y_1^2}$$
が得られます。$${x_1→-x、x_2→-y、y_1→-z}$$と置き換えたものが冒頭付近の恒等式です。
$${m=4,n=1}$$で、$${x_1=x_2=x_3}$$なら、$${λ=(2/3)(3x_1+x_4-y_1)}$$から
$${3(\frac{(3x_1+2x_4-2y_1)}{3})^2+(\frac{6x_1-x_4-2y_1}{3})^2-(\frac{6x_1+2x_4-5y_1}{3})^2=3x_1^2+x_4^2-y_1^2}$$
が得られ、冒頭の式に到ります。
トップ画面では 「 $${\implies}$$ 」を用いて、特定の条件下で成立するような表現になっています。
$${m=n}$$の時、つまり、$${x_i}$$の総和と$${y_i}$$の総和が等しい時は、任意のλで成立する式です。
他方、$${m≠n}$$の時は、
$${\lambda=\frac{2}{m-n} (x_1+x_2+\cdots+x_m-y_1-y_2-\cdots-y_n)}$$
と変形して、後半の式に代入すると、$${x_i}$$と$${y_i}$$からなる冗長な式ができあがりますが、それらは、$${x_i , y_i}$$に関する恒等式となっています。