鬼の目はしらかし
本組には伝統行事として、『鬼の目はしらかし』があります。
『はしらかし』とは地元の方言で爆発させるという意味があり、ポン菓子やポップコーンをぽんっと破裂させるのを想像していただくとわかりやすいと思います。
旧暦の小正月を過ぎた日曜に最近では行われており、一度この地区では途絶えてしまいましたが、有志により再び『降神会(こうしんかい)』を立ち上げ現在に至っています。
早朝、鬼がまだ寝ている頃から、人々は竹を叩き割り、その激しい音で鬼を退散させ、己の煩悩を追い払うと伝えられています。
五穀豊穣、無病息災の意味があります。
朝の5時より神事が執り行われ、それが終わるといよいよ御神火の火起こしが始まります。
火起こしの担当はその年の年男が担当することになっており、今年は地元のちょうど還暦を迎えた方がその役となりました。
昔ながらの手法でひたすら火種を起こし、息を吹きかけ火種を大きくします。
いよいよ火種がつくと、ろうそくにつけ御神火として、場所を変えます。
櫓の近くで再び神事が執り行われ、いよいよ櫓に御神火をつけていきます。
一気に燃え上がります。
火が落ち着いたら、竹を入れ熱します。
頃合いを見て、竹から煙が出て膨張し始めたところを石に叩きつけます。
石からズレてますけど、これは、はしらかした後の写真ですので、ご理解の程(笑)
見事に『パーン』と音が鳴りました!
鳴った竹には荒立神社の印鑑を押した紙を貼ります。
沢山の人で紙がなくなり、後からせっせと印鑑押しも地元の人の仕事です。
みんなで餅つき。
それを隣で丸め方。
御神火でついた燃え盛る櫓のオキリで焼いた有り難い餅をいただきました。
だいたい落ち着くと田に竹を差込みます。
竹は12本に分けこのように開いていきます。
これを『鬼の目はじき』と言います。
1か月毎に竹を1本ずつ外し、それがビーンと弾く事で鬼の目をつくという事なのだということです。
1年間病気にならないようにってことでしょう。
ただ、毎月やるのは大変なので、すぐ外しますけど。
燃えた櫓はこのように落ち着いてきます。
こんな風景を見てると、縄文人のDNAが今でも残っているのではないかと感じさせられました。
はしらかした竹はこのように玄関の横などに立て掛けておくと、邪気が入らないと言われています。
先週からの竹切り、前日の櫓組みやら準備。
地元の人達も少しずつ高齢化してきており、大変な事ではありますが、伝統的な行事は続けていくことが、未来へと受け継がれていく大切な事だと思いました。