「うるさい!」って反発されていませんか?親子コミュニケーションの質を高める質問術①
親子会話での質問のポイント
宮後: 二学期に入り、中間テストも終わり、子どもが学校での出来事を親に話したくなるこの時期だと思います。保護者としても学校生活が上手くいっているか心配な時期でもあると思います。
久保田: おっしゃる通りです。この時に、上手くコミュニケーションがとれるかどうかがとても大切になってくると思います。
宮後: いつも通りに子どもの話を聞けばいいのではと思いますが、何か特別に大事なことがあるのでしょうか?
久保田:やはり、保護者がどういう質問を子どもに投げかけるかで大きく変わってきます。
宮後: 質問の仕方にポイントがあるということですね。どういう質問がよい質問になるのでしょうか?
久保田:答えの幅が広くなるような質問にするのがよいです。少し難しい用語ですが、 「クローズドクエスチョン」と「オープンクエスチョン」というものがあります。
宮後:それはどういうものですか?
久保田: クローズドクエスチョンは「はい/いいえ」で答える質問です。一方で、オープンクエスチョンは答えが自由形式です。
宮後:具体的にはどういうものがあるのでしょうか?
久保田:では例を挙げるので、何か質問してみてください。
宮後:そうですね、それでは2学期の学校でちゃんと勉強できているかが気になるので、それを聞いてみます。
久保田:では、”ちゃんと勉強できてるん?”と聞いたとしましょう。これは答えは”はい/いいえ”しかありませんよね。
宮後:そうですね、これがよくないのですか?
久保田:これだと、尋問や詰問しているように捉えられてしまうこともあります。それに、その先の会話が膨らまなくなってしまいます。
宮後:たしかに、自分がもし、そう聞かれたらと考えてみると、”ちゃんと勉強できてるん→(どうせできてないんちゃうの?)”と責められているような気がしますね。
久保田:こういうのは質問というより、確認に近い意味合いがあります。例えば、子どもに「手を洗った?」って聞くのは、洗ったかどうかの確認ですよね。これは裏には、「洗ってないなら、すぐに手を洗ってきなさい」というある種の命令を含んでいるんです。
宮後:ということは、何気なく聞いているように見えますが、”ちゃんと勉強した?”という質問は、受け取り側からすると”ちゃんと勉強しなさいよ”と命令されているように感じる場合もあるということですか?
久保田:そういう事なんです。いわゆる思春期に入ってくると、子どもはそういう部分に敏感になってきます。こういう事がきっかけで言い争いになったりすることがあるのです。
子どもと会話の弾む質問の作り方
宮後:ではどのように質問するのが良いのでしょうか?
久保田:では例を挙げておきます。
宮後:なるほど、つまり、何?で聞くのがポイントなんですね。
久保田:そうですね。シンプルに”学校どうだった?”とか”宿題どう?”って聞くのもよいですが、それだと幅広すぎて答えるのが難しくなってしまいます。”何が?”とある程度範囲を絞りつつ、自由に答えられるような聞き方がよいのです。
宮後:このように質問すると、少し考えて答えるようになるのでコミュニケーションの質が高まりそうですね。
久保田:そうなんです。子どもたちが考えて話すようになるので、思考力や表現力の向上にもつながりますし、中身のある会話ができるようになります。この時に一つ注意点があるんです。それは、子どもの話を聞く側の保護者や指導者もしっかり聞いてあげないといけないという事です。子どもは相手がちゃんと自分の話を聞いているかに敏感です。結局どれだけよい質問をしても、相手が聞いてないとわかると答えようとしなくなってしまうのです。
宮後:なるほど、大変参考になりました。基本はしっかりと向き合うということですね。
久保田:次回は、質問を作るときのNGワードについてもお話したいと思います。