【学習お悩みQ&A第2回③】家庭での学習の心配事にお答えします!
※この記事は、深澤英雄先生(神戸市の小・中学校で38年間教壇に立ち、教職大学院の特任教授を4年半務める。現在は和歌山大学教育学部の非常勤講師として学生の指導に当たる。)をお招きして、久保田学園グループ代表久保田勤とグループ講師宮後が対談を記事にしたものです。
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間違えているところを見るのはツラい!
久保田:前回は、
子どもが宿題を早く済ませようとして、親としては内容の理解が心配
塾や学校の宿題を親が全くチェックしないと、子どもはごまかしてしまう
子どもにやり直しをするように言うと、本人は怒り出す
というご相談に、宿題をごまかしてしまう心理やごまかそうとさせる”外的圧力”や”環境を整えることの大切さ”についてお話を伺いました。本日もよろしくお願いします。
宮後:さっそくなんですが、深澤先生、子どもの心理として、間違えている部分やできない部分を見るというのはとても”つらい”のではというおもいがあると思います。正直私もできていない部分を指摘されたり、自分から自分の出来ていない部分をみるのはとても嫌な気分になるんです。もちろん自分の成長には欠かせないことなんですが、なかなかできないという気持ちもよくわかるんです。
深澤:これもある意味環境が大切なことですし、親のサポートが大切な事でもあるんです。”間違いはダメな事だ”という価値観が子どもに沁みついてしまうと、どうしても自分の間違いを見るのが嫌になってしまうんですよね。
久保田:それはそうですね。間違いというのは、次の成長のためのポイントなんですよね。本当は間違いを見つけるというのは貴重で、重要な体験なんですよね。
深澤:全くその通りで、その貴重な間違いはもちろん正していかないといけないんですが、あくまでダメな事は間違いを放置することであって、間違う事そのものは決して悪い事ではないんです。
間違いに対して肯定的になろう
久保田:これは保護者だけでなく、私どもを含めて子どもを指導するものとして気に留めておかないといけない事ですが、”間違いをみつけることができてすごい!”とか、”よーく気付いた!注意深く○つけできてるね”とか、間違いを発見したことを褒めて認めてあげる声かけが大切なんだと思います。これでこそ子どもが自立的に学習する土台ができていくと思います。
深澤:全くその通りだと思います。小学生だとまだまだ自分で○つけすること自体が難しいケースもあるので、親がある程度○つけしてあげて、間違っている部分を見つけたら、”レベルアップするポイントがみつかったよ””この問題のどこが間違いなのかわかるかな?”と問いかけてあげて、見つけることができたら褒めてあげるのも大切です。
久保田:ここで、”なんでこんな問題間違ったんや!”とか問い詰めてしまうと良くないですね。要するに、”間違いは悪だ”という考えを指導者が与えてしまうのが良くない事だと思いますね。
深澤:誰だって、間違っている部分を指摘されていい気はしないものなんです。自然と”同じ間違いは二度としたくない”と思うものです。”何度も同じ間違いを繰り返してほしくないから厳しく伝えないと”と考える気持ちもわかりますが、まだまだ成長過程の子どもに厳しい伝え方をすると、間違いそのものを隠そうとする、つまりごまかしにつながってしまうんだと思います。
子どもの成長のために私たちができること
宮後:今回は保護者の方から寄せられた
子どもが宿題を早く済ませようとして、親としては内容の理解が心配
塾や学校の宿題を親が全くチェックしないと、子どもはごまかしてしまう
子どもにやり直しをするように言うと、本人は怒り出す
という声についてお話を伺い、3回にわたって深澤先生にお話を頂きましたが、子どもによりよく勉強し、成長してもらおうという願い対して私たちができる事が本当にたくさんあるなという感想です。
久保田:ほんとうにそうですね。私も”本当に子どもの間違いそのものを否定しない”ということは心掛けていきたいと思います。これは何も子どもだけでなく、あらゆる人間関係の基礎にあるもののような気もします。
深澤:親子関係、子どもと指導者の関係も基本的には人間関係そのものと大きく違いはないのかもしれません。ですがそこに一般的な大人同士の対等な人間関係と違った要素が入るから難しいという部分もあります。
久保田:非常に深いお話をたくさん伺いましたが、子どもの状態について深いお話を頂き、私も子どもの時こうだったなと懐かしい思いにもなりました。今日伺ったお話を是非参考にして、子どもがより成長していくように促してまいりたいと思います。またこのような不安や悩みをもつ保護者の方にも安心していただけるようにお伝えしていきたいと思います。今回はありがとうございました。また次回の悩み相談もよろしくお願いします。