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子どもに”ウザい”と言われてショック...「困ったときの反抗期ハンドブック」②
※この記事は子どもに”ウザい”と言われてショック...「困ったときの反抗期ハンドブック」 の続きとなります
信頼関係を築くステップ:愛情深く叱るとは
宮後:それでは、前回の最後に触れていた「反抗期の子どもへのコーチング的接し方」について詳しく伺いたいと思います。深澤先生、いかがでしょうか。
深澤:子どもを支援する柔軟なコーチング的な接し方が重要ですが、それは何でもかんでも子どもの言うことを聞いているわけではありません。この辺りが難しい部分かもしれません。思春期の子どもは、大人の弱点を見抜いたり、自分勝手な要求をすることもあります。親としては、適切な時期に叱ることも重要です。
久保田:そうですね、コーチングとは、ただ優しいだけではありません。目的は子どもの自立を支援することなので、叱ることももちろん必要です。
深澤:その際、叱る基準がポイントになります。きちんと家族の間で家庭の方針を明確にし、その方針に沿って子どもを「褒める」「叱る」ことが大切です。子どもを叱るときは、つい感情的になることがありますが、感情に任せて叱るのは、子どもの成長を支援するものではありません。
久保田:基準に沿って叱られると、悪い理由がはっきりしているので、自ら行動を正すことができます。しかしながら、感情に基づく叱りは、子どもの行動を正すことが難しくなります。
深澤:感情ベースの叱りは、子どもが「自分はダメな人間だ」と感じてしまい、自己肯定感を損ねる可能性があります。
久保田:今、深澤先生が触れた自己肯定感は、子どもの自立と成長に欠かせないもので、特に思春期になると重要です。思春期特有の自己肯定感の高め方もあります。
叱らない=無視?
宮後:それは具体的にどのようなものでしょうか。家族として子どもの自己肯定感を高めるための基本は、やはり子どもを認めること。そして、その「認めている」というメッセージをどのように伝えるかがポイントだと思います。他にも何か方法はありますか?
久保田:子どもを認める基本は変わりません。ただ、「認める」といっても、「褒める」だけが認める方法ではありません。認めることの根本は、「子どものことをしっかりと見守っている」というメッセージをどのように伝えるかです。
深澤:その考えは本当に大切です。思春期の子どもは、親に反発しつつも親のことを強く意識しています。きちんと見守っているというメッセージを「叱る」という行動で示すことが重要です。実際に叱るべき時に叱らなければ、子どもは「私は親に放置されている」と感じてしまいます。これは子どもの自己肯定感を損ねる原因となります。
久保田:確かに、研究結果によれば、子ども時代に親からきちんと叱られた経験がある人ほど、自己肯定感が高くなるというデータもあります。 深澤:また、褒められた経験が多い人ほど自己肯定感が高いという研究結果もあります。つまり、「褒める」と「叱る」のどちらも必要だということです。片方だけでなく、両方とも大切です。
宮後:なるほど、つまり、褒めることも叱ることも、子どもに「見守っている」「認めている」というメッセージを伝える手段としてどちらも欠かせないということなのですね。
久保田:その通りです。しかし、叱ることは、どんなに親が子どもを思って行っても、子どもにとっては心理的なプレッシャーになることは間違いありません。どのような言葉を使うのか、どのようなタイミングで伝えるのかなど、細かい部分で伝え方が大きく変わってきます。その点について、次回は深澤先生とお話ししていきます。