【学習お悩みQ&A第3回②】家庭での学習の心配事にお答えします!
今回の質問:
子どもが質問にいけない
自分で考えない
※この記事は、深澤英雄先生(久保田学園の生徒第1号 神戸市の小・中学校で38年間教壇に立ち、教職大学院の特任教授を4年半務める。現在は和歌山大学教育学部の非常勤講師として学生の指導に当たる。)をお招きして、久保田学園グループ代表久保田勤とグループ講師宮後が対談を記事にしたものです。第3回①はこちら
https://note.com/preview/nfd6db01bc8d9?prev_access_key=7e0a617e802fd4ec867179ace49243cd
まずは落ち着いた気持ちで質問を受けよう
宮後:今回で第三回のお悩みQ&Aですが
子どもがわからないところを自分で先生に質問に行けない
自分で考えずにすぐに答えを聞きたがる
という質問に対して、質問することが負の体験とならないようにしようというお話を伺いました。今回はその方法を伺いたいと思います。
深澤:まず初めに大切な事は、言葉遣いや態度に気を付けようという事です。
久保田さんや宮後さんは、授業で丁寧に説明したところを、授業後に同じことを生徒から質問されたら”イラつく”ことはありませんか?
宮後:お恥ずかしい話、「さっき言ったところやん!授業ちゃんと聞いてよ」「何度教えたらわかるの?」って言ってしまったことがあるかもしれません。これが負の体験となってしまうんですよね。良くない事だと思います。
深澤:そうですよね。でも正直急いでいる時だったりする時はそうなってしまうときもあるとは思います。ここで2つ考えて欲しいことがあるんです。一つは、自分の授業が相手に響いていなかった可能性です。これは指導法を改善して目の前の子どもに伝わるような説明の仕方を考えてみてください。それ以上に大切な事があります。質問をしてきてよいタイミングをきちんと伝えて、落ち着いた態度で対応することです。
久保田:やはりルールはとても大切ですね。子どもは、言葉だけでなく態度にも敏感です。言葉は優しくても忙しそうなときに対応すると”先生に迷惑をかけてしまった”と子どもが思うかもしれません。いつ質問してよいタイミングなのかというルールを決めて、こちらも質問を受け付ける準備が大切ですね。
深澤:その通りです。子どもの様子から予測しておくことも大切ですね。”ここはわからないだろうな”と予測しておくと、子どもが質問してくるタイミングで待ち受けておくこともできますね。
段階的に理解度を確認する
久保田:質問を何度も繰り返してくる子には、教え方も大事ですが理解の進み具合を確認していきながら聞いていく事が大切だと思うんです。
深澤:それは本当に大切な事ですね。何度も同じ質問をしていると、子どもの方も”何回聞いてもわからん!”ってイライラし始めてしまいます。大人の目線では一気にとける問題だったとしても、子ども目線では沢山の段階があります。最初はどこまでわかった?前回の時は?今は?というように、分解してちょっとずつ理解がすすんできているという気持ちにしてもらうのがよいでしょう。要はスモールステップにしてあげることです。
久保田:そうしておくと少なくともまったく同じ質問をずっと繰り返すという事は防げると思いますし、できている感も生まれますね。理解の段階を確認することで、その子にあった教え方もしやすくなりますね。
質問したことでの成功体験を
久保田:子どもが”自分は質問しても大丈夫なんだ””質問しても恥ずかしい思いをしないぞ!”と安心してもらうだけでは不十分だと思います。そこになにか質問して勉強が捗ったなという”得”だという気持ちを持ってもらう事が大切だと思います。宿題が短時間でできるとか、分かって楽しかったとかそういう気持ちが伴わないと質問しようという気持ちは起こらないと思います。
深澤:そういった成功体験はとても大切ですね。宿題が終わった喜びなども大切ですが、質問することをポジティブに評価し、質問が学びの一環であることを理解してもらい、質問することが自分の成長のチャンスだと捉えさせることが大切ですね。成長を実感できるのが一番の成功体験だと思いますね。
質問上手な子に育てる
宮後:そのためには具体的にはどういう事を教えていく必要があるのでしょうか。質問に来たことを褒めることは当然大切ですが、それだけでは足りないように思います。
深澤:質問の仕方をきちんと伝える事が大切です。先ほど話をしたような質問のルールだけではありません。質問をした時はただ聞くだけでなくメモをすることを教え、大事なポイントを確認できるようにすることも大切です。
久保田:確かに、そうすることで何度も聞かないとわからなかったことが1度や2度の質問でわかるようになっていきますね。それで成長が感じられると思います。
深澤:質問して答えてもらったら、きちんと感謝をするということも大切です。指導者側(保護者・教師・講師)も「ありがとう」言われると嬉しいものだという事を知らせることが大切です。
久保田:こういった基本的なコミュニケーションはとても大切ですね。コミュニケーションの中で自分の中の「わからない」が「わかる」に代わっていく過程が学びの根本だと思います。
深澤:まったくその通りです。質問もコミュニケーションのひとつ。それが円滑にできるようになると主体的に質問にいくようになり、主体的に学ぶようになっていくのです。コミュニケーションによる指導者との関係性ができれば、自分のわからないところをきちんと質問する子どもになっていくものだと思います。
宮後:今回も貴重なお話をありがとうございました。次回は引き続き”自分で考えない”ことについてのお話を伺いたいと思います。次回もよろしくお願いします。