消費者庁、スマホゲームのガチャの抽選方法の表示が優良誤認表示に当たると判断
消費者庁は、2021年6月29日、スマートフォン向けオンラインゲーム「WAR OF THE VISIONS ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス 幻影戦争」におけるガチャの抽選方法の表示が実際の抽選方法と異なり、不当景品類及び不当表示防止法(景表法)が禁止する優良誤認表示に該当するとして、ゲームの供給業者である株式会社gumiおよび株式会社スクウェア・エニックスに対して措置命令を行いました。これを受けて、ゲーム供給業者は「消費者庁による措置命令に関するお詫び」と題するリリースを出しました。
措置命令の内容:
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_210629_03.pdf
ゲーム供給業者によるリリース:
https://players.wotvffbe.com/1321/
問題となったガチャは、「1st ANNIVERSARY 1回限定 URユニット10体確定10連召喚」と題するガチャを含む5件のガチャでした。
例えば、「1st ANNIVERSARY 1回限定 URユニット10体確定10連召喚」は、1回のガチャ(4000円相当の課金が必要)で10枠のURユニットの抽選が一度に行われる仕組みとなっていましたが、ゲーム上、「エルデ・リニオス」から「ガーブル」までの31種類のURユニットの提供割合は3.12500%であり、「ギルガメッシュ」および「シュテル(破滅の騎士)」の2種類のURユニットの提供割合は1.56250%であると表示されていました(3.12500%×31+1.56250%×2=100%)。
他方、上記ガチャの実際の仕組みは、次のようなものでした。
ゲーム内には、あらかじめ、64体のURユニットからなるURユニットのリストが2種類用意されていました。各リスト内には、「エルデ・リニオス」から「ガーブル」までの31種類のURユニットは2体ずつ、「ギルガメッシュ」および「シュテル(破滅の騎士)」の2種類のURユニットは1体ずつ含まれていました(2×31+1×2=64)。各リスト内におけるURユニットの配列の順序はランダムであったものの、2種類のリスト自体は固定であり、これら以外のリストが作成されることはありませんでした。
プレイヤーがガチャを実行すると、2種類あるURユニットのリストの中から1個がランダムで選ばれ、そのリストにおけるURユニットの並び順に基づいて、連続する10体のURユニットがガチャの結果として提供されました。また、次以降に同じガチャを実行すると、同じリストの、前回のガチャの結果の続きから、連続する10体のURユニットがガチャの結果として提供される(URユニットのリストが1周した場合は、再びリストの先頭に戻る)、という仕組みになっていました。
消費者庁は、ゲーム上の表示では、あたかも、10枠を構成する各枠ごとに、各URユニットの提供割合に従って抽選が行われるかのような表示になっていたにも関わらず、実際には上記のような仕組みでガチャが実行されており、各URユニットの提供割合に従って抽選が行われれば提供される可能性のあった10枠分のURユニットの組合せのほとんどが、絶対に提供されないものであり、これは優良誤認表示に当たると判断しました。
上記のガチャの例では、ガチャを7回実行すれば、リストに含まれるURユニットを全て網羅することができる仕組みとなっており、URユニットの中でも提供割合が低めに設定されていたユニットであってもガチャを7回実行すれば確実に1体は入手できたことから、ガチャの仕組み自体が不合理であるとまではいえないように思われます。
ただ、ガチャの仕組みがそのようなものであることをプレイヤーにも分かるように表示せず、あたかも各枠ごとに抽選が行われるかのような表示になっていたことは、やはり問題であると言わざるを得ず、消費者庁が措置命令を行ったのは妥当であると考えます。
(文責:乾 裕介)