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僕らが流れ星になった日

3
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僕らが流れ星になった日 3

見張りの追い払いは案外、呆気ないものだった
オーヴィンは旅人だ、その道中でトラブルもしばしばだと言っていた
武術の心得もあり、たとえ装備した見張りでさえも一捻り
『さあ、いくよ』
颯爽と飛び乗ったオーヴィンがウィルに声をかける
今まで、一度たりとも空を割ったことがないオンボロ飛行機が、今、2人の夢、いやもっとたくさんの夢をのせて夜空に飛び立つ
アクセルを全開
重力に負けない様にウィルはとことん耐え

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僕らが流れ星になった日 2

真夜中、土砂降りの街
人なんて普段から通らない時間帯でウィル自身もいつも屋根の上にいる頃だ
街中を走るのは、いつになくワクワクしてドキドキだ
『おやっさんの家はわかるかい?』
『もちろん!何回だって行って抜け道だってお手のもんだよ』
オーヴィンはいつも知らない事を教えてくれる
あり得ない様な事も一緒ならできる気がする
山の上に立派で綺麗な豪邸
おやっさんの家だ
雨の中山の上まで走るのはいつもの何倍

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僕らが流れ星になった日 1

僕らが流れ星になった日 1

1日のメインイベントは夜にやってくる
ウキウキしながらその時間を待つのだ
癖のある金髪にメガネをかけた少年ウィルは
昼間はせっせとお店の配達や片付け、綺麗に花を揃えたり、その時分の子供では考えられない程の勤労ぶりだ
そんな彼の1日の楽しみは、
終いに貰える温かいスープやパンではなく、ただ、夜空を見上げて星を眺める事
輝く星の雄大さはまた明日どうなるのだろうか?といつもワクワクしていた

いつも屋根

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