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日記

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一文字も書けなかった日。そんな日のことも覚えていたい。
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シーズー、ごめん

2月3日 月曜日 上の娘が「いぬのおまわりさん」を歌う。わたしが一緒に歌うと、娘も大きな声で歌い始める。ひとりで歌うの、恥ずかしいよな。お風呂でひとりになった瞬間、小さな声でアナ雪歌ってるの知ってる。 娘「すこぉしも寒くないわ(小声)」 母「(まあまあ寒いよ)」 *** 車を運転していると、横断歩道を歌舞伎俳優顔のおじさんが横切ってきた。おじさんは何も悪くないのだが、顔がうるさい、ということもある。 2月4日 火曜日 夜中、上の娘が突然吐いた。こういった緊急事態では、

最強のY

1月27日 月曜日 保育園からの帰り道。すれ違うスペースがないのにグングンやってくる対向車に、イラッとする。はなから後退する気のない人が、怖い。 「時間もコストもかけてきたから」と、価値のわからない仕事を続けて心が死んだことを思い出した。「その仕事をすべきか」は定期的に測り直したい。後退や中止を決められる人はすごいんだ。と、全然関係ないことを考えていた。 *** 夜、ビールをたくさん飲んだ。数の子の入った松前漬を手に取って逡巡。プリン体摂りすぎて痛風になるかもって。それ

嬉しいは、ぽこぽこ。

1月20日 月曜日 遠方でお宮参りをした疲れで、家族全員ぼぉっとしていた。夜、オンライン交流会。自分がしゃべるたびに申し訳なく思う。ほんとうはパソコンの前にいるのに「寝かしつけ中だから」とチャット参加したことが、何度かある。でも、絶対にコミュ障とは名乗らない。 1月21日 火曜日 だるそうな娘を休ませ、市の芸術文化センターへ。キッズスペースの絵本を前にウキウキしたが、娘の要求で「もったいないばあさん」を何度も読まされる。絵本がたくさんあるのにこれしか読めないのかと、誰よりも

湖はんで「未来のわたし」と「過去のわたし」に出会った日

6時半。か細い声がして目を開けると、横に上の娘が立っていた。人間は、突然そばに人が立っているなんて状況を理解・許容できないらしい。恐怖し、わあと変な声を出してしまった。 「おしっこ出た」娘はお尻が気持ち悪かったようだ。急いでおむつを替えて、二度寝に持ち込む。……って、あかんあかん。今日は特別な日。 いつもは娘を送ってから片付ける家事を、進めていく。着替えだって、家族の誰よりも早く済ませた。代わりに、いつもはすぐに着替えて出ていく夫がパジャマ姿で過ごしている。 なぜなら今

タトゥーを入れたくなった、この上なく普通の日

3時。授乳用に使っているランタンのほのかな灯りの中で、伸びてきた爪を眺める。外も内も静寂が濃すぎて、鈍く響く心臓の音が聞こえる。どくんどくんどくん。この上なく普通の日が始まる合図だ。 老いは確実に進行しているのに、視認できる変化は爪の伸びくらい。中身は何か変わっているのだろうか。よき大人へと、成長しているのだろうか。金太郎飴のような変わり映えのない毎日で、よくわからない。 睡眠時間を稼ごうと、羽毛布団をかぶり眠った。 6時。「うわーーーーん」と、上の子が寝ぼけてうなりだ

お仏壇は「まんまんちゃん」な日

「ツッコミすぎて、もはやボケ」と名高い銀シャリ橋本さんのエッセイ『細かいことが気になりすぎて』を読み終えた日。関西弁ネイティブの血が騒ぎ出してしまった。 *** 「曲がるんかい。いや、曲がらへんのかい」 上の子を保育園へ送る車の中で、優柔不断にウィンカーをつけたり消したりする先行車に、ひとツッコミふたツッコミ。 「いやいや、新札出とるやないか。ありがたいけど」 千円札の新札両替はできませんとのたまうATMで、万札とともに返ってきた新札の千円札。どういう仕組みなん。え

道端でうんこに遭遇して「自己肯定感」を考えた日

娘ふたりを小さな車につめこみ、奈良の実家に帰った。珍しいおもちゃがたくさん置いてあって、祖父母がアイスクリームをくれる場所。上の子は、ジージとバーバの家が大好きだ。 自分でつくる生活に憧れていた私からすれば過干渉に感じる場所。置き去りにした町、どこか古びた町。娘にとっては、非日常の町。 片道1時間、阪神高速の渋滞の中、縫うように走る。 大阪と奈良を結ぶ阪奈トンネルは、5 km以上ある。入口も出口も見えない時間は、アクセルを踏んでも景色が変わらない。先行車のテールランプが

可燃ゴミに熨斗がついていた日

細切れの睡眠を繰り返し、朝になった。4時とか5時とか、やや明るいのに静かな朝には、ひとりで生きているような気になる。騒々しい生活が夢か、いまこのときが夢か。 寝るのがもったいなくて、noteを読む。人の書いた文章を読むのは、楽しい。毎日のように、誰かの世界でまどろんでいる。 短い睡眠のあと、いつも通りの日常が始まる。今日は、可燃ゴミを出す日。食卓を片付けながらゴミをまとめようとすると、違和感が視界に入ってきた。ゴミ袋に、熨斗がついている……? もちろん、そんなわけない。

人との距離感について、自分の振り幅が気になる日曜日

ザァーッ。ザァーッ。精米しているときのような、際限ないノイズが聞こえて目覚めた。米不足……だもんな?と、寝ぼけてスマホの画面に触れると4時。外が大雨らしい。 キッチンに吊るしていたバナナが、熟して自重に耐えきれずボトッと落ちる。しかも、スローモーションで何度も。そんな夢を直前まで見ていた。 中途半端にスマホを触ると、返事すべき連絡と夢がごっちゃになってしまうので、目を閉じてもう一度寝ようとする。途端に、研ぎ澄まされる聴覚。遠くで雷が鳴っている。 隣の寝室にいる娘と夫。眠

セントルシアに思いを馳せた日曜日

娘の「保育園お休みだから、パン屋さんいこうね」で目覚め、パン屋からの公園という朝活をまっとう。以降、室内での砂遊びやおままごとの付き添い、その他家事に勤しんだ。そして、友人家族が自宅へ遊びにきてくれた、そんな土曜日。 夫が料理長とはいえ、2歳3歳5歳の様子を見守りながら調理の補助や片付けをしていたことで、夜身体が動かなくなった。疲労は、突然やってくる。これはいかんと、最低限のレスポンスを返し泥のように眠った。 起きたら8時前。家はしんとしていて、夫も娘も疲れていたと実感す

「ゆめ可愛いもの」でつながった日曜日

2024年6月30日 (日) AM 珍しく、恋のような夢から目が覚めた。内容はほとんど覚えていないのに「これは恋だなぁ」という感覚がじわっと残っている。熱しやすく冷めやすい私は、恋に深い思い入れがない。「うーん、それで?」とぼやけた思考でスマホを見ると7時前。家はしんとしていた。 夫も娘も起きていないなんて珍しいと思いながら、のそのそと顔を洗う。もしかしたら、家族みんなで余韻の残る夢を見ていたのかな、なんて。隣の部屋にいるはずの娘と夫を確認。娘はぐっすり寝ていたが、夫がい

娘とふたりで過ごす日曜日

2024年6月23日(日) AM 何が何を叩いたら、そんな音が出るんだろう。わたしの家を囲む真夜中は、不思議な音の嵐に包まれていた。雨はザァー、風はビューッ。ならば、コンコンコンは?カサァッは一体どんな動き? 「仕事が何時に終わるかわからない」そう言い残して家を出た夫が隣の寝室で寝ているのかどうか確信が持てないまま、全身を無防備に投げ出している娘を横目に見る。エアコンの風は、彼女にとっては気持ちの良いものらしい。寝顔。見たことはないが、私には似ていない気がする。 腰の骨