なぜ日本にアップサイクルプロダクトが必要なのか
この数年でよく聞くワードの一つとなった”アップサイクル”という言葉。
アップサイクルとは、廃棄予定であったものに手を加えることで、価値をつけて新しい製品へと生まれ変わらせる手法のこと。
創造的再利用とも呼ばれており、元々持っている素材や形の良い特徴を生かすことが重要です。
ダウンサイクル(元の状態より悪い状態になること)ではなく、より良いものへと作り変えることでアップサイクルが完結すると言われています。
私たちの会社では先の記事で述べた「日本のクラフトマンシップの継承」と同時に「資源を有効活用するものづくり」に取り組んでいます。
日本国内で資源循環をつくりだすこと
日本は、資源の大半(9割を超すと言われています)を海外からの輸入に依存する島国であり、輸送に伴う環境負荷が、陸路で繋がっている大陸国家に比べて大きいです。
加えて、ものづくりを行う際には素材や製品の製造過程でも多くのCO2を発生しています。
*ファッション業界は、石油業界に次いで2番目に環境汚染を生み出す産業と言われています。
お客様は新作のデザイン、リリースをシーズン毎に楽しみに待ってくださっています。
ブランド側は人の生活を豊かに、楽しく、快適にすることをゴールに製品を作っているのに、その裏側では、新しい製品を製造しようとするとどうしても大量のCO2排出を避けられない。
そんな状況の中で、アップサイクルプロダクトの開発に多様な企業が技術を結集させることは、持続可能な社会の発展に役立つと考えています。
例えば、アップサイクルの価値は多層的であり、下記の3つの価値に分解できます。
環境への貢献: アップサイクルは、廃棄予定の素材や製品に新しいアイディアを吹き込むことにより、輸送時や生産過程で起こるCO2の排出量と廃棄物の量を減少させ、資源の循環を促進させます。
経済的価値の創造: アップサイクルプロダクトには、デザインを生み出す上での制限がかかります。しかしその制限によって、デザインや技術を磨こうとする人の動きが生まれます。つくる上での課題を解決しようとする、その試行錯誤こそが技術革新を促します。
持続可能な消費の促進: アップサイクル製品の開発を進めることは、人々の暮らしの意識を変えていきます。特に衣類など、自分が身に纏うものの影響力は大きく、プロダクトを通して持続可能な循環型消費の重要性を伝える役割も果たします。
先ほども述べた通り、ファッション業界は生産の過程で自然環境に多くの負荷を与えており、石油業界に次いで2番目に環境汚染を生み出す産業です。
また生産を進める上では、素材調達、染色、加工、専門技術の部分縫製など複数回にわたる輸送が発生します。
一般的に輸送距離が長くなるほどエネルギー消費が増え、CO2排出量も増加しますので、国内でのアップサイクル循環を生み出す事は環境負荷軽減に役立ちます。
アップサイクル製品をスピーディーに生み出すチーム体制
日本の職人技術を若い人に受け継いでもらいながら、未来に繋がるものづくりに取り組んでいく。
そのために、弊社では自社工房を持ち、専任の職人たちが製品作りを支えてくれています。
通常、革製品や洋服を作る時のプロセスは下記になります。
※会社によって異なります。
素材/デザイン検討
①素材選定
②デザイン
②型紙制作(革製品の場合はモック、ウェアの場合はトワルと呼ばれるものがあります。仮の素材で立体的な形を制作。形やサイズ感を確認します)
サンプル制作
③1stサンプル制作
④サンプルチェック / 修正
⑤2ndサンプル制作
⑥サンプルチェック / 修正
*③〜⑥の工程は、アイテムやデザインに応じて、回数が変動します。
量産制作
⑦量産前確認
⑧量産UP / 店頭に並ぶ
①の時点で、アップサイクルデザインの場合には制約が大きく出てきます。
使用できる革/生地の大きさ、使える素材は色や素材が既に一度完結したものであるため、解体や再加工するための熟練した技術、幅広い知識、そして情熱が必要となります。
通常は①②はデザイナーの考えで同時並行で臨機応変に進むことも多いですが、アップサイクルデザインの場合には「①の素材の状態」を熟知した上でデザインを起こす必要があります。
”元の状態よりも良い状態にする”
そこにはデザイナーと職人の結束と、技術を柔軟に活かす力、技術を貪欲に追い求める力が必要不可欠です。
”循環型のものづくりを実現したい”
有難い事に、現在CRAFSTOには同じ想いを持ってものづくりに励む職人たちが集結してくれています。
大手ランドセルメーカーや海外経験も持つ職人たちが、日本全国のネットワークを駆使して、より良い製品作りを目指して努めています。
明日をつくるのは今日のアクション
前職で初めて革製品の製作現場に触れた際、自分が想像していた以上に物を製作する過程で発生する廃棄物の量に驚きました。
そのような原体験により、何か資源を大切に循環させる方法で物を作れないのかと考えていました。
前職で初めて革製品の製作現場に触れた際、自分が想像していた以上に物を製作する過程で発生する廃棄物の量に驚きました。
そのような原体験により、何か資源を大切に循環させる方法で物を作れないのかと考えていました。
現在は同じように未来を見ているメンバーと共に、先を見据えたものづくりにチャレンジしています。
この過程をもっと多くの方に身近に感じて頂くことによって、更にこの輪を広げていけたらと思います。次の記事では「弊社の職人チーム」についてご紹介させていただきます!
創業の物語
創業までの道のり ベンチャーキャピタル業界から皮革産業に転身
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