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いくらキャッシュレス時代っていってもさ
いつも行くスーパーは、レジが全て自動精算機になっている。
この間、会計を済ませた父が
「焦らすから、おつり間違えちゃったよ!」
と言いながら、私のところに戻ってきた。
自動なのに焦らす?と思ったら、機械の
「お金を投入してください」
の声に焦ったらしい。
人だったら、黙って待っていてくれるが、機械は容赦ない。
精算ボタンを押すまで、ずっと
「お金を投入してください」
と、繰り返しせびってくる。
父はおつりの小銭が少なくなるように出したかったらしいのだが、その機械のせびりに負けたようだ。
わかる、わかるよ〜。
高齢の父はああいう「機械」だの「自動」だのを嫌う。
苦手なのだ。
それでも自動精算機には、やっとこさっとこ慣れたのだ。
えらいよ。
いつもは有人+自動精算機だが、最近ではバーコードの読み取りも自分でやる、セルフレジにもチャレンジしている。
セルフレジは、現金とキャッシュレス専用と分かれているが、キャッシュレスのほうが台数が多い。
キャッシュレス専用しかないスーパーもある。
もう、そんなにキャッシュレスが浸透しているのか。
ところで今、おつりを計算できないこどもが増えているという。
キャッシュレス決済をしている親が増えて、おつり自体を知らないこどもまでいるらしい。
そんなこどもたちは
「おつりって何?」
と言うそうだ。
テレビのニュースでは、インタビューされたお母さんが
「たぶん、こどもたちは『お金はいくらでも出てくる』と思っている」
というようなことを笑いながら言っていたけれど、なかなか恐ろしい話である。
キャッシュレス決済は「減っている感覚」というのは実感しづらい。
使いこなすには自制心と計画性が肝心である。
ものすごい金持ちでない限り。
ちなみに父も私も、店舗ではキャッシュレス決済をしたことがない。
現金時代を長く生きてきた父は、そう簡単には受け入れられないらしい。
私もキャッシュレス決済は、どうもやりたくない。
イマイチ信用できない。
なにがって、やっぱりお金を使った実感がないのと、そのために際限なく使ってしまいそうな自分が一番信用できないのだ。
とはいえ、ネットショッピングなどは、カード払いなので、いつも『私はこれだけ使うのだぞ』と言い聞かせながら、ポチッとする。
現金払いのレジが減って、多少肩身の狭い思いはしているが、私はたぶん日本で現金が使えなくならない限り、現金払いをし続けるだろう。
そういえば、会計で財布を出す男子を「ダサい」と思う女子たち、というのもいるらしい。
そんなところにまで、キャッシュレス時代の影響か。
さすがにそれは可哀想だよ。