叱るということ
部下を持つと必ず思うのが、「皆から慕われる上司でいたい」ということではないでしょうか。
この時、「優しくしていれば大丈夫」というのは間違いです。
「あめとむち」ということわざがあるように、時には叱ることも必要です。しかし、叱り方を間違えると、反発や恨みを買うことになりかねません。
今回は上手な叱り方について考えてみます。
<怒るとは>
まず、よく間違えていると思われるのが、叱っているつもりで、ただ怒っている人です。
怒るとは、感情的になって、不満をぶつけてくることです。
自分のイライラをその時の感情に任せて相手を批判することで解消しようとしているのです。時には暴言となった、必要以上に人格まで言及して責めたり、威圧的になったりします。
これでは自分の気が済むかもしれませんが、問題解決にはなりません。
<叱るとは>
叱ると同じような言葉がいくつかあります。
(注意する)
注意するとは、相手に対して、気を付けるように言い聞かせることです。
(諭す)
諭すとは、物の道理を教えて理解させることです。
(叱る)
では、叱るとはどういうことでしょう。
叱るとは、相手の間違いや欠点を改善させるために、あえて強い口調でアドバイスなどをいうことです。
どれも“相手のために”という目的がはっきりしています。
<上手な叱り方>
叱るということは、相手の成長を促すためのものなので、目的が相手にしっかり伝わらなければ意味がありません。そのための7つのポイントとその際の注意点をまとめると。
(➀注意だけか、叱るのか)
ミスと言っても、程度があります。いちいち全部叱っていては効果がありません。
「ちょっと危なっかしいなあ、ミスしなければいいけど」というときは、ひとまず様子を見ます。
ぼんやりしていたり、うっかりミスだったりする時は、ちょっと注意しておきましょう。場合によっては諭すこともいいでしょう。
ミスが続いたり、他のスタッフに迷惑がかかったりして仕事に支障が出たら、今度はしっかりと叱ります。
他の人のせいにしたり、嘘をついたりしたら、厳重に叱ります。
(②叱る理由をはっきりさせる)
「なぜ叱られているのか、わからない」と言われるようでは、逆効果です。叱っている理由や目的をはっきりさせて伝えなければ聞いてもらえません。
子供のしつけと同じです。「他の人に迷惑がかかるからやめてね」と言わなければいけないのに、「あのおじちゃんが怒るから」と言ってしまうと、「あのおじちゃんがいなければやっていいんだ」「あのおじちゃんさえいなければ」となってしまうのです。
しっかりした理由を伝え、理解して納得してもらわなければ意味がありません。なぜダメなのかという理由をしっかり伝えましょう。
(③しっかり確認してからにする)
何か問題が起こった時には、どういう状況でそうなったのかという事実確認をしっかり行うようにすべきです。相手が本当に悪くて叱るに値するのかをはっきりさせます。
そうしないと、「自分は悪くないのに、なぜ叱られなければいけないんだ」と、反発を招いてしまいます。
(④タイミングを逃さない)
それがはっきりしたら、タイミングを逃さないようにします。「**さん、手がすいたらちょっと来てくれるかい」と名前を言って、皆から離して一人にしてから叱るようにします。あえて名前を呼ぶことで、相手に叱られることを意識させます。
後日ではなく、皆の前でいきなりでもいけません。皆の前だと恥をかかされたと恨まれます。
(⑤言い訳もちゃんと聞く)
悪かったところや失敗を指摘すると、相手は言い訳をしてきます。「言い訳するな」ではなく、言い訳もちゃんと聞いてあげましょう。相手にも言い分があるはずなので、それをわかったうえで叱るのです。そうすれば相手も聞いてくれるでしょう。一方的に叱るだけでなく、相手が受け入れやすい気持ちにすることが大事です。
(⑥どうして欲しいのかを伝える)
その上で「どこがいけなかったのか」、「どうすればよかったのか」、「次はどうして欲しいのか」という改善すべき点を具体的にわかるようにアドバイスします。
相手も失敗して悪いことをしたと思っています。どうしたらいいかを具体的に教えることで、変わるチャンスとしてもらいたいからです。相手に改善すべき点を気づかせることが求められます。
(⑦前向きな言葉で締める)
ちょっときつく叱ったら、そのまま気まずい雰囲気で終わってはいけません。相手が次はちゃんと頑張ろうという気持ちになるように、それまでの頑張りについては認めてあげて、前向きな言葉をかけて、気持ちを前に切り替えてあげる必要があります。期待されていると思うと、頑張りようもあるというものです。
(⑧注意点)
最後に、この他の注意点を挙げておきます。
個人の人間性、人格を否定するような言い方は避けます。「罪を憎んで人を憎まず」です。
他の社員を比べないこと。これを言ってしまうと、自分はダメ人間だとやる気をなくしてしまいます。
見下すような言い方をしないこと。あくまで対等な立場で話します。
過去のことをあれこれ持ち出さない。その時のことだけにします。
短時間で要領よく、要点を絞って話すようにします。長々と長時間になってはいけません。
相手を追い詰めすぎない。「窮鼠猫を噛む」とならないようにします。
これらのことに注意していれば、相手も受け入れてくれるでしょう。
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