新聞の読み方
私は証券会社在籍中、毎日新聞を片っ端から読んでいました。情報が勝負の世界だったからです。インターネットの無い時代新聞が唯一最大の情報源で、日本経済新聞(以降日経といいます)をメインにして、読売や朝日などの一般紙、株式新聞や証券新聞などの業界紙など、1日最低でも5~6種類を読み比べていました。
特に日経は細かいところまで読み込んで、既存のお客様や見込み客との会話の中に、必ず「今日の日経に載っていた**のニュースは・・」とか、「**は日経にも載っていましたね」とか記事の話題を盛り込んで使っていました。
忙しい毎日の朝の時間に、たくさんの新聞を読みこなすには、ちょっとしたコツがあるので、それを今回は紹介します。
ポイントは3つです。
<ポイント1:新聞を選ぶ>
まず一つ目は、新聞によって、社風のように記事に特徴が出てきたということです。
読売や朝日のような一般紙の中でもそれぞれ違った見方、書き方があり、同じ事柄を書くにしても、立ち位置が違うため読んだ側が受ける印象は、全く違い、時には正反対になることも珍しくありません。
日経や産経は、名前に経済が入っているところからもわかるように、経済ニュースに強みがあります。特に日経は経済指標の数も多く、株に興味がある方にとってはバイブルと言えるでしょう。
朝日は、50年ほど前には、天声人語というコラムから大学の入試問題が出題されるほど、権威あるものとして扱われてきました。ニュース記事の内容も中立的でしっかりしたものでした。しかし、ここ数十年でその中立性は薄れ、ともすると反日色の強い表現が見られるようになりました。国会でやり玉に挙げられたこともありましたね。
この傾向はNHKにも見られます。
インターネットの普及で、テレビや新聞の地位が揺らぎ始め、過度に特徴を出して、視聴者や読者をつなぎとめようしているものと思います。
私もいつしか朝日新聞を読まなくなりました。
読売や毎日も同じような一般紙ですが、どちらかと言えば読売が関東寄り、毎日が関西寄りですね。又、内容も読売が右寄り、朝日や毎日が左寄りとも言われています。
憲法改正問題での報道でも、立ち位置がはっきり分かれることになりました。朝日は反対の立場、読売は賛成意見の記事が多く見られました。
私の地元の神戸新聞や大阪日日新聞は、地方紙と呼ばれ、ローカルな話題が多く、全国ニュースの深堀には向いていません。
一度読み比べてみると面白いですよ。しかし、一般家庭で複数の新聞を定期購読することは難しいでしょうから、外出時、喫茶店や待合室などで自宅と違う新聞を手にしてみると、面白い発見があるかもしれません。
私のおススメは、やはり日経です。一番中立的で情報量が圧倒的に多いからです。
<ポイント2:一面トップのタイトルを見る>
ポイント二つ目は、一面トップを見ることです。
これも各社何を取り上げるかで、その新聞の方針が見えてきます。それを見比べるのも面白いですが、このことはポイント1でも書いたので、見方についてお話しします。
トップ記事は、その新聞社がその日に取り上げる記事で一番重要と考えている事柄です。
テレビの番組欄からや、スポーツ欄から見る方もいるでしょうが、まず前日の試合の結果を確認したら、第1面を見てください。トップ記事の次はその周辺記事です。第1面は総合面なので、全体的な重大ニュースが見られます。
この時押さえておきたいポイントは、タイトルだけ見るということです。
その次に経済面や社会面に移ります。
ここは、見開きの左側のページの左上がトップ記事になります。ここから順番に右に目を移していきます。
こうしてタイトルだけ見ても、世の中で何が起こっているのかという情勢判断はできるのです。時間がない時はこれだけで十分です。人と話す時でもタイトルだけ見ていれば、話を振ることができるからです。
新聞に限らず、雑誌でも同じことが言えます。わざわざその雑誌を買わなくても、電車の吊り広告の題だけ見ていれば十分内容はつかめるのです。
<ポイント3:記事の真ん中は飛ばして読む>
そして、3つ目のポイントとして、気になった記事の読み方です。
実は先ほども述べたように、記事の内容の8割はタイトルで把握できるのです。隅から隅まで読む必要はないのです。(読んでも構いませんが)ただ長々と同じような内容のことが引き延ばされて、かみ砕かれて書かれているにすぎないのです。よくテレビニュースで、キャスターから映像が切り替わって記者が伝えても、同じことの繰り返しで、内容に目新しいことがないのと同じです。
ですから、タイトルの次に見るのは、具体的数字です。これは文中のどこかに埋め込まれています。人と話す時に具体的な数字を上げるのと抽象的なままにするのとでは、信頼の獲得度合いが全く違ってきます。ここはチェックです。
そして記事後半に目を移し、結論的なことを読みます。「だからどうなのか」といったことが最後に書かれていることが多いからです。
このようにして気になった記事を読んでいくのです。
「この話は得意先で話してみよう」というように、話す相手の顔が見えていれば、話し方を考えながら読むことになり、把握も早く深くなっていきます。
ぜひ、このニュースを読んでどうするのか、どうなるのかを考えながら読んでみてください。
最近では本物と見分けのつかないフェイクニュースも出てきています。先ほども触れましたが、これは伝える側が、個性を出すあまり、情報を正しく客観的に伝えるという本来の使命を忘れてしまっているからだと思います。そこから始まっているのです。
言いたいことを自由に言う事が言論の自由ではないはずです。報道機関は人心の流れを大きく左右する力を持っています。作り手や受け手が意識しているかどうかにかかわらず、報道の仕方で印象がガラッと変わることを新聞やテレビはもっと考えるべきです。
情報を正しく伝えるという原点回帰をしてほしいものです。
<おまけ:電車での読み方>
これはおまけですが、混雑した電車で、新聞を大きく広げることは、ほかの乗客の迷惑になってしまうのでできませんね。ではどうやったらいいか。
それは新聞の折り方にあります。
新聞を縦にさらに二つ折りにして、細長くなった新聞を、本のページをめくるようにして読んでいくのです。これなら自分の肩幅くらいに収まるので、迷惑にならずに読みたい記事を読むことができます。一度お試しください。
今回は以上になります。お読みいただきありがとうございました。良ければスキ・フォローをお願いします。励みになりますので。
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