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英語英文学科 海外英語研修プログラムSEA2の魅力とは?
神奈川大学外国語学部英語英文学科です。学科の先生によるコラムマガジン「Professors’ Showcase」。今回は、イギリス演劇がご専門の郷健治先生による「英語英文学科 海外英語研修プログラムSEA2の魅力とは?」です!
Study English Abroad 2(SEA2)とは
このコラムでは、私が2019年度から担当している英語英文学科の海外英語研修プログラムStudy English Abroad 2(SEA2)について説明したいと思います。
SEA2は、8月に3週間半の日程でイギリスのロンドン近郊の町ギルフォード(Guildford)にあるサリー大学(The University of Surrey)で行う英語英文学科生のための短期留学プログラムです。2019年度にはじめて実施したあと、残念ながらコロナで2020年度から3年連続中止となってしまいましたが、ようやく2023年度に第2回目のSEA2を実施することができました。24年度以降は毎年実施する予定です。
SEA2は、英語英文学科生が専攻する「英語」という言語を生んだ国イギリスを3週間半にわたってロンドン近郊のギルフォードで体験できるプログラムで、海外は初めてという人でも安心して参加できます。若いときに海外を旅すると1日で人生が変わることがあります。SEA2はみなさんの人生観がたった3週間半で変ってしまうほど濃密な異文化体験ができる海外研修プログラムだと思います。
SEA2に関心のある英語英文学科のみなさんのために、2019年度と2023年度と2度にわたってSEA2を担当した私自身の経験をもとに、SEA2の様々なメリットを説明します。
ギルフォード
まず、SEA2の最大のメリットは研修地ギルフォードとサリー大学の素晴らしさです。ギルフォードは、ロンドンの南の近郊にあり、快速電車でロンドンからわずか35分の通勤圏内にあります。このギルフォードはアングロ・サクソン時代にさかのぼる歴史あるtownで、16世紀~18世紀の建物の並ぶ古風なHigh Streetを今でも中心街として残した、絵に描いたように美しい町で す。
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11世紀にイングランドを征服したノルマン人の建てたギルフォード城の城跡が美しい公園として町の中心にあり、千年以上も昔の教会が今でもHigh Street近くで立派な教会として使われています。ギルフォードの西端を縦断して流れるRiver Weyには船でのんびり生活するイギリス人もいて、川沿いのfootpathからの眺めは最高に心癒される風景です。このイギリス全土に蜘蛛の巣のように張りめぐらされた footpathは、ギルフォードから両隣りの村へ、そして、その先まで、と果てしなくつづき、イギリスのcountrysideの息をのむほど美しい風景が楽しめます。
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百聞は一見に如かず。下のPR動画(2分)を視聴して、ギルフォードの魅力を自分の目で確かめてみてください。
ギルフォードの大きなメリットは、この町が観光案内所もあるような魅力的な町であるにもかかわらず、イギリスではとくに有名な観光地というわけではなく、8月になると世界中からやってくる観光客でごった返すロンドンやオックスフォードやウィンザーなどとは違って、ギルフォードには外国人観光客がいない!という驚くべき事実です。すなわち、ギルフォードは、多種多様な店が軒を並べた、裕福で、移民もまだほとんどいない、今日のイギリスでは珍しい、昔ながらの “イギリス人のイギリス人によるイギリス人のための町” なのです。ギルフォードはSEA2女子が一人でいつどこを歩いていてもまったく不安のない安全安心な理想的な研修地です。
このギルフォードの近郊にあるシアー(Shere)という村もまたしかりです。ギルフォードからシアーへはローカルバスに乗って簡単に(2ポンドで)行けるのですが、このシアーは「サリー州で最も美しい村」と呼ばれ、この小さな村にホームメイドの極上スコーンと紅茶のセット(Cream Tea)が味わえる、素敵なイングリッシュ・カフェが2軒もあり、12世紀のセント・ジェイムズ教会の尖塔を中心とした絵に描いたように美しい村です。そして、このシアーにも外国人観光客は来ません。だから、 “イギリス人のイギリス人によるイギリス人のための村” であるシアーもSEA2の文化研修地として最適です。シアーはとくにSEA2女子たちのお気に入りで、何度でも繰り返してこの村を訪れてイギリスのティー・カルチャーが満喫できます。
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SEA2参加者には、イギリスでの研修期間中に、イギリス人やイギリスの社会と文化を文化人類学者のように観察してもらって、観察ノートに日々メモを取り、自分自身の観察と考察に基づいた「イギリス文化考察レポート」(3000字)を帰国後に提出してもらいますが、SEA2生にとっては、ギルフォードとシアーはまさに理想的なイギリス文化研修地なのです。
サリー大学
このギルフォードの中心から徒歩10分のところにサリー大学のキャンパスがあります。芝生が綺麗で、キャンパス内には美しい湖もあり、図書館は週7日24時間オープンしている、イギリスの一流大学です。
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SEA2参加者は、サリー大学キャンパスの中央にある学生寮に24日間、1泊わずか16ポンド(約2,900円)という格安の宿泊費で滞在できます。共有スペースのダイニングキッチン完備で、男女のSEA2生が1フロアずつを占め、参加者は8畳ほどの広さの(手洗い、机、ベッド、クローゼット完備の)個室で快適に過ごせます。そして、寮の目の前の学内の小さなスーパーやキャンパス外の巨大なスーパーTESCOで食材を買って、滞在期間中の食費をぐっと安く抑えることができます。円安で海外での滞在費が高騰している現在、SEA2は現地での滞在費と食費がひじょうに安くすむ海外研修プログラムである、というのも大きなメリットだと思います。
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SEA2の定員は17名ですが、サリー大学での3週間半の研修期間を通じて、週4日(火~金)3週間で計30コマ(=45時間)の英語の授業、寮での共同生活、そして、イギリス文化研修ツアーなどを通じて、男女ともに参加者同士がいつの間にか仲良くなって、出発前にはまったく知らなかった参加者とも友だちになれる研修プログラムです。SEA2の仲間とTESCOに買い物に行くのも楽しいイギリスの思い出になります。また、皆でギルフォード最古のKings Headという16世紀のパブへ行って、イギリス名物のFish & Chipsとビールのパブ体験をしますが、これもイギリスならではの経験です。
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神奈川大学の春夏の推薦語学研修とSEA2の根本的な違いは、SEA2は英語研修がメインではないということです。SEA2はイギリスでの文化研修をメインにしているため、サリー大学での計30コマ(45時間)の英語授業はイギリス文化研修に役立つ授業内容で、研修の補助的な役割を担い、3週目にイギリス文化についてのプレゼンテーション課題が出る以外には、研修期間中の英語の授業外課題はありません。これはSEA2生が日々イギリスを体験することに集中できるようにするための配慮です。
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アート鑑賞体験
また、SEA2の大きなメリットとして、イギリス文化研修の一環としてのロンドンの様々なmuseum(美術館・博物館)でのアート鑑賞体験が挙げられます。ヨーロッパ絵画の世界的なコレクションで知られるNational Gallery、イギリス人の歴代の肖像画の名画コレクションで有名なNational Portrait Gallery、ラファエロ前派の名画コレクションで知られる Tate Britain、British Museum、Victoria & Albert Museum、Natural History Museumなど、すべて入館料無料です!こうした世界最高のアートコレクションを有するmuseumをSEA2生全員、あるいは、グループで個別に見学することで、<アートに目覚める>という一生の財産となり得る経験ができます。
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SEA2では、ウィンザー城や(各グループで)バッキンガム宮殿も見学しますが、イギリス王室の豪華絢爛たる王宮、その絵画コレクション、類いまれな美術品の数々などを目の当たりにする経験も、現地でしか味わえない貴重なイギリス文化体験です。
また、ウェストミンスター寺院とソールズベリー大聖堂も見学しますが、イギリスを代表するこの2つの大聖堂を見学することで、イギリスにおけるキリスト教の圧倒的な伝統の偉大さが実感できます。ソールズベリー大聖堂には1215年のマグナカルタの原本も展示されていて、世界の憲法の源とも言える、イギリスが世界に誇る貴重な文書の現物を観ることができます。学問の都オックスフォードも文化研修ツアーで訪れますが、中世のカレッジ街が今でもそのまま残る奇跡のようなこの大学町の光景を目の当たりにすることで、イギリスがいかに「学問」を重んじる国であるかが痛感できるはずです。
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イギリスは世界に冠たる演劇王国ですが、イギリス文化研修の一環として、ミュージカル『The Phantom of the Opera(オペラ座の怪人)』とシェイクスピア劇を本場ロンドン・グローブ座で観劇します。『オペラ座の怪人』ははじめて観劇すると phantom の正体がさっぱりわからず、その物語も理解しがたいので、事前研修として『オペラ座の怪人』の原作小説(ガストン・ルルー作)を読み、事前にこのミュージカルの25周年記念ロンドン公演の録画を繰り返し視聴してもらい、この物語と全曲の歌詞を理解したうえで、ロンドンの歴史的名劇場His Majesty’s Theatre の1階席の(ステージが目前の)最前列2列で観劇します。このミュージカル『オペラ座の怪人』は、一生忘れられない感動的な観劇体験になると思います。
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エクスカーション
さらに、イギリスが世界に誇る小説家 Jane Austenが200年ほど前に暮らしていた家が現存する美しい村 チョートン(Chawton) を見学できるのもSEA2の大いなるメリットです。この村には、オースティン旧家の博物館、その向かいにある(一番おいしい!とSEA2女子から評価された)ホームメイドの Cream Tea が味わえるカフェ(Cassandra’s Cup)、古い18世紀の家並み、オースティンがその昔礼拝した古い村の教会、そして、オースティンの兄エドワードが相続した17世紀のmanor house(Chawton House)などがあり、この小さな村でイギリス文化のエッセンスを凝縮した形で体験できます。
ジェイン・オースティン・ファンの聖地であるこのチョートンは、不便な片田舎にあるため、一般の観光客とはまったく無縁です。24年度以降のSEA2では、ゆっくりこの村で終日過ごしてイギリス文化を堪能してもらいます。(SEA2では貸し切りツアーバスでチョートンへ行きます。バスで直行すればギルフォードから片道わずか30分の近距離です。)
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そして、SEA2研修のハイライトは、ソールズベリー近郊にある、5,000年~4,500年前の古代ブリトン人が築いた巨石サークル遺跡 Stonehenge です。この世界遺産のストーンヘンジは、そのまわりがぐる~っと360度地平線の見えるソールズベリー平原の真ん中にありますが、このパワースポットを訪れることで、皆さんもイギリスという国の不思議なパワーの源泉が体感できると思います。ぜひSEA2に参加して、世界にここしかない!というストーンヘンジの世にも不思議な光景を体験してみてください。
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最後になりましたが、イギリスの8月は快適です。天候は日本の10月末という感じで、朝は12~13℃、日中の最高気温は毎日20~25℃です。真夏の猛暑がつづく日本を脱出して、イギリスで最高に快適な夏休みが過ごせるのもSEA2の大きなメリットです。
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※研修地のサリー大学については、サリー大学生が制作した下のPR動画(3分)をぜひ視聴してみてください。
記:郷健治
神奈川大学外国語学部英語英文学科のSEA1・2は、他大学・他学部・他学科にないオリジナルのプログラムです。英語英文学科の留学プログラムについてはこちら!
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