ワーフリ魔法学
序論
いや、正確には「ワーフリ魔法学」学。
具体的には、作中における魔法や魔術、精霊術、魔道具などの使用描写や、使用者の種族を分類することを通じ、ワーフリにおける「魔法」の正体の一端を明かそうと試みる記事です。
また、本稿の議論の切り口は「精霊」属性の有無です。
早速ですが、本稿の仮説は以下のとおり。
魔法や魔術を使う者の「精霊」の有無は、「世界から力を借りる」か、物質的なものを用いるかにより定められる。
「神」は「精霊」に含まれない。
そして、これらを導き出すための仮定は以下のとおり。
自身のあり方が精霊的である者は「精霊」属性を持つ。
精霊使いは「精霊」属性を持つ。
魔法を「正規に学んだ」魔法使いには「精霊」属性がない。
魔法を学んでいても我流の要素が含まれれば「精霊」属性を持つ。
「魔法による魔道具」や「魔眼」の持ち主も「精霊」属性がない。
以上をふまえ、まずは魔法使用者やその他の「精霊」に関する分類を試みます。
本論1.魔法類使用者の分類・例示
魔法学者
「魔法使い」の話題といいながら魔法学者に関する記載から入ります。というのは、数多くある世界の中で、特に魔法の体系化が進んでいるパルペブラを含む世界においては魔法学に沿った魔法が本道とされる傾向があるためです。
ここでいうところの「魔法学者」とは、学者さんと限らず「魔法学」を修めるもの全般と捉えてください。この分類に含まれる人々は「精霊」属性を持ちません(サイファは魔法学者に転身していますが、もともと「精霊」を持つので例外です)。
さて、そうした場合、この分類には以下のような人々が含まれます。
ウォルンタス所属の教師、研究者、学生
例えば:ニコラ、ト・レレニ
野良魔法使い
「野良」と書くと低劣だと見るような雰囲気ですが、そうした意図はありません。この書き方の主眼とするところは、上述した魔法学式(あるいは、ウォルンタス式)の魔法からは外れた理屈で成り立っているという点にあります。よって、魔法を学んでいても独学であるもの、他の技術体系との混交がある者などもここに含まれます。
そして、この分類に含まれる人々は「精霊」属性を持ちます。
この分類には以下のような人々が含まれます。
主流から外れた魔法学者。
例えば:ピアモ、リアン、コルト
制御不能の魔法を持つ者。
例えば:プリムラ、サイファ
魔法以外の技術と関わりのある魔法を使う者。
例えば:イルミ、マルチア
冒険者として魔法を使う者。
例えば:エリヤ、ファソン
精霊使い
「精霊」属性の有無という観点において最もわかりやすい人々です。この分類に含まれる人々は直接に精霊と関わりがあります。
この分類には以下のような人々が含まれます。
精霊と直接関わる人々。
例えば:シウエ、フィリア、ハオ、モルディアーガ、サマサ、エンニ
神官
神に仕え、その力を代行して用いる人々です。この分類に含まれる人々には「精霊」属性がありません。
魔法のような力を用いていて、なおかつ魔法学者ではない。そうした要素を持つにもかかわらず、野良魔法使いとは異なり「精霊」属性を持たないため固有の分類です。
この分類には以下のような人々が含まれます。
神の力を用いる人々。
例えば:オルヴェール、リーゼル、サーリハ、コリーナ
魔道具使い
本人が魔法を用いるというよりは、魔法の道具の力を借りて魔法を行使する人々です。
ただし、この分類は個別事例が多く、明確な分類は困難です。今回設定した分類項目の中で唯一、「精霊」を持つものと持たないものの双方が存在します。可能な範囲で定義を試みたつもりですが誤りがあるかもしれません。
また、ワールドフリッパー内の定義として、砂塵の王国における「魔道具」の存在がありますが、その定義と本稿の定義が異なる(本稿では「魔道具」を含んで他の魔術的道具にも言及する)ことに留意ください。
この分類には以下のような人々が含まれます。
パルぺブラ外の魔法による魔道具を使う人々。精霊を持つ。
例えば:キアナ、ラキーシャ
パルペブラ内の魔法による技術か、魔法に関わりのない世界から流れ着いた魔道具を使う人々。精霊を持たない。
例えば:アドーニ、リーラ
補足:「精霊」的な人々
これらの他に、魔法や精霊との関わりとは別に「精霊」属性を持つ人々がいます。自らの在り方が精霊的である人々です。精霊そのものか精霊的存在と一体になった者(カーラなど)、エルフ(エステルリエルなど)、人間から外れた者のうち不死者とは過程が異なる者(ベルセティアなど)が含まれます。
コラボキャラクターではありますがウマ娘の3人が人/精霊である(獣ではない)ことはカーラに近い解釈ができそうです。
また、「魔女」という、ある種の種族を持った人々が存在する可能性があります。現状二つ名に「魔女」を含む以下のキャラクターは全員「精霊」属性を持ちます。
メイミー、ベルセティア、サイファ、プリムラ、ルイリーズ、ピアモ
ただし、サイファに関しては魔法の定義が薄い世界における、単なる呼称であることに留意。一方で、言語体系は異世界間で統一されているため同じような働きをした言葉である可能性もある。
本論2.分類を元にした「魔法」の定義
さて、ここまでさまざまなキャラの、魔法性による分類を試みました。これにより、あくまでパルペブラ内においては、という留保はつきますが「魔法」の定義が可能になったといえます。
「魔法」とはすなわち、エレメントの力を用いて起こす術全般のことを指すようです。
ニコラを典型として、魔法学者による魔法はエレメントを用います。エリヤを典型として、野良魔法使い––あるいは、魔法学者でない魔法使い全般––は、エレメント以外の、世界そのものに由来する力を引き出して用います。おそらくそれは、精霊使いであれ野良魔法使いであれ同じである、と考えられます。ただし、精霊使いが本当は野良魔法使いなのか、あるいは野良魔法使いが本当は精霊使いなのかは定かではありません。
便宜的に、前者をエレメント術、後者を精霊術と呼び分けます。
また、ここで例外が生じます。エレメントによらない力を用いて魔法的現象を引き起こしているにもかかわらず、精霊を持たない、神官に含まれる人々です。神と精霊が別個のものとして成立しており、つまりエレメント術でも精霊術でもない体系が存在すると本稿は考えます。
便宜的に、これらの術を奇跡と呼びます。
補足2:砂塵世界の魔法体系
さて、これらの他に、明らかに常人ではないと思われるにもかかわらず属性が人のみである、ネフティムとソティエスの二人について補足します。
これについて明かそうとした時に役立ちうる記述として、ネティが研究により編み出した術式と砂塵世界の遺跡における術式に類似点があるということが挙げられます。
この時重要になるのが、ネティの属性も同様に人のみであるという点です。この場合、異世界の魔法をたまたま持ち込んだというより、ネティの魔法学はいわゆる魔法学の延長線上にあり、収斂進化的に砂塵世界遺跡の魔法と同一である、と考えるのが妥当そうです。
どちらにせよ、砂塵世界の古代魔法は「エレメント術」に分類するほかなさそうです。
この説を補強しうる要素に、フォウラ、タウィールの属性が人のみである点、ゴーレムの属性が機械のみである点などが挙げられます。
結論
以上より、序論で示した仮説はすなわち、
魔法とされるものは「エレメント術」と「精霊術」のどちらかに分類できる。
神の力を借りた術式は「精霊術」ではなく別個のものである(=「奇跡」)という認識が必要である。
という形で示されました。ただし、当然ながら全てのキャラクターの魔法に関する描写を過たず観察できたわけではないため何らかの瑕疵や欠落が存在する可能性があります。その場合には筆者Twitterやコメント欄に連絡いただければ幸いです。
また、補論に示しますが、本稿の仮説にはいくつかのカバーできていない点があります。それらについて発見があったという際にもぜひお伝えいただくか、それをテーマに自由研究をやってみてください。
補論
本稿の画像類含めた出典はワールドフリッパーアプリ内の「エピソード」「キャラ詳細画面」「星見の図鑑」、ワールドフリッパー公式サイトに依っています。
本稿の主な未解決領域には以下があります。
リリスの取り扱い。魔法描写も精霊的性質もないのに「精霊」を持つ。
解決。水着リリスにおいて光系統の魔法的な技を使う描写がある。また、進化後立ち絵もそれに類する。
ナシールの取り扱い。「魔道具」使いで唯一「精霊」を持たない。
再検討の結果、モルディアーガとラキーシャの方が例外かもしれない。
カリオストロの取り扱い。
恐らくは野良魔法使いと不死者ではない人外の重複領域にある。
ルナール、クエット、キャルの3属性問題。
1つのキャラクターが2つ以上の種族を持つことができないため、システム的に明示されない範囲が生じる。
大海世界における「錬金術」と本稿基準による「エレメント術」の同一性。
たとえば錬金術を修めるメイルビオラはウォルンタスの講師としてすぐ馴染んでいる。精霊属性を持つが、おそらく彼女自身の属性によるもの。
ルナールとブライスのいずれも「精霊」を持たない。
本稿の改訂履歴は以下です。
初版:2022/8/4 ワーフリ自由研究の一環として作成。
二版:同上 誤字、表現不足の修正。補足節における「魔女」に関する言及の追記。
三版:2022/8/10 リリスに関する追記。魔女に関する修正(ピアモの欠落を修正)。「精霊」的な人々に関する追記(ウマ娘の取り扱いなど)。ネティエピソード等を参考に砂塵世界の魔法に関して加筆。