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AI時代における作家のビジョン - 「なぜ書くか」の大切さ

先日、かこめ先生から「AIはあなたのビジョンを書いてくれない」という言葉をいただき、「自分のビジョンって何だろう?そもそも持っているのだろうか?」と考え始めました。

この記事では、その気づきから広がった思考を言語化してみたいと思います。

ビジョンの二つの側面

ビジョンと聞くと、まず思い浮かぶのは会社のビジョンですよね。『コンセプトの教科書』でも詳しく解説されているビジネス文脈のビジョン。
でも、作家にとってのビジョンは少し異なります。作家のビジョンは、その人の「世界観」とも言えるもので、実は2つの要素があります:

  1. 「なぜ書くか」

  2. 「どう書くか」

なぜ書くか

「なぜ書くか」は、作家が物語を紡ぐ根源的な動機です。作品のテーマやメッセージ、世界観に反映される、その人にしか持ち得ない視点や感性。これは作家固有の人生経験から生まれ、再現性が低く、いわゆる「天性」が関わってきます。
「なぜ書くか」について教える本はほとんどないのですが、有名なのはこれです。

私の場合、「好きな作品に近い世界観を作り出したい」という原体験があります。純粋なものに感動する体質があるので、その感動を広げていきたいという思いがあるのかもしれません。
ただ最近、AIにはまり、その初心を見失いかけていた気がします。

どう書くか

一方、「どう書くか」は比較的わかりやすい要素です。作品のジャンル、作風、文体として表現され、作家の名刺となります。

  • 「京都を舞台にしたファンタジー小説家」

  • 「ぐろいものを書くミステリー作家」

これは職人技のように、再現性があり、努力次第で上達可能な技術です。世の中の小説の書き方やシナリオ技法の本の多くは、この「どう書くか」を教えています。
私の「どう書くか」のビジョンは:

  • 設定や世界観へのこだわり

  • 構成へのギミックの導入

  • 繊細さとスケール感のバランス

私も「京都を舞台にしたファンタジー」の作品を書けば、「○○○○○風」にはなりますが、なぜ書くかで聞かれたら詰むかもしれません(笑)。

AI時代の作家ビジョンを考える

ChatGPT登場以前、私は「どう書くか」の技術向上に注力していました。映画の構成分析や役割語の研究など、それはそれで楽しい時間でした。
しかし、AI時代に入り、私はAIが「どう書くか」について驚くほど優れていることに気づきました。時にはAIの表現力や語彙力が自分を超えることさえあります。
これは、「どう書くか」の領域でAIが大きな可能性が大きい。現在普及しているAIアシスタントも、まさにこの部分をサポートしています。
しかし同時に、「なぜ書くか」についてはAIにまだ踏み込める余地がないことも明確。AIは私たちの自分史や無意識を理解できない「他者」なのです。
これはポジティブな発見かもしれません。AIの登場により、作家は「どう書くか」にかけるエネルギーの一部を節約し、「なぜ書くか」により多くの注力ができるようになるからです。

終わりに

AIとの付き合いの中で、私はプロンプトの試行錯誤やモデルの性能比較に熱中し、楽しい時間を過ごしました。しかし、それは「どう書くか」への探求であり、「なぜ書くか」を見失いかけていた時期でもありました。
今後、AIの浸透により、「どう書くか」における作家間の技術的な差は縮まっていくでしょう。そして、真の差別化は「なぜ書くか」に移っていくのではないでしょうか。
だからこそ今、私は自分の「なぜ書くか」をより深く掘り下げ、言語化し、自分の強みにしていきたいと思います。

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