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【暇人日記】川を眺めに行きたいの巻
川、川、川。
最近、わたしの頭の中は川でいっぱいだ。
わたしは、とにかくありとあらゆるものに影響を受ける人間である。
小学生の頃は名探偵コナンにハマって、
通行人をジロジロと観察し、1人心の中で探偵ごっこをしていたし(今考えると結構な黒歴史。恥ずかしい。)
大学生の頃は、たまたま読んだ東海道五十三次関連の本に影響を受けて「東海道歩いちゃおう!」と思い立ち、翌週には決行していた。
(無計画&東海道に熱い思いがあったわけではない&体力がないの三拍子が揃っていたので、
ちょっと歩いて断念、当たり前のように途中から予定変更し、新幹線を使うただの旅行となった。)
揺るがない自分というものもないので、
Yahooニュースのコメント欄なんて開いてしまったら、
一つ一つの意見に「たしかに!」「いや、こっちも一理あるな」「ほうほう」と
終始、意見が揺らぎっぱなしだし、
本当に困ってしまう。
そうだ、それで話を川に戻そう。
川は誰の影響かというと、名も知らぬおしゃれインスタグラマーの影響である。
インスタグラムではフォローをしていなくてもおすすめ投稿が表示されるのだが、
そこで、なんだかいい雰囲気の河川敷で、おしゃれインスタグラマーが1人川を眺めながら読書をしている、みたいな写真が流れてきた。
(写真を撮影している誰かがいるのだから、実際は1人ではないのだろう。)
今回のは、
「あ。河川敷で川を眺めながら読書いいわ、わたしもやりたい。やる!」
といった流れである。
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結構遠くまで足を運んだし、
ずっと行きたかった、そして、眺めたかった川だ。
感情が溢れて心が澄み渡る…そうなるものとばかり思っていたのだが、
川に着いて川を見た感想、
「川だわ。」
の一言だった。
もはや感想でもなんでもない、ただ目の前にあるものを言葉にしただけだ。
それどころか、たくさん歩いたからか、あくびも止まらない状況である。
人は感動しようと意気込んで準備していると、
白けてしまうらしい。
それでもせっかく川に来たので、
一応ベンチに座ってのんびりと、してみる。
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河川敷があまりに広いので、
遠くにいる人がミニチュア人間のように見える。
親指と人差し指だけでつまめてしまいそうなサイズだ。
でもそれはあちらを歩いている人から見ても同じで、
こんなに脳みそと心を消耗させながら生きているわたしも米粒サイズ、親指と人差し指でつまめてしまうサイズに映っているはずだ。
ふと、日常生活、人との物理的距離が近すぎるんじゃないかなと思った。
会社に行けば30センチとなりには同僚が座っているし、
電車に乗ればぎゅうぎゅうづめで人、人、人。
そりゃ疲れるわけだ。
河川敷でのんびりしているわたしから見える、
ミニチュアサイズの人々のうちの誰かは、
もしかしたらどこかの会社でパワハラ上司をやっているかもしれないし、
どこかのお店で怒鳴りちらかすお客かもしれない。
わたしが、そして大体の人間が悩まされる、
人間というものは、
自然と比べたらかなり小さいのだな、と視覚的に感じた。
そう考えたら、なんだか怖くないしどうでもよくなってもくる。
人間しかいない小さな建物に詰め込まれているから、距離が近すぎるから、狭すぎるから、人間は人間に恐怖を感じるのかもしれない。
河川敷で、人が米粒に見えるくらいの距離感で仕事したら悩まなそう。
「おーーーい!きこえてるー???あの資料!!!明日まで…」
「え?!?なんですか???聞こえない!!」
「あの資料ーー!!あしたまでー!!!」
上司と部下がお互い声を張り上げながら仕事するところを思い浮かべていたら、
ニヤニヤが止まらなくなってしまった。
ベンチに座って一人ニヤニヤしてる女性、怖すぎる。
風が吹いて落ち葉が舞う。
カサカサっと、音がした。
今まで風の音だと思ってたものは、落ち葉が地面を渡る音だったのだな、と思った。
川にはなんの感動もなかったけれど、
総じていい休日でした。