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【暇人日記】暇人、説明書を読み込んで元を取りたい

わが家には、結構いいオーブン機能付き電子レンジがある。
一人暮らしを始める際、
冷蔵庫や洗濯機など大型家電は「使えればそれでいい」という観点から、安売りされているものを選んだのだが、
電子レンジだけは違った。


料理が引くほどできないわたしは、
名案を思いつく。
「いい電子レンジを買えば、勝手においしく調理してくれるはずだ。」
いつかSNSかなにかで「いいレンジは料理をしてくれる」という情報を目にして、頭の中に刷り込まれていたのだと思う。
調べてみると、本当に「チン」だけで、蒸したり焼いたりしてくれるレンジがあるようだった。



本当は5万ほどする、自動調理機能のついたレンジが欲しかったのだが、
「レンジに5万……レンジに5万……レンジに5万…」と頭の中で数回唱えて冷静になる。
結局、3万円ほどの絶妙に高い電子レンジを買うことにした。



「これでわたしは料理とは無縁の生活だ」と、うきうきで電子レンジを使い始めたのだが、
説明書が長い。読みきれぬ。読む気も起きぬ。




そして、のちに、普通のレンジでも「レンジで簡単!肉じゃが🎵」程度の料理であればできることを知る。
料理に凝らないわたしは、普通のレンジで事足りたのではないか…という考えが頭をよぎる。



結局、一人暮らしを始めてから、高いレンジの高性能さを感じたのは、オーブンがついておりパンを焼くことができるという点のみだった。
パンを焼いているのも、実際のところ高いレンジだから使えるものは使っとこうという意地みたいなものがあって焼いているだけで、パン作りが趣味というわけでもない。



ではこのお高い電子レンジは何で高いのか。
暇なので説明書を一から読み込んで、
しっかり今後の自炊生活で元を取っていくスタイルに方向転換する。

マーカーを持って読み始める。


パンを焼いていたときに気になっていた、レンジからする「ボン!」という音の正体についてもしっかりのっていた。
問題ないとのこと。
あのとき、あの音が怖くて、一旦オーブンを中断したのに。

面白いことはなにひとつ書かれていないが、
「レンジでアルミホイルはNG!」くらいしか電子レンジについての知識を持ち合わせていないわたしには、
雑学講座みたいですこし面白かった。


卵は加熱しちゃいけないとか、
フタは外さないと破裂の恐れありとか、
飲み物を加熱しすぎるとと突然沸騰して発火するかもとか。


肝心のお値段の理由は
やっぱりオーブン機能付きという点、
ボタンひとつで、時間を手動で設定せずにいろんな料理ができる点じゃないかと思う。

とんかつとかもできるらしい。



一番魅力を感じたページが、この三品献立セットだ。
一気に三品、お料理ができてしまうらしい。
17番のボタンを押すだけで。


さっそく今日はレンジ調理だ、フライパンなんて使わないぞ、と決めて、
買い出しに行ってきた。


厚揚げに、ナスにトマトに。
豚肉は冷凍してあるものがあるからそれを使おう。
まだ料理をしていないのに、もう手際良く料理をこなす主婦になった気分でナスを切る。


そうして、なすを切ったあとに気づく。


「………アルミホイルがない」

どうやら、この三品献立セットではアルミホイルを下に敷くようだった。


別にいいのだ、アルミホイルくらい今やコンビニにも売っているし、
徒歩2分歩いてセブンイレブンに向かうことくらいなんだってないのだ。


だがしかし、今さっき買い出しにスーパーまで行ったことを考えると、
もう一度、アルミホイルだけのために外に出るのはとても悔しい。


本日の夕食


結局、怠惰なわたしはアルミホイルのためだけに外に出ることはせず、
三品献立セットも中止にして、切りかけたナスと、冷凍していた豚肉を炒めた、
一品献立に変更する。


電子レンジは豚肉を解凍するときに使っただけで、
炒めるときに使ったのはフライパンだ。
…フライパンなんて使わずレンジだけで調理をする予定だったのに。



ああ…こんなはずじゃなかったのになあ。
がっかりしながらも、
こういうことが人生に多すぎてもう慣れてしまっているので、たいして落ち込んではいない。


あれだけ読み込んだ説明書をそっと閉じて本日の夕食を終えた。


アルミホイル、忘れていなければ明日買うのだ、そして明日こそノンフライパン調理、レンジオンリー調理をするのだ、と自分に固く誓う。







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