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音楽フェス来場者全員に運営マニュアルを配布する理由
いよいよ2週間後の 9/17(土) に開催の岩壁音楽祭2022。
当日、会場では来場者全員に運営マニュアルを配ることにしました。
なぜ来場者にパンフではなくマニュアルを配るのか、そこに至るまでの経緯ときっかけについてまとめました。
岩壁音楽祭はオープンソースなフェスとして、フェス開催に関する様々な内情や知見を発信しています。記事一覧は以下のマガジンから。
なぜマニュアルを配るのか
モチベについては当日配るリーフレットの序文にも掲載しますが、リーフレット内のスペースが足りずに大幅に省略しました。
載せたかった序文全文はこんな感じです。
岩壁音楽祭はオープンソースなフェスとして、知見や内情についてnoteで公開しています。
今日、チケットを買って会場まで足を運んでくれたみなさんには、フェス開催の裏側でスタッフが何をしているのか、そのまま手渡しで伝えることにしました。
なので、このリーフレットにはゲストに渡す「パンフレット」と、スタッフに配る「マニュアル」の両方の要素が載っています。
来場してくれたみなさんひとりひとりが、岩壁音楽祭を構成する大事な一員です。
いいフェスを開催のためには運営の準備はもちろん、来場者の協力が不可欠です。
でも、知らないことを想像して行動するのはとても難しい。
そこで、岩壁音楽祭は裏側までどんどん伝えることにしました。
「フェスは来場者と一緒に作るものだ」というのは以前からそうですが、コロナを経てさらに大切になりました。
日々の検温・消毒、事前の検査や当日の行動、来場者のみなさんには協力してもらうことがたくさんあります。
運営も全力でいいフロアを作っていきます。
困ったことがあったらいつでも本部に声かけください。
一緒に開催して、そして、一緒に踊りましょう。
岩壁音楽祭 運営一同
初開催からのルーツ
そもそもなんでこんなことを思うようになったかと言うと、2019年の初開催に遡ります。
開催してみて特に印象に残ったのは、当日手伝いで来てくれた学生スタッフたちがフロアで一番楽しんで踊っていた光景でした。
![](https://assets.st-note.com/img/1662008677125-npTI8EQIC0.jpg?width=1200)
初開催でなにもかも不安な中、手伝ってくれるスタッフを募集したところ50人近い学生が集まってくれました。
話していく中で応募した理由を聞いてみると「チケットを買うお金がないからスタッフになった」という声が意外と多かった。
なにより「チケットを買えないならスタッフとして入場しよう」という発想と気合いに心を打たれました。まさにこんな人たちに参加してほしい。
こちらとしても、ほぼ無償で手伝ってもらうわけだし、学生スタッフからやりがい搾取したくない。そこで当日のシフトは詰めすぎずに、フェスを楽しむ余裕があるようにと配慮することにしました。
当日のシフトはだいたい6時間。残りの6時間はフェスを自由に楽しむことができる配分です。
![](https://assets.st-note.com/img/1662001825053-nl1tXMputg.png?width=1200)
それによって生まれたのがあの「学生スタッフたちがフロアで一番楽しんで踊っていた光景」でした。なによりフェスを楽しんでいるからシフトの時間も楽しそう。そんな姿に、初開催の不安も吹き飛ぶくらい勇気づけられました。
シフトに入りつつ、フェスを楽しむ。
学生スタッフたちは決められた役割を果たす “ホスト” でもあり、それと同時に、フェスを存分に満喫する “ゲスト” でもありました。
本当はやりたかったスタッフチケット
これがあるべき姿なんじゃないか。
この状態をもっと広げるために最初に思いついたのは「スタッフチケット」というチケット形態です。
【スタッフチケットの構想】
・10,000円のチケットが2,000円で買える。
・購入者は岩壁音楽祭のシフトに4時間入る。 (購入時にシフト選択)
2019の学生スタッフがやっていたことを、チケット販売の形に落としこむイメージです。
用心深い人は「問題点がめっちゃあるだろ…」と思いますよね。課題はあげたらキリがないです。
「スタッフチケット買ったのに、シフトすっぽかす人がいそう」とかはまだかわいいのですが、クリティカルだったものはこの辺です。
コロナ禍にランダムな接触を増やしたくない
怪我や物損について責任範囲が曖昧になる
何か起きた時の保険適用が難しくなる
こういった背景から、スタッフチケットは結局 実現しませんでした。
(良い方法があれば是非教えてください!)
ゲストとホストの境界をなだらかに
やりたかったことをもう少し一般化すると、それはゲストとホストの境界をなだらかにすることです。
平たく言ってしまうと「イベントはみんなで作るもの」ということ。
2019のような学生スタッフは今年も集まってくれたし、余裕のあるシフトも組めました。
これはホストがゲストに近づいた「ゲスト寄りのホスト」なんだと思います。
そこで、ゲストがホストに近づいて「ホスト寄りのゲスト」になってくれるにはどうしたらいいかを考えることにしました。
そうした結果生まれたのが、来場者への運営マニュアル配布です。
![](https://assets.st-note.com/img/1662095559737-Bpdt7C9jMZ.jpg?width=1200)
通常、来場者にはタイムテーブルやエリアマップが載ったパンフレットを配ります。そこに載っているのはフェスのほんの一側面にすぎません。
例えば、タイムテーブルには主に開催当日の開演〜終演のアクト時間が掲載されます。
一方、運営はこれとは別に「運営タイムテーブル」を見て作業しています。
そこには開催当日だけでなく、その前の準備から後日の撤収までカバーされていて運営に必要な様々な情報ががまとまっています。
「いつステージを施工するか」
「出店者は何時までに車で入るか」
「アーティストはいつまでに待機するか」
「終演後いつゴミ拾いをするか」
来場者として見ているタイムテーブルの前後 (または裏) にはこうした数多くの工程があります。
こうした運営の背景に想いを馳せてもらうことで、ホスト側に近づいてもらえないだろうか。
何よりマニュアルを手渡しているのだから、それによって「あなたもフェスを作り上げる大切な一員だよ」というメッセージを受け取ってほしい。と考えました。
![](https://assets.st-note.com/img/1662095638405-aUQlCQvFUH.jpg?width=1200)
ゲストがホスト意識を持つことの一番のポイントは自覚です。当たり前ですが、シフトに入ったスタッフは空き時間にポイ捨てとか絶対にしません。
大人数になったり遠方に行ったりすると匿名性が高まって、責任ない行動が増えてしまう傾向があります。
「遠くのフェスまで来たんだし開放的になりたい」と思う気持ちは否定できませんが、コロナ禍は特に、協力してもらいたいガイドラインがあったりします。
そんなに治安は心配してませんが、インディーフェスは来場者のマインドがとても大切です。そのフェスの理念への理解がないと運営がとても難しくなる。
運営として全力で準備しますが、本当に来場者の協力なくしてはフェスの成功はないわけです。
載せたいことが無限にある
こうして、運営マニュアルから抜粋した情報を当日配布物にどんどん掲載していこうとしたのですが全然ページ数が足りない。
長大になってかさばっても邪魔だろうし、長くなると印刷代もかかる。よって、ページ数に制約があります。
また、印刷物となると出稿期限があるのに、運営情報は直前まで更新される…。
そこで泣く泣く、当日配布版はかなり抜粋して掲載することにしました。
(ウェブ掲載では詳細版を開催前に公開します。アップしたらここでも追記します!)
![](https://assets.st-note.com/img/1662088929971-rMyYMFjsXU.png?width=1200)
配布物は観音開き。
表にはいわゆる「パンフレット」情報が載っていて、
開くと内側には「マニュアル」に書く様な内容が載っています。
![](https://assets.st-note.com/img/1662088914502-6Un4Jfb79U.png?width=1200)
3_パンフレットが会場に到着。
— ウエダマサキ (@udma_udma) September 27, 2022
オモテ面はフェス案内だけど、ウラ面を見ると運営スケジュールや避難マップ、スタッフ間での注意事項など、運営の裏側をオープンに。 pic.twitter.com/JFl8jsYJ82
岩壁音楽祭はオープンソースなフェスを目指して2019から立ち上がり、今回は3年越しに2回目の開催です。
オープンソースとしてもさらにパワーアップし、どんどん情報を発信していきます。
来場予定のみなさんは、当日配布リーフレットもお楽しみに!
岩壁音楽祭2022
[日時] 9/17(土) 10:00〜22:00
[場所] 山形県高畠町 瓜割石庭公園
[出演] chunkism, CYK, D.A.N. (DJ set), ena mori (from Philippines), ermhoi + 小林うてな, hatch, HISUI, KAPI, kZm, Luvit, maco marets, Omega Sapien (from South Korea), ONJI, SAITO, さらさ, 玉名ラーメン (curated by NEUT Magazine), 陽
開催は山形県の秘境ですが、東京からも3時間の好アクセス。
チケットも引き続き発売中です〜〜