ソニービル0

銀座に鎮座してきたソニービルの過去と今と未来と

 2019年春、今現在ソニービルの跡地にはソニーの新しいブランドコミュニケーションの場をつくるとして体験型のGinza Sony Parkがある。
また、このGinza Sony Parkは2018年8月から2020年秋までと期間が限定されたスペースとなっている。

 ソニービルの跡地(現Ginza Sony Park)の所在地は、東京都中央区銀座5-3-1で数寄屋橋交差点の目の前、そしてHERMESの隣りと言えばイメージしやすいだろうか。


 その歴史は、1966年(昭和41年)4月29日にソニーが自社のショールームとしてオープンしたところから始まった。
ソニービルの建築デザインを手掛けたのは、オリンピック駒沢体育館や東京芸術劇場等を手掛けてきた芦原義信氏だ。
フロアを90cmずつずらした花びら構造を採用し、外観からもその構造は視覚的に捉えることができた。

(Source:SONY first-flight)


 ソニービルは、創業者の一人である盛田昭夫氏が、「東京・銀座の玄関として、ソニー本来のショールームとともに、より有意義な建物を建設すべき」との考えに基づき開業した施設とされていた。
当時、ショールームとしての営業は日本では珍しく、インターネットの無い時代のその情報発信は様々な注目を集めたことだろう。

 そもそもなぜ数寄屋橋交差点の目の前に鎮座していたかと言うと、1957年にソニーの電光広告看板を設置したのが始まりで、その2年後には近隣で20坪弱のショールームもオープンしていた。

(Source:SONY 企業情報)

 好立地も関係しショールームには客足が伸び、製品群も年々増えていたので手狭になってきたようだ。
当時のソニービルの発表文によると「この銀座・数寄屋橋の一角を永久に確保し、同地から生まれる多くの面での効果を永続的に得たいと考え、土地の買収にあたった結果、土地所有者の方々のご了解を得て、707平方メートルの土地を入手することができ、ここにソニービルを建設することになったのであります」(SONY - 企業情報より)と言った経緯があり現在の住所の土地を所有したようだ。

 オープン時、晴海通り側の外壁にはめ込まれた2300個のブラウン管によって自由に画像や文字が作り出され、まさに銀座のランドマーク的存在となった。
また当時では、日本一速いエレベーターのあるビルとして話題を呼んだ。

(Source:AV watch)

 また、ソニービルには飲食店などが入っていた。
1Fには英国調パブであるパブ・カーディナル、地下3階にはマキシム・ド・パリオープン当時からあり、その後レストランやカフェ、PLAZA(現在のソニープラザ)などのショップが、交代しながら営業していた。
2007年3月7日には、最新のソニー製プロジェクターや音響機器技術のデモンストレーションを無料で体感できるOPUSが最上階のホールに登場した。

 2016年3月26日には地下のパーキングスペースに、藤原ヒロシがデイレクションを手掛けるTHE PARK・ING GINZA(コンセプトストア)のオープンで話題を呼んだ。

(Source:Time Out Tokyo)


そこにはCafé de Ropé GINZAやNIKE等が入り、期間で変わるポップストア等、様々な展開を見せて多くの人が足を運んだ。
ミーハーな私は友人がそこでコラボグッズを展開していたこともあり、見に行ったものだ。


 そんなソニービルは、ソニー創業70周年・ソニービル開業50年目にあたる2016年に、2017年3月31日をもって営業終了ののち建物解体されると衝撃の内容を発表した。
そして、同時に発表された銀座ソニーパークプロジェクトという言葉にはワクワクさせられた。


Ginza Sony Parkプロジェクトは、ソニーの新しいブランドコミュニケーションの場をつくること、人々にリアルな体験を感じてもらえること、銀座をより心地よい街にすること、この三つを実現することを目指した、ソニービルをリニューアルするプロジェクトです。
1966 年から続いたソニービルは、2018年8月に「Ginza Sony Park」として生まれ変わります。
「Ginza Sony Park」はソニービル設立当初から「銀座の庭」として街に開かれた公共スペース(ソニースクエア)を再解釈し、銀座に魅力ある空間を作り出します。そして、2022年には、その公共性の概念を継承し、街や人にリズムをもたらす新しい概念の「新ソニービル」を竣工する予定です。
(SONY - HPより)

 単に取り壊しすぐに建て替えるのではなく、2020年の東京オリンピックに向けて更なる盛り上がりが期待される銀座に魅力ある空間をつくり出すとして、2020年秋までの期間限定でGinza Sony Parkが誕生したのだ。

(Source:Ginza Sony Park)


Ginza Sony Parkは公共的スペースとして、銀座という都市に現れた公園として、多くの人が集まるスペースとなっている。
カフェや、THE CONVENI(コンセプトストア)が入ったり、地下では懐かしのインベーダーゲームが出来たりとエンターテイメントがあったり、ライブ等のできるのイベントスペースとしての機能も兼ね備えている。
もちろん、腰掛けて休憩することもできるし、待ち合わせの場所にもなっている。

 そして、Ginza Sony Parkの運営が終わる2020年秋以降からはビルの建設を開始し、2022年秋に新ソニービルとしての営業開始が予定されている。
そんな新ソニービルは、ただ単にSONYの自己表現の場として建てるのではなく、新しいビルを建てることによって銀座の街がどう変わるのか、銀座という街全体で考えた時に訪れる人達が楽しめる空間にすることまで考えながら計画されていると言う。
なんて奥ゆかしい企業なんだろうと安直な感想だが、感動してしまった。

 良し悪しだが銀座の持っている伝統的な一面と、50年以上もその銀座で生きてきたSONYが今後改めてどのように調和し、革新的なビルが出来上がるのか今から2022年の完成が楽しみでならない。

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