本のある場所
本がある場所に行くと、わくわくする。
それは、図書館でも本屋でも、ブックカフェでも良い。
もはや本のための場所でなくても、たとえば待合室の小さなマガジンラックや、誰かの家の本棚みたいに、本が何冊かまとまって置いてあるのを見るだけでちょっと心がはずむ。
場所ごとに楽しみ方も異なる。
図書館や大型書店みたいに、並んでいる冊数が多く網羅性の高い場所は、あらゆるジャンルを横断して何時間も背表紙を眺めているうちに、ついつい時間を忘れてしまう。
子どものころ、親に市内では大きめの本屋(今思えば、丸善やジュンク堂と比べたら10分の1くらいの規模ではあるけれど)に連れて行ってもらうたび、何時間も居座って親に置いていかれそうになったのが懐かしい。
一方で、個人経営の小さな書店や、本の置いてあるカフェなんかは、本に囲まれながら場所そのものの雰囲気を楽しむことが多い。
ジャンルを網羅することが目的でないぶん、選書にもオーナーさんの好みや興味が如実にあらわれるので、自分の嗜好と近い本棚を見つけたときはとても嬉しくなってしまう。
友だちの本棚を見るのも似たような感覚で、「この人はどんな領域に興味をもっているのか」を垣間見ることができるからおもしろい。
(だから、人の本棚を見るのが好きと言っておきながら、自分の本棚を見られるのはちょっと恥ずかしい。)
このご時世、しばらく本のある場所めぐりはしていないけれど、落ち着いたら都内を中心に開拓したいなあ。
(610字)
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