青い空 白い鳩

今日は、某所で今まで実践してきた授業についてお話してきました。
その話の中で、ロシアで現地の人が作った俳句をご紹介しました。

タンポポに青い空
こんなところにも
ウクライナ

ロシアの俳句愛好家さんたちの間では松尾芭蕉が一番人気なのだそうですが、それって日本の古典文学の愛好家がいるということですよね。
日本語以外でリズムを作ったものを、日本語に訳してしまうのでリズムが崩れてしまうのですが、なんとなく雰囲気が出ている。
この句の中心は、タンポポの黄色と、青い空とがなんとも鮮やかなコントラストを生み出していることにあります。ですが、半分はウクライナ・ルーシから派生して誕生した二つの国が「また」国境を争っている現実への悲しみです。平時であれば、美しい故郷やなじみの土地を思い浮かべる光景が、今は不安や悲しみを抱えながら見る光景になっているのです。
…日本の若山牧水という歌人をご存知でしょうか。
白鳥は悲しからずや空のあを海の青にも染まず漂ふ
という、中学校の国語教科書にずっと載っている有名な短歌があります。
しらとりは悲しくないのだろうか、空にも海にも染まれずに一羽で漂っていて、という、こちらも白と青とのコントラストの美しさと裏腹に孤独の寂しさがつきまとう短歌です。

人間の不思議さに圧倒されます。生まれも育ちも違う、言葉も習慣も違っても、戦争していても、なぜこんなに感性は近いのでしょう。
こんなに感性の近い私たち。青い空をぼんやりと何の心配ごともなく眺められる日が、早く来てと願わずにいられません。

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