スマホ1台で競える、本格的な対戦ゲームを作る意味

 個人ゲーム開発者の形と申します。配信中のゲームが全くダウンロードされず寂しさで死にそうなので、宣伝しつつ色々語っていきたいと思います。
 タイトルの通り、実力ありきの真剣勝負を「スマホ1台で」楽しめるのが特徴のゲームで、今回はその意図を記事にしてみました。勝負事やesportsが好きな人に見ていってほしい。

 まず「スマホならではの対戦ゲームは?」と聞かれて何を思い浮かべるでしょうか。
 競技性の高いものならカードゲームやRTSあたりが人気かと思います。ネット対戦が主流で、プレイヤー1人につき端末が1つ必要になります。
 それとは別に、スマホに対して2人で向かい合い、1つの画面を共有して戦うゲームも存在します。オフラインでさっと盛り上がれるので、パーティー色の強い簡単なゲームが多いようです。
 囲碁や将棋など、デバイス1台で実力重視の対戦ができる定番ゲームも恐らくありますが、スマホならではの遊びとは違うのでここでは置いておきます。

 そんな中、僕が提案したゲームが「プシュプ」です。端末1つで本格的な対戦ができる落ちものパズルで、2人で連鎖を組んでフィールドを押し合います。

 指一本で遊べるよう落ちものパズルの操作を見直し、2人で1つのデバイスに触っても無理なく楽しめます。フィールドが2つ上下にくっついた縦長な画面構成など、あらゆる部分がスマホに最適化されています。
 シンプルな見た目ながらゲームとしての奥深さも妥協していません。ゲームシステムそのものは今回の本題ではないので、以前書いた記事にリンクだけ張っておきます。

対戦ゲームをコミュニケーションツールに

 シンプルな操作・画面で奥深い対戦を実現、というのがすでに強みであると考えてますが、デバイス1台で対戦できることがそんなに重要か?と思う方もいると思います。
 プシュプのコンセプトの1つがスマホの特性を生かすことでした。多くの人が普段から携行するアイテムであり、特にゲームをする気がなくても持ち歩いている。いちいち端末と端末を通信させることなく、ふとしたきっかけですぐ対戦を始めることができれば、気軽な「コミュニケーションツール」になると考えたのです。

 囲碁や将棋のように誰かと顔を突き合わせて遊ぶゲームは、昔から談笑のきっかけを作るツールでもありました。個々のデバイスとにらめっこするのではなく、相手の表情を見ながら遊ぶ。これがプシュプの目指す方向と言えます。
 1つのデバイスに2人で向かい合う姿は「一緒に何かやってる」と認識しやすく、周囲の興味を引く力もあります。単に1対1でつながるだけでなく、観戦も含めて雑談の種にしてほしい。選手交代もすぐに可能なので、複数人で盛り上がることもできます。

 コミュニケーションを大事にするなら、みんなでわいわい遊べるパーティーゲームや協力プレイの方が、プレイヤーの実力差を気にせず楽しめるのでは?と思うかもしれません。優劣がはっきりする対戦ゲームを冷たく感じることも確かにあります。
 しかし本質的には、対戦ゲームは人と人を結びつけるものだと信じています。練習したぶん誰かにテクニックを見せつけたくなるのが人の常。子供の世界なら、ゲームの上手さは憧れの対象でもある。オンラインで黙々と見知らぬ誰かと戦うのではなく、顔の見える距離で競い合うことにプシュプの意義があります。

 コミュニケーションを促進する1つの工夫として、本作には「プレイヤーが入力しない限りゲームが進行しない」という特徴があります。画面をタップしなければブロックは一切落ちてきません。
 通常落ち物パズルではブロックが自動で落ちてくる上に、しばしばゲームが進行するにつれて落下速度が上昇するようになっています。こういったプレイングの間延びを避ける工夫を、プシュプにはあえて施しませんでした。
 格下の相手と遊ぶ場合に、手を止めてアドバイスしやすくするためです。人に技術を伝えることもコミュニケーションの一環。自陣で手本を見せたり、相手陣地に手を入れたりして、上手く誘導してあげてください。

競争の魅力をあらゆる人へ

 予想というか個人的な願望ですが、このゲームはesportsと相性がいいと考えています。プシュプを使って競争の裾野を広げ、身近な対戦コミュニティを作って楽しんでほしいのです。
 本作は徹底して万人向けにこだわりました。スマホ1台で手軽に競えることはもちろん、操作精度を要求しない簡単なタッチ入力で人を選びません。
 esportsの魅力の1つは身体能力を必要としないことです。プシュプはなるべく反射神経を問わない作りになっている他、視力の低い方やお年寄りでも遊べるよう細かい画面表示を極力避けています。

 ゲーム経験や年齢に関係なく誰でも競争の魅力を味わうことができ、多種多様な人がつながる。プシュプを制作しながらずっと考えていた理想です。
 この試みがどこまで受け入れられるかわかりませんが、僕が昔から熱中してきた対戦ゲームという価値が、より多くの人に届くことを願っています。

 最後に蛇足になりますが。
 これだけ手軽さを強調していると、本当にゲームとしての奥深さはあるのか?と疑われるかもしれません。底の見えない探求がなければ、ゲームで競い合う意味がないというものです。
 という訳で、プシュプをやり込むとどんな感じになるかを軽く動画でお見せして締めにしたいと思います。ぜひ友達や家族と一緒に腕を磨いてみてください。ダウンロード数が増えて僕が喜びます...

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