なぜ行政書類はエクセルとワードが多いのか?
行政のDXはいつなのか?
介護サービス事業の経営者や事務職の方々ならば分かると思うが、行政に提出する書類はとても多い。
おそらく他業種も同様なのだろうが、介護サービスは介護保険制度という法令のもとに行われていることから、行政も慎重かつ厳重に管理する必要があるのだろう。
事業を営む側としても、介護保険といういわば税金を活用していることから多少の面倒くささは受け入れなければいけないかもしれない。
しかし、DXを推進しながらも行政は未だにDX化が進んでいない。それが分かるのが提出する書類の媒体が未だに紙ベースであることだ。そして提出方法も未だにFAXや郵送というスタイルが残っている。
もちろん、メールやWeb上の問い合わせフォームなどもあるが、物理的なやり取りの体制が残っていることからも、介護というか行政のDX化は先なのだろうと思ってしまう。
エクセルとワードが大好きな行政
もちろん、何でも紙というわけではない。データ媒体もちゃんとある。
しかし、それはエクセルとワードというレベルである。これは現代においてのツールとしてデータ媒体という位置づけにして良いのか疑問だ。
それにしても、行政はエクセルとワードが大好きだと思う。しかも、ずっと昔のoffice製品をそのままフォーマットとして残っていることもある。
確かにビジネスシーンにおいてエクセルとワードは現代でも広く活用されている。しかし、それは既にパソコンなどの個人端末を超えてオンライン上で活用できる。
どこでも仕事ができるどころか、関係者間で同じ書類をオンライン上で確認したり修正し合ったりできる。わざわざ個人端末に保存して、必要に応じてメールで送ったり個々に修正する必要はない。
しかし、行政書類は未だに個人端末で書類作成することを想定している。
それはなぜか?
それは行政のフォーマットは、未だにパソコンなど個人端末で作業することを前提に作られているからだと思う。言い換えるとオンラインを活用するという想定がないということでもある。
何度も同じ基本情報を入力する悲劇
オンラインを活用するという発想がないだけではない。そもそも、同じ記入項目をその都度入力するという「手間(無駄)」に気付いていないという課題もある。
例えば、介護職員処遇改善加算という計画書および実績報告書がある。
この詳細については割愛するが、このフォーマットの何が問題かと言えば、毎年のように「会社名」「所在地」「連絡先」「担当者」「事業所名」「事業所番号」「事業種類」などをその都度エクセルに入力しなければいけないことだ。
金額的なことは変動するから仕方ないが、これらは基本的に変わらない。だから「基本情報」というわけなのに、それを毎度毎度入力させられるのはハッキリ言って面倒くさい。
こうなってしまう原因は、介護職位処遇改善加算という制度が毎年のように大なり小なり変更になるからだ。そのため、微妙にフォーマットも変わる。
基本情報をアカウントのように登録したら、その後はその年に応じた計画書や実績報告書に入力すればいいのに、交付金としても含めれば平成20年台前半から始まったこの制度の申請方法が、未だにエクセルというのは信じがたい。
それなのに介護業界にDX化を推進しているわけだから矛盾を感じる。
――― 確かにエクセルやワードには誰もが慣れている。
しかし、慣れているということは「今までどおり」ということでもある。
DXとは「今までどおり」からの変革であり、働き方やツールを変えることで事業にイノベーションをもたらすことが目的である。
行政もそろそろエクセルやワードを手放してはどうだろう? いきなりは無理だろうが、他国はどんどんデジタル化やオンライン化が進んでいる。
せめて、毎年のように提出する書類においては重複する情報は継承できるような体制にしていただきたい。できないわけがない、こんなことはちょっと勉強すれば小学生でもできてしまう。・・・が、問題はおそらくツールではなく行政という組織体制なのだろう。
ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。