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会話だけが介護のコミュニケーションではない。細やかな「声掛け」により本当の信頼関係を得よう

介護の仕事は、利用者たる高齢者とコミュニケーションが必須である。

このように言うと「自分はコミュニケーションが苦手」「高齢者と何を話していいか分からない」と悩む介護者は少なくない。

確かに利用者との会話を通じたコミュニケーションは、介護において1番多いのは確かである。そのため、利用者と楽しそうにおしゃべりしている介護者は優秀であるように見られる。

――― しかし、コミュニケーションとは会話だけではない。
――― 別に、楽しくおしゃべりができなくても問題ない。

そのためにには、まず「コミュニケーション=会話(おしゃべり)」という思い込みを外す必要がある。

そもそも、コミュニケーションの目的は「意思疎通」や「情報のやり取り」である。その1つとして会話という方法がとられているだけだ。

また、コミュニケーションは言語を用いたやり取りだけではない。
非言語による「感覚のやり取り」だってコミュニケーションだ。

例えば、ずっと同じ空間に一緒にいるのに、言葉を交わさなくて「何か落ち着く」ということはあろうだろう。むしろ、下手に何かを言おうとして、逆に気まずくなることもある。

このような場合、言語によるコミュニケーションよりも、非言語コミュニケーションのほうが有効であることを意味している。

おしゃべり好きな人よりも、口数が少ない人のほうが良い人間関係を構築できるケースだって少なからずあることを覚えていただきたい。

――― では、会話が苦手な人でもできる介護のコミュニケーションとは、一体どうすれば良いのか?

結論から言えば「声掛け」だけしていれば十分である。

介護現場を見ていると、意外に介助中の声掛けが少ない。というか、声掛けしないまま介助を続行していることが多い。

例えば、オムツ交換しているときも、何も言わずに利用者の体を動かしたり、陰部洗浄をしたり、ズボンをはかせたりしている。口から出るのは溜息ばかり。これはベテラン介護士であってもやりがちだ。

しかし、実際のところ介護を受けている利用者からすれば、何も言われずに介助を受けるというのは恐怖でしかない。それは、人間は何が起こるか分からない状況に不安を抱くからだ。

一方、1つ1つの動作や介助に対して「次は〇〇をしますね」と細かく伝えることで安心感を与えられる。
それが「声掛け」であり、介護の仕事において会話(おしゃべり)よりも重要なコミュニケーションなのだ。

もちろん、利用者と楽しくおしゃべりができることに越したことはない。
しかし、会話だけが介護ではない。コミュニケーションの1つに会話があるということを覚えておいていただきたい。

もしも、「口下手な自分が介護をやっていいのか」と悩むのであれば、まずは誰よりも多く「声掛け」しながら介助してみてはいかがだろうか?

それは介護の本質的なコミュニケーションとして、利用者から本当の意味での信頼を得ることができると思う。

ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

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