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2024年読書まとめ食・料理編

今年はジャンルとしては結構買ったような気がする。雑誌やブクログに登録できないZINEもだいぶ買ってしまったけど、今回は含めず。まだギリギリ読み切れてないものもある。

エッセイ

わたしの名店

人に教えたくない名店は幾つかあるけど1つあげるとしたらどこになるだろうと考えてしまう。バービーさんや道尾秀介さんの紹介が良かった。いずれもこういうの書いてみたいなと思う。

異国の味

すっかり稲田さんのファンになってしまったけど、これもとても面白かった。特に以下の一説はとても救われる。マズいもまた良し。

おいしいマズいは確かに主観ですが、その主観の方を克己的に鍛え上げようとするのがマニアということです。一度鍛えた主観は裏切らない財産。未知の食べ物のおいしさを瞬時に理解するスキルは、ひたすら高まって行きます。

『異国の味』

寄せ場のグルメ

寄せ場やドヤに出向いてご飯を食べるというのはほとんどしたことはなかったが面白かった。今はもう既になくなってしまったお店も多々あり、とても貴重なフィールドワークによる一冊。最後の『現代の「寄せ場」はどこにある?』でファミレスに言及されているのは興味深い。

いとしいたべもの

自分にとっての『いとしいたべもの』とは何なのか?と考えて、子どもの頃とかどんな食べ物の思い出があるのか、いろいろを探してしまう。まつたけの描写と崎陽軒のシウマイ弁当がとても印象的だった。

こいしいたべもの

こちらは続編。食べ物と人の思い出一つ一つが具体的でなんだか羨ましく思う。京都の手土産のエピソードやコロッケパン、沢村貞子さんのエピソードが印象的で良かった。

ぷくぷく、お肉

著名な方々の肉にまつわるエッセイ。肉と文学という掛け合わせのような一冊。皆すき焼きやカツが好き。

ずるずる、ラーメン

肉に続く第2弾。まさかの千葉雅也さんの「タナトスのラーメン」が惹かれてしまった。

京都の中華

もう閉店してしまったお店もあるけどその土地に根付いたお店毎のストーリーや歴史、美味しい逸品達の紹介がとても良い。まだ残っているお店、特にこちらでいう町中華の層に分類されるようなお店には率先して行っておきたいと思う。京都へ行くときはこの本を持っていくのが普通になった。

何度でも食べたい。 あんこの本

一つ一つの紹介からあんこ愛を感じざるを得ない…これもまたフィールドワークの賜物で都内とかに限らず全国行脚というところが凄い。とはいえ東京のもほとんど訪れた事がないのでぜひ行ってみたい。特に泉岳寺の松島屋は面白そうだけどまだ行けていない。

遺したい味 わたしの東京、わたしの京都

平松洋子さんと姜尚美さんの手紙のやり取り。自分の知っているお店が語られているととても嬉しくなる。京都の行きたいお店も増えた。こういうやりとりとても羨ましくて良い。新しい店も日々生まれているけど、自分の中でも「遺したい味」を見つけておきたいなと思う。

ごはんぐるり

食にまつわる思い出が面白く楽しい西さんの言葉で綴られていてとても良い読後感。「正解シリーズ」や「はじめましてシリーズ」、特にフィンランドの「住食衣」が印象的。自分からすると子供時代の思い出がたくさんあってちょっと羨ましくもある。

おいしいアンソロジー ビール 今日もゴクゴク、喉がなる

ビールの小話でいうと中学生のころに家族でお寿司を食べに行ったとき父親が瓶ビールを注文したらグラスが2つでてきて、父と母の分かと思いきや父を私の前にグラスを置かれる、というのがあったのを思い出した。当然未成年なのでそのときは飲まず。

小さい午餐

年末に絶賛読んでいる最中。他のエッセイとはちょっと違う雰囲気があり、自分の視点とそこから見える世界が詳細に描かれていて惹かれる。

あじフライを有楽町で

タイトルと表紙に惹かれて。一つ一つのエピソードのイメージと読んだら興味の唆られる感じがなんとも良い。平松さんと穂村さんの黒にんにくのエピソードは面白かった。有楽町の大正軒は行ったことないので行かなきゃと思う。

レシピ本

スパイスハンターの世界カレー紀行

厳密にはレシピ本ではない…けどレシピの載っているのでまあ良しとする。どちらかとうと読んでいると水野さんの人柄を全面に感じられる一冊だと思う。世界のカレー料理の見た目の独特さも面白い。

ぼんごのおにぎり おいしさのヒミツ

実はぼんごで実際に食べたことはないけど、昔から知っている。後に料理教室で女将さんが教えてくれるコマに参加することになるとはこれを読んだときには思っていなかった。

生産者さんだから知っている そのままおいしい野菜の食べ方

季節ごとの野菜・果物の構成になっているのが良い。まだまだ野菜・果物の知らないことはたくさんあるんだなと感じる。結構そのまま生だったりシンプルに火を通すだけで食べるのも良さそうな野菜が実に多いというのは発見だった。

虚無レシピ

「虚無」という単語がとても美味い(上手い)もので、より「虚無」に近づくために調味料の導線改善もちょっと考えてしまう。実は一人暮らしをしている時は結構近しいものを作ってんだなぁと読んでて感慨深い。あと何気に「虚無」じゃないレシピも結構良いという。

23時のおつまみ研究所

スケラッコさんのイラストとストーリー、細かい所に楽しみが散らばっている雰囲、そして実は結構理論的な内容になっていてレシピ本だけど読んでるだけでとてもおもしろい。「テツロウさんが作ってみたら」が特に良い。作りながら飲めるのもあれば何日か待つものもあり、楽しみ方がそれぞれ。

午前7時の朝ごはん研究所

23時の続編で午前7時の朝ご飯。こちらもスケラッコさんのイラストとストーリー仕立て、ちょこちょこある小ネタが豊富で読んでいるだけでも面白い。魚を焼くではなく茹でるは全然考えたことなかったので慧眼だった。次もあるっぽい雰囲気が出てるので楽しみ。

もっと自由に、もっと楽しく! スパイス&ハーブの教科書

レシピの掲載も多数あるけど読み物としてもとても面白かった。2章と4章は勉強になるし、3章は眺めているだけでも楽しい。どれかは作ってみようと思う。


スーパーの食材で究極の家庭料理

東山さんの念願のレシピ本。料理教室でのやりとりから感じるこだわりと追求が文章で読めるのがとても良い。

「365日」の考えるパン

年末に絶賛読んでいる最中。代々木八幡の「365日」、現ウルトラキッチンの杉窪さんの書籍。「なぜ」を徹底的に追求したパン作りが読めてとても勉強になる。

日本生まれのインド人、メタ・バラッツのスパイスカレーユニバース

Kindle Unlimitedで読める。レシピ量が半端ないので見ているだけでも楽しい。作るかどうかはちょっと考え中。

ミニマル料理「和」 最小限の材料で最大のおいしさを手に入れる和食のニュースタンダード

ミニマル料理2作目。トークイベントにも参加したけどやはり面白い。最初がおかゆ、そして和と言いながら天津飯が出てくる。そして個人的に大好きな酢の物にフォーカスがあたっているのもととても良い。すごい一冊に出会えたと思う。

マニアック家中華

こちらも年末ギリギリの発売となった東山さんのレシピシリーズ。料理教室であった餃子や麻婆豆腐、ニラそば他、50種類以上のレシピあり。個人的にはムースーローのレシピが知りたくてとても良かった。


歴史

おいしい食の流行史

分類迷うけどエッセイとは別か…?ということで歴史に関することなので別にしてみた。参考文献の量が半端なくてここからさらに読みたい本がいくつか出てくる。近代の食の歴史をいろんな視点で幅広く追って読める一冊。

和食の文化史 各地に息づくさまざまな食

こちらは和食に限定。寿司やそば、江戸文化など幅広く読める。『たべものラジオ』で聞いた話もちらほらありつつも、やはり食文化の話は面白いなと再認識した一冊。特に関東関西の違いや後半の8章や9章は興味深い。

オムライスの秘密 メロンパンの謎 人気メニュー誕生ものがたり

こちらはメニューを起点にした歴史で誕生した背景など。まず目次がとても美味しい。シベリアがチョイスされていたのがとても渋いなぁと撃ち抜かれた。

日本外食全史

またまた阿古真理さんの一冊。こちらも紹介文献量が半端なくてこれもまた読んだあとに積読が増えてしまった…分厚さも今年読んだなかではTOP5に入る気がする。
大阪万博の話やファミレス、チェーン店の章は特に興味深くて面白かった。

カレー移民の謎

こちらオススメされた一冊でとても面白かった。インネパ系が増えていく理由とその背景にある社会課題は切りはなせない話題。そんななかでサラムナマステとかはほんとにあってありがたいお店の一つだなと改めて思う。

パクチーとアジア飯

これまた阿古真理さんの一冊。パクチー大好きな自分としては外せない。パクチーに限らずスパイスやアジア飯文化について、それらについて熱い思いを持っている人たち歴史が垣間見える一冊。

味なニッポン戦後史

酸味と苦味こそ人の味覚の複雑さ、面白さというあとがきの一文にはとても共感。特に酸味好きな自分としては甘くない時代のトマトにどうしたら出会えるのかとふと考えてしまう。脂肪味についてもこれからどんどん解明されていくんだろう。

現代調理道具論 おいしさ・美しさ・楽しさを最大化する

稲田さんの書籍はハズレ無し。かっぱ橋道具街に行きたくなること間違いなし、ホットクック欲しくなること間違いなし。各種レシピも思わずやってしまう、やってみたくなるものばかりで単純に読み物としても面白いです。

なぜ日本のフランスパンは世界一になったのか パンと日本人の150年

日本だけではなく世界的なパンの歴史・潮流が読める。これをベースにパンの地図みたいなのも作れそうな気がするけど、きっともうあるだろう。パンの歴史の中でも特に2000年代初頭のパンそのもののブームがあったところから徐々にパン屋に注目が集まっていった流れを知る。

京都食堂探究 「麺類・丼物」文化の美味なる世界

東京の食文化にどっぷりな身からするととても興味深いて面白かった。旅先でよく行く・行きたいところの多い京都で京中華に限らず、しっぽくやたぬき、ちゃんぽん、とじ、独自の丼ものなどなどこの本を片手に実際に食したい。

すし 天ぷら 蕎麦 うなぎ 江戸四大名物食の誕生

資料的は意味合いで良書。個人的には値段についての言及が面白くて、例えばそばとうなぎの価格差は10倍くらいなのは今も昔も違和感がない。すしについてはラジオ「ただいま発酵中」でも聞いていたので、なんとなく聞いたことがあるところも多かった。


その他

少し不思議なカレーの物語

タケナカリーさんの小説。カレーが題材。カレー小説。カレー食べたくなる。和魂印才たんどーるに行きたくなってくる。表紙は一体なんなんだろう?

研究者、魚醤と出会う。 山形の離島・飛島塩辛を追って

なぜかビビっときて魚醤の本を買う。改めてこういうフィールドワークな本は好きだなと再認識した。水産については素人だけど魚醤も奥が深いくて面白い。

「おいしさ」の錯覚 最新科学でわかった、美味の真実

味覚以外の感覚で「おいしさ」を科学的・実証実験などを交えて解読していく一冊。五感以外にも機内食やソーシャルダイニング、個人食といった章の構成があるところも興味深い。特に手触り・口当たりについては今後食のキーワードになるんだろうと思う。

京都のパン屋さん

一乗寺のアリバイブックスで見かけて購入。初版が2006年でまるき製パン序や柳月堂、Le Petit Mecなど今でも人気のあるところが掲載されている。これからも続いて欲しい。まだ残っているパン屋はホンモノなんだと思う。

美食の教養 世界一の美食家が知っていること

「美食」というのは単に高級なレストランに行くことや効果な食材を使ったものを食べるにあらず。文化的に食べる。美味しいを探究する。食の歴史や食材・調理方法の変化、表現の仕方、など知らなかったことも多くとても面白くて2024年ベスト候補の一つ。

結構積んだし読みもした一年だった。

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Kei Tanahashi
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