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「オオカミと7ひきのこやぎ」は残酷!?

子育て支援の活動に、布絵本をお貸ししている。1ヶ月に一度の、1歳になったばかりのお子さんとママを集めたイベントで、毎回布絵本を使って読み聞かせをしてくださっている。一番初めにお貸ししたのが「おむすびころりん」という布絵本で、これがママもお子さんにも大好評だった。毎回参加される方が違うので同じ布絵本でもよかったんだけど、こやぎがいろんな場所に隠れたり、オオカミがこやぎを食べちゃったりする、「オオカミと7ひきのこやぎ」は絶対受ける!と確信を持って、主催者に託した。

イベントが終わった後ワクワクしながら様子を聞くと、一通り流れを説明してくれて、まあまあだったと言ってはくれたものの、自信のあった「オオカミがこやぎを食べちゃうとこは?」と聞くと、ちょっと笑いながらこう言った。

「いやあ、お母さんたち、ドン引き。なんで一歳の子にこんなん見せてんの?って感じだった」

一歳のお子さんには残酷だったかあ。絵本のセレクト失敗だな。ん?ってか、まだ意味わかんなくない?潜在意識に残るってか?

色々と「???」と思いながら、いや、ママにとって、一歳の子に見せてくれるなってことだよなっということはわかった。

この布絵本は16年前、本に載せるために作った。その時も、オオカミを井戸に入れるのは残酷じゃないか、井戸のページを入れるか編集者ともめた。ただ、私がオオカミがこやぎを食べる仕組みを考えついた(口から入れて、チャックのお腹を開けると出てくる)ことにえらく自信を持っていたため、そこは問題にならず「すごいですねー」と感心してくれていた。本が出たあと、ホームページの掲示板で、昔話は残酷だから結末を変える変えないで、意見が分かれたことはある。最近の昔話は悪者を懲らしめはするけど、そのあと仲間に入れて楽しく余生を送る顛末に変えているのも結構多い。

小さい時、それこそ「オオカミと7ひきのこやぎ」や「赤ずきんちゃん」を読んで、井戸が怖くて怖くてしかたなかった。だから子どもが物語の中で感じる恐怖が半端ないことも理解できる。だけど私は「怖い部分もちゃんと入ってる、そのまま変えない」という方針で布絵本を作っている。

ただ、布絵本は何度でもお話を練り直すことができる。人形を動かしながら、どんどん違うお話になっていったりする。井戸の桶にこやぎを入れて、水遊びさせることだってできる。遊びの幅は、無限大なのだ。

そんなことを証明するかのような、生徒さんから聞いたとても好きなお話をご紹介しましょう。

3歳の女の子。この布絵本がとても好きで、よく遊んでくれたんだけど、やっぱりオオカミがこやぎを食べちゃうのが怖い。なので、一日置きに、今日はオオカミがこやぎを食べちゃう日、次の日はオオカミがこやぎと楽しく遊ぶ日って、決めて遊んでたというお話。こんな遊び方、大人では想像がつかない。そして子どもはそうやってお話を消化していく。






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