②ABCの枠組みを使った行動の教え方(Ⅰ)
前回は、応用行動分析学での行動の理由の捉えるため、ABCの枠組みで観察すること、そして、行動が増える(または、減る)のは、行動の直後の結果が影響していることを解説しました。
掃除をさぼるタカシくんの例で、ABCの枠組みで観察すると、以下のような状況が読み取れました。
Cの結果から、タカシくんの行動は友達からの注意(注目)や掃除をやらずに済んでいる(逃避/回避)というメリット(理由)によって維持されていることが推測されました。
では、ここからが本題です。タカシくんが掃除に取り組むために、ABCそれぞれの視点でどこにつまずきがあるのかを考えてみます。
まず、「Aきっかけ」です。掃除が始まることが本当にタカシくんに伝わっているかどうか?を考えてみます。例えば、「チャイムがなる」「掃除です」と指示される等、のきっかけがあったとして、その指示がタカシくんの行動を引き出す合図になっているかどうかを検討します。
次に、「B行動」です。そもそもタカシくんに掃除のスキルがあるかどうかです。ほうきで床を掃く、雑巾を絞る、モップで拭く等、掃除に関するスキルが十分に身に付いてなければ、練習する必要がありますね。
最後に、「C結果」です。ここでは、タカシくんにとって掃除をすることのメリットがあるかどうかです。掃除をしても誰からもほめられなかったり、「きれいになること」「気持ちがスッキリする」等の活動そのものへの達成感を感じにくかったりすると、掃除をする行動は維持されません。
つまり、掃除ができない理由をABCそれぞれの視点で考えてみることで、どの部分でつまずいているのかが分かり、支援のきっかを得ることができます。
<教室で使える「ちょこっと」スキル>
「片付けをしないルミさん」 についてABCそれぞれの視点で、本人が困っていること、支援の工夫について考えてみましょう。
【ポイント】ABCそれぞれの視点で考えてみる。
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回答例
ABCのどの支援がヒットするかは、やってみないと分かりません。大切なのは、本人の困っていることをABCそれぞれの視点で考えて、支援を考えることです。
次回は、ABCの枠組みを使って未習得のスキルを教える方法について解説します。