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鑑定士と顔のない依頼人から無理やりマネジメントを学ぶ

日本での公開当初から見たいと思っていた映画「鑑定士と顔のない依頼人」をプライムビデオで発見し、7年越しにようやく見ることができました。

ラストは賛否あるようですが、衝撃のラスト好きとしては大変楽しめました。

何か感想をと思ったのですが、お話の考察記事は沢山あるので今回は登場人物のマネジメント能力について深掘りしてみようと思います。

※以下、本編のネタバレを含みますので映画の内容を知りたくない方はご注意ください。むしろ映画を見てないと全くわからない内容になっているので是非見てから読んでいただきたいです。

まずはざっくりストーリー

オークショナリーのヴァージルは自身が欲しい美術品を、売れない画家であり友人のビリーを使って安価に落札し、自分のコレクションとして所蔵していました。

鑑定士でもあるヴァージルはある日、電話で謎の女性クレアに鑑定の依頼をされます。指定されたヴィラ(金持ちの屋敷)に訪れると大量の美術品や骨董品があり、依頼人は姿を見せないままですが鑑定をすることになります。

鑑定を進める中で次第にヴァージルはクレアに恋心を抱き、機械技師ロバートの助言もあり結ばれることになります。ヴァージルは自分のコレクションをクレアに見せるために所蔵してある部屋にクレアを招き入れます。

後日、ヴァージルのコレクションは何者かによって盗まれてしまいます。

それはなんとビリーの仕業で、クレアとロバート(他数名)を使ってヴァージルを騙していたのです。ヴァージルは衝撃のあまり精神病院で入院してエンディングを迎えます。

…ざっくり!

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画像引用:https://www.cinematoday.jp/page/A0003932

非常に綿密な計画による盗みなわけですが、この計画の難易度と「黒幕であるビリー」がいかにして成功させたのか考えてみたいと思います。

計画を立てて実行し、成功までもっていく力がすごい

この正気の沙汰ではない高難易度なプロジェクトを企画し、能力の高いメンバーを集めて取りまとめ、プロジェクトを最後までやり遂げるのはかなり大変だったと思います。

すべてが偽りだとすると、オーシャンズ11ばりのかなり壮大な計画なので、パッと思いつくだけでも懸念される事柄はいくつもありますが、全てクリアしています。

1. ヴァージルが途中で案件から降りる可能性
まずはヴァージルが鑑定して恋に落ちてくれないと話が進みません。
現に、依頼人であるクレア役の女性とは何度も口論になり降りかけていますが、ギリギリの駆け引きの中でクレアへの恋心へ変化させています。
見事なリサーチ能力でヴァージルの心理をついています。

2. 共犯者がミスをする可能性
高度な演技力やそれぞれ現場での判断が求められるにもかかわらず、大きなミスは起こっておりません。ビリーがメンバーに対し明確なビジョンを打ち出し、指導を行ったことが垣間見れます。

3. 共犯者が裏切る可能性
常人であれば精神的にかなり辛いミッションですが心変わりや裏切りは起きませんでした。お金だけでここまでできるとは思えないため、全員の利害関係をうまくコントロールしていたと考えられます。

細かいところを言えばまだまだたくさんありますが、考えついたとしても成功させるのは相当大変なプロジェクトだということがわかるかと思います。

チームビルディング力もすごい

全員がビリーに対して多大な信頼をおいていない限り、ここまでの結束力は生まれることはないでしょう。

クレア役の女性は好きでもないおじさんと深い関係になる必要がありますし、恨まれるリスクもかなり高く危険な役どころです。ロバートはあの街で店を構えておりヴァージルからもお客さんからも信頼されていた様なのでヴァージルとは元々知り合いの可能性が高いです。

ここまでの信頼を得るためにビリーはどの様な策を講じたのでしょうか。

ヴァージルの爪の甘さもリサーチ済み

被害者であるヴァージルですが、よくよく考えると対応としてかなり甘い部分があります。

1. 身分証明書のチェックが甘い
子供の頃のパスポートでOKしてしまっており、確認を怠っているため甘かったと言わざる終えません。

2. 物品のチェックが甘い
ビリー側が手配したレンタル品であったにもかかわらず、最後まで鑑定を進めてしまっています。そんなチェック体制では盗品も売り放題です。

3. 現場となったヴィラ事態のチェックが甘い
調べれば、頻繁に貸し出されていることなどはわかりそうなものですが、まんまと騙されてしまっています。

というように相当甘いわけですが、一つでもミスると計画が台無しになってしまうため、ビリーはそこもリサーチ済みだったと考えられます。

【番外編】ビリーはなぜこんなことをしたのか

画家として認めてくれないヴァージルを恨んでいたとしても、売れる方法はほかにもあったはずです。

しかもヴァージルからは楽で良い仕事を任されており、そこそこのお金はもらっていたようです。名画を売ればかなりのお金になるとは思いますが、ここまでのことをする必要があったのでしょうか。

ビリーの動機や計画の裏側が気になります。

色々書きましたが、純粋に楽しい映画だったので見ていない方は是非見てみてください。

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