東証arrowheadシステム停止 世の中「絶対」は無いとういうこと
今朝から大きく報道され、市場関係者はじめとする方々は大混乱に陥っていたのではないでしょうか。
既に16時半から記者会見が開始され、今回の事象はハードウェアの機器故障に起因して、朝からの売買停止に至ったと報道されています。
今回の事象まとめ
・東京証券取引所の取引システムarrowheadの一部機器で機器故障が起きた
・情報配信システム(情報を発信するための出入口)の、共有ディスク装置1号機で機器故障が早朝に発生
・本来であれば、1号機で故障が起きた際には、自動的に2号機に切り替わり通常運転できていたはずだが、今回切り替えが行われなかった
・1号機→常に稼働するメインマシン(プライマリ)
・2号機→普段は稼働していないバックアップマシン(セカンダリ)
・手動での1号機→2号機への切り替えも実施可能であったが、開場前に証券会社等から注文を受けているため、午後からの再開とすると、市場の混乱を招きかねないということで、終日取引の停止とした
・東証からベンダー(富士通)への損害賠償は考えていない
・サイバー攻撃によるものではない
・明日からは通常稼働の予定
・arrowhead構築ベンダーは富士通㈱
※通常業界においては、「障害」という言葉を使いますが、業界外の方に馴染みがないので「故障」という言葉を使っています。
※記者会見を仕事しながら見て、その後超特急で書いているので、もしも間違っていたら、コメントください!
arrowheadについては東証さんのHPをご覧ください。2010年に稼働した、世界最高水準の高速性・信頼性・拡張性を兼ね備えた、売買システムの呼称となります。
絶対は無いということ
個人的には、サイバー攻撃によるシステム停止でなくて良かったと感じています。これがもしもサイバー攻撃によるものであったら、日本の取引市場は沈没していたことは間違いないでしょう。
なぜならば、本来インターネットとは隔離された環境にあるはずのarrowheadが外部からの攻撃を受けるということは、全ての防御を突破されてarrowheadに到達されてしまったということ。そうなると、日本国内の投資家や市場関係者だけにとどまらず、世界中の投資家から全ての資本を引き揚げられてしまう事態に繋がります。
日本及び世界の企業や投資家からの信用が失墜してしまう、ということです。
今回、信用は失墜してしまったことに変わりはありませんが、最悪のケースではなかった、という意味で冒頭「良かった」と記載しております。
◇ ◇ ◇
また、1号機(プライマリ)から2号機(セカンダリ)に、切り替えが正常に行われなかった、というのは業界的にもよく聞く話です。(本当はよく聞く話と言う時点で、よろしくないんですけどね)
ここで改めて考えないといけないのが、システムは万能ではなく、所詮は人間が作った機械であるため、常に壊れてしまう可能性がある。また、そのための対処システムがあったとしても、それが間違いなく100%動くことを前提に構えていてはならない、ということだと思う。つまり、「絶対」は存在しないということです。
東証としても、市場の運営者として安心安全な取引のために今回の取引停止は英断であったと思います。ただし、今後も同じような事が起きたときに、再度終日取引停止となってしまうことは許されないでしょう。また、東証CIOの質疑応答は素晴らしかったと思います。あれほど自社のシステムを理解しており、てきぱきと答えられる人間は多くは無いでしょう。
ベンダーである富士通とともに、再発の防止徹底と、起きてしまった時のBCPを改めて見直していくことで、市場の信頼を取り戻していくしかないだろう。
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