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医療の接遇はサービス業のお手本だと思う

接遇というとちょっと堅苦しいイメージがあるかもしれませんがどうでしょうか。
お辞儀や敬語を基本とする言葉づかいなどの応対技術の良し悪しを思い浮かべる方も多いかと思います。

もちろん動作の美しさや、相手に不快な思いをさせないための言葉づかいは大切です。
しかし私は、どんなに正しい敬語であろうと、どんなに基本通りの美しい動作であろうと、「そこに気持ちがこもっているかどうか」が評価の基準でなければならないと思っています。
 

”気持ちをこめる””思いやり”ってどんなこと?

接遇の基本概念は「相手の立場に立つ」ということです。

よく「思いやりをもって」といいますが、思いやりとは「一度相手に思いをやる」、イメージとしては相手の背中側に回り込んで、同じ方向を向いて考え行動につなげていくことだと思います。
一方的な思いやりは、余計なお世話になりかねません。

「この方は何をしてほしいのだろうか」「自分の家族だったらどうするだろうか」と自分事として考え、分からなければ「どんなふうにしてほしいですか」「なにか不安なことはありませんか」と寄り添うことが出発点。

まずは「”相手のために”という気持ちを持つ」という出発点に立つことが「気持ちをこめる」土台だと思います。
 

「病気さえ治してもらえばなんでも我慢します」の時代ではない。


現在、日本の医療が安心安全であるというのは当たり前の時代です。

ただ単に病気さえ治ればいい・・ではなく、安心安全を踏まえた上で、「そこにいる医療者との良好な人間関係の中で、気持ちよく納得して治療を受けていきたい」、そんなトータル的な居心地の良さが求められているのです。

トータル的な居心地は「医療技術」+「患者応対」という「ハード」と「ソフト」の両輪がバランスよく整ってはじめて構築されます。
ハードだけがどんなにピカピカでも、そこに温かな血が通ってなくてはいけないのです。

ナイチンゲールの言葉に、
【たとえたとえ経験しないことでも、その人の悩みや悲しみを分かる感性がないなら看護師を志願しない方がいい】というものがあります。
医療者みんなに必要な感性です。

なぜ「医療接遇はサービス業のお手本」なのか。


医療の接遇は、病気への不安や痛いといった辛い状況にいる方々に、少しでも心を和らげていただきながら安心して治療に専念していただくためにあります。

そのためには先ほどのナイチンゲールの言葉にある「感性」が重要なのです。

上下関係ではなく、相手を家族のように思い、「お役に立とう」「喜んでいただきたい」「元気になってほしい」・・
相手が喜んでくれること、誰かのお役に立てることで自分の幸せを見出し、全力で治療のお手伝いをしていくのです。
これが医療者の行動の原点であるホスピタリティマインドです。

このホスピタリティマインドが医療者の専門能力・技術を輝かせ、そして患者さんを元気にしていくのです。

大切な命や健康ということを一緒に見つめながら闘病という時を共有していく・・
この医療者の接遇は、正にサービス業のお手本ではないかと思うのですが皆さんはどう感じますか。
 

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