SWOTを使い尽くそう(第2回)
第2回は、SWOTの戦略策定思考では自社の内部環境をどのように検討するかを見ていきます。
第1回はこちら⇒
1.自社の「強み」「弱み」とは、何か?
「強み」・「弱み」と言われると、同業他社と比較したときの自社の相対的な「強み」・「弱み」と受け止めがちです。これは半分正解ですが、半分間違っています。ここはSWOTで効果的な戦略を引き出す上で、非常に大切なポイントです。
SWOTで外部環境変化に耐えられる戦略を導き出すためには、自社の「強み」・「弱み」を、次の2つの関係で捉える必要があります。
※同業他社との関係
※外部環境の変化がもたらす「機会」・「脅威」との関係
これを図式化すると次のような考え方になります。
つまり、「機会」を他社より有効に活用させ「脅威」を他社より小さくするのが「強み」であり、「機会」を他社より有効活用できなくし「脅威」を他社より大きくしてしまうのが「弱み」なのです。
上の図式で「自社独自の要因」という言葉を使いました。「自社にはあって、他社にはない要因」という意味です。
しかし、これでは漠然としています。具体的にどういうものが「自社独自の要因」なのか、特定していきましょう。
2.自社独自の要因とは何か
企業は「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つの経営資源を用いて事業を展開します。「強み」・「弱み」もこれら4つの経営資源を頭に置いて考えていけばよいのです。
ヒトについては、どのような特性・能力を備え、どのような知識・技能を持った社員が多数存在するかを見ていきます。
モノには2種類あります。ひとつは消費者に提供する製品です。サービス業の場合は、モノをサービスで置き換えます。もうひとつは、そのモノ(サービス)を産み出すために用いている設備です。
自社の製品(サービス)は他社と比べてどういう特徴があるのか? 自社の設備は他社と比べてどういう特徴があるのか? ここをみていきます。
カネについては、検討対象の事業が「お金をどのように稼ぎ、どのように使っているか? そこに他社と比べて、どのような特徴があるのか?」を見ていけばよいことになります。
と、ザックリ言ってしまいましたが、カネを通して事業を評価する色々な視点があり、その中にはSWOTで競争戦略を立てる上で必ずおさえておくべきものと、とりあえず外してよいものがあります。ここは少し突っ込んだ話になるので、次回に譲ることにします。
情報の中でSWOTで戦略を立てる際に重要なのは、製品(サービス)を製造・販売するための情報です。製造に関しては、基礎技術、応用技術、製造技術の情報が重要です。販売に関しては、顧客情報、流通経路の情報が重要です。これらについて、自社が保有している情報には他社と比べてどのような特徴があるのかをみていくことになります。
次回は、SWOTで戦略を立てる上で、カネはどのような視点でみていけばよいかを説明します。
〈第3回につづく〉