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ChatGPT再実験/出だしの一文で小説生成してもらいました
昨年の9月20日に、noteメンバーである 藤巻 隆 さんと どまんだかっぷ さんの投稿に触発されて、出だしの一文を与えてChatGPTに小説を生成してもらう実験をしました。
藤巻さんの記事はこちら:
どまんだかっぷ さんの記事はこちら:
私の記事はこちら:
あれから1年強が経ち、ChatGPTはさらなる進化を遂げているようです。
そこで、久しぶりにお手並み拝見ということで、前回と同じ出だしの一文で小説を生成してもらいました。
前回は字数制限なしと指示したところ800字以内に収まっていました。とはいっても、バージョンアップしています。もっと長く書いてくれるかもしれません。
正しい比較のためには今回も字数無制限とすべきですが、この投稿をあまり長々したものにしたくなかったので、今回は、初めから800字以内と指示しています。
1.ChatGPTへの指示
指示内容は
「それは夢で見た光景だった」という書き出しで小説を800字以内で書いてください。
です。生成回数は、前回は2回でしたが、今回は3回にしました。
使用したのは無料版のChat 4oです。
2.先に結論から
このあと、生成回数3回分・合計2,400字を紹介します。お急ぎの方もいらっしゃるかと思うので、私の結論を先に言ってしまいます。
2-1.今回生成された小説について
ストーリーは生成回ごとに異なるものの、全体構成は共通です。「夢の中の体験を回想し、その夢について、夢から覚めて思うところを述べる」流れを、「起承転結」の枠組みにきちっと収めています。
ただし、第3回生成は、「起承転結」の「承」の中がさらに「起承転結」に分かれる「入れ子構造」になっています。
3回の生成に共通して、正確で意味の紛れが生じにくい代わりに硬くて表現の綾に乏しい文体となっています。
ここだけを見ると、ChatGPTは、小説についてセンテンス・レベルの表現の綾よりも構成をよく学習して、デフォルトの構成方法を構築しているように見受けられます。
2-2.前回実験との比較で
構成は、前回と今回で違いは感じませんでした。「起承転結」を遵守しています。
変わったなと思うのは、文体です。前回は、シノプシス的な薄い文を集めて無難にまとめただけという印象を受けたのですが、それに比べて、今回の3作は、小説的で厚みある文体で書かれていると思います。
ただし、その厚みは、使われているコトバが平易で見たまま・聞いたままのコトバから、難しくて重い意味を含んでいそうに聞こえるコトバに変わったことによるもので、主人公(ここでは「私」)の内面がより深く掘り下げられているわけではないと感じました。
切れば血が出るような生々しい感情を現時点のChatGPTが書けるかというと、疑問が残ります。それが書けないのがAIだという意見もあると思いますが、その点については、私は今のところは判断を保留したいと思います。
3.生成文
私が「起承転結」の分かれ目と判断した箇所に、【起】・【承】・【転】・【結】と書き入れてあります。
3-1.第1回生成
【起】
それは夢で見た光景だった。
夜明け前、静かな街の片隅にある小さな本屋が輝き始める。誰もいないはずの店内には、埃をかぶった本棚がずらりと並び、その中にはどこか見覚えのあるタイトルが並んでいる。薄暗い店の奥で、私は一冊の本を手に取る。表紙には、見たことのない名前が刻まれていたが、なぜか馴染み深い感覚に包まれる。
【承】
指先がページをめくるたびに、私が過去に過ごした記憶が鮮明に蘇る。その中には笑顔と涙、期待と失望が混ざり合い、いくつもの物語が交差している。しかし、私が本を閉じた瞬間、ふとした違和感が胸を締め付ける。それは、現実の記憶にはない「もう一つの人生」の記憶だった。そこには私が一度も経験したことのない出来事や、出会ったことのない人々が描かれている。しかしその瞬間、その記憶はあまりにリアルで、私の中に深く染み込んでいた。
私の隣には、微笑みを浮かべる見知らぬ女性が立っている。彼女は静かに私を見つめ、「ようやく戻ってきたのね」と囁く。その声は、まるで遥か昔から私を知っていたかのようだ。私は口を開こうとするが、言葉が喉に詰まり、代わりに涙が一粒、静かに頬を伝う。
【転】
しかし次の瞬間、私は薄暗い自分の部屋に戻っていた。あの本屋も、女性の姿も、すべてが夢の中に消えてしまった。けれども、胸の奥に残る不思議な温もりと、彼女の微笑みだけが鮮明に焼き付いている。
【結】
もう一度、あの本屋に行けるだろうか。もう一度、あの人に会えるだろうか。
3-2.第2回生成
【起】
それは夢で見た光景だった。
目が覚めた瞬間、私はその記憶の余韻に包まれていた。薄暗い森の中を歩いていると、月光が木々の隙間から降り注ぎ、地面を静かに照らしていた。周りは静まり返り、ただ私の足音だけが響く。誰かが私を呼んでいるような気がして足を止め、後ろを振り返るが、そこには誰もいない。
【承】
進むうちに、ぽつんと佇む古びた小屋が見えてきた。引き寄せられるように扉を開けると、中は意外に広く、天井まで積まれた本棚が部屋を囲んでいた。本棚の隙間から、どこかで見覚えのある写真がはみ出しているのが見えた。ふとその写真を手に取ると、そこには見知らぬ少年と私が並んで写っていた。無邪気な笑顔を浮かべている私と、手を握る少年。誰なのだろう、まるで覚えがないのに、胸の奥が懐かしさに震える。
その時、背後から足音が近づいてくるのが聞こえた。振り返ると、影のようにぼんやりとした人物が立っている。「ずっと探していたんだ」と、その声は優しくも悲しげに響いた。私は何も言えず、ただその場に立ち尽くしていた。その人はゆっくりと近づき、私の肩に手を置き、もう一度「やっと見つけた」とささやく。
【転】
しかし次の瞬間、私は目を覚ました。部屋の天井を見上げると、静寂と現実に引き戻される感覚に包まれる。夢の中の小屋や、あの写真、そして見知らぬ少年と謎の人物――すべてが夢だったのだろうか。けれども、あの温かな声の余韻と、誰かに肩を抱かれた感覚だけが、今もなお残っている。
【結】
また、あの夢を見ることができるだろうか。そしてもう一度、あの光景の続きを知ることができるだろうか。
3-3.第3回生成
【起】
それは夢で見た光景だった。
【承】
《【承】中の【起】》
窓から差し込む朝日で目を覚ました瞬間、私はあの光景を鮮明に思い出した。霧が立ち込める森の中、私は一人で静かに歩いていた。木々の間から微かな光が漏れ、足元の葉が湿った音を立てる。
《【承】中の【承】》
耳を澄ませると、遠くから優しい歌声が聞こえた。それは人間のものではない、どこか神秘的で懐かしい響きだった。
その歌声に導かれるように歩いていると、目の前に古い石造りの門が現れた。門の向こうには美しい庭が広がっていて、真ん中には泉が湧き出していた。その水面にはまばゆい光が踊り、私は思わず足を止めた。
泉の傍には長い髪を持つ女性が立っていて、私に向かって微笑んでいる。彼女の顔には見覚えがないはずなのに、不思議と懐かしい感情が胸を満たしていった。
《【承】中の【転】》
「ようこそ、待っていたわ」と彼女は静かに言った。彼女の声は歌声と同じ響きを持っていて、心の奥深くに染み渡った。私が何かを言おうと口を開いたその瞬間、世界が一瞬にしてかすみ始めた。風が吹き抜け、周りの景色が溶けるように消えていく。私が手を伸ばした時には、彼女の姿も、泉も、すべてが消え去っていた。
《【承】中の【結】》
現実に戻ってきた部屋の中で、私はなおも心の中に残る余韻を感じていた。あの森、石の門、そして泉の女性——すべてが夢だったとわかっているはずなのに、今もまだその世界に引き戻されそうな感覚が離れない。
【結】
あの夢は何だったのか。そしてあの光景にもう一度辿り着くことができるだろうか。夢か幻か、その答えを求めて、私はまた目を閉じるのだった。
4.次に試してみたいこと
今回は、出だしの一文と字数だけを指定しました。もし、具体的な作家を指定したら、どうなるのでしょう? その作家のストーリー展開のクセとか文体とかも真似てくるのでしょうか?
次回は、適当な作家をみつくろって、作家指定での生成を実験してみたいと思います。
ここまで、お付き合いたただき、ありがとうございました。
次回はこちら: