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或阿呆の一生芥川龍之介 僕はこの原稿を発表する可否は勿論、発表する時や機関も君に一任し…
善蔵を思う太宰治 ――はっきり言ってごらん。ごまかさずに言ってごらん。冗談も、にやにや…
如是我聞太宰治 一 他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者…
二十世紀旗手――(生れて、すみません。)太宰治 序唱 神の焔ほのおの苛烈かれつ…
一日の労苦太宰治 一月二十二日。 日々の告白という題にしようつもりであったが、ふと、…
火の鳥太宰治 序編には、女優高野幸代の女優に至る以前を記す。 昔の話である。須々木乙彦…
堕落論坂口安吾 半年のうちに世相は変った。醜しこの御楯みたてといでたつ我は。大君のへにこそ死なめかへりみはせじ。若者達は花と散ったが、同じ彼等が生き残って闇屋やみやとなる。ももとせの命ねがはじいつの日か御楯とゆかん君とちぎりて。けなげな心情で男を送った女達も半年の月日のうちに夫君の位牌いはいにぬかずくことも事務的になるばかりであろうし、やがて新たな面影を胸に宿すのも遠い日のことではない。人間が変ったのではない。人間は元来そういうものであり、変ったのは世相の上皮だけのことだ
お伽草紙太宰治 「あ、鳴つた。」 と言つて、父はペンを置いて立ち上る。警報くらゐでは立…
女生徒太宰治 あさ、眼をさますときの気持は、面白い。かくれんぼのとき、押入れの真っ暗い…
不良少年とキリスト坂口安吾 もう十日、歯がいたい。右頬に氷をのせ、ズルフォン剤をのんで…
デカダン文学論坂口安吾 極意だの免許皆伝などといふのは茶とか活花とか忍術とか剣術の話か…
或旧友へ送る手記芥川龍之介 誰もまだ自殺者自身の心理をありのままに書いたものはない。そ…
苦悩の年鑑太宰治 時代は少しも変らないと思う。一種の、あほらしい感じである。こんなのを…
斜陽太宰治 +目次 一 朝、食堂でスウプを一さじ、すっと吸ってお母さまが、 「あ」 と幽かすかな叫び声をお挙げになった。 「髪の毛?」 スウプに何か、イヤなものでも入っていたのかしら、と思った。 「いいえ」 お母さまは、何事も無かったように、またひらりと一さじ、スウプをお口に流し込み、すましてお顔を横に向け、お勝手の窓の、満開の山桜に視線を送り、そうしてお顔を横に向けたまま、またひらりと一さじ、スウプを小さなお唇のあいだに滑り込ませた。ヒラリ、という形容は、お母さ