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KSLA流の取りこぼさない数学中学3年: PAP
中学3年生向けの数学をやさしく解説します。1・2年生の学習内容が土台となり、新しく「二次方程式」「二次関数」「円の性質」「三平方の定理(ピタゴラスの定理)」などが加わって、より発展的かつ受験に直結する範囲が増えます。要点をしっかり把握し、基礎の復習を織り交ぜながら学習するとスムーズに理解できます。
【中学3年生向け】やさしい数学ガイド
1. 二次方程式()
● 二次方程式とは?
• 目標: 文字が2乗()まで含まれる方程式を解けるようになる。
• ポイント:
• 因数分解を使って解く方法
• 解の公式 を使う方法
• 例: → 因数分解で → or
例題1
• 問題: を解きなさい。
• 解き方 (因数分解):
1. と分解できる ( -2×5 = -10、-2+5=3 )
2. よって または
• 答え:
2. 二次関数()
● 二次関数の特徴
• 目標: と の関係がという形で表されるとき、そのグラフが“放物線”になることを知る。
• ポイント:
• 頂点の位置を求める
• 軸と呼ばれる放物線の対称軸 ()
• なら上に開く、 なら下に開く放物線になる。
例題2
• 問題: のグラフについて、頂点の座標を求めよう。
• 考え方 (平方完成など):
1.
2. を \(\bigl(x - 1\bigr)^2 - 1\) に変形
3. 頂点は 。
• 答え: 頂点 、軸は 。
3. 図形の発展
● 円の性質
• 目標: 中3では、円周角や円の接線の性質など、円に関する多くの定理・証明が登場。
• 例:
• 「弧に対する円周角は中心角の半分」
• 「接線は半径に垂直」
• 「円周角の定理」を使った角度の計算・証明問題など。
例題3
• 問題: 円Oで、弧ABに対する中心角 がのとき、弧ABに対する円周角 は何度か。
• 考え方: 円周角は中心角の半分になる →
• 答え:
● 三平方の定理(ピタゴラスの定理)
• 目標: 直角三角形において、「斜辺の2乗 = 他の2辺の2乗の和」を理解・活用できるようになる。
• 例: 「」 ( は斜辺)
• 長さの求め方だけでなく、図形の証明問題や応用問題にもよく使われる。
例題4
• 問題: 直角三角形で、2つの辺が3cm、4cmのとき、斜辺の長さは何cm?
• 考え方: → 斜辺 → 斜辺 = 5cm
• 答え: 5cm
4. これまでの総合(1・2年生内容+発展)
● 証明問題がさらに複雑に
• ポイント:
• 中1・中2の「三角形の合同条件」「相似」「平行・垂直の性質」を組み合わせた問題が登場。
• 円の性質や三平方の定理も合わせて使う場合があり、複数の定理を組み合わせる必要がある。
● 1次方程式・連立方程式・2次方程式・2次関数が混ざった文章題
• 受験対策では、複数の単元が一度に問われる総合問題が出ることも多い。
• 解法が1通りでない場合もあるので、自分が得意な単元のやり方で解いてOK。
5. 高校受験に向けた対策
1. 計算力の徹底
• 二次方程式や因数分解での符号ミス、分数計算ミスが積み重なると大きな失点に。
• まずは手早く正確に解く“基礎計算力”を高める。
2. 公式と定理の理解
• 「なぜそうなるのか」を少しでも理解しておくと、応用問題や証明問題でも対応しやすい。
3. 問題演習の量と質
• 典型問題(パターン)に慣れつつ、難易度の高い問題にも少しずつチャレンジ。
4. まとめノートを作る
• 因数分解のパターン一覧、図形の定理早見表、二次関数の頂点計算手順など、自分用に簡潔にまとめると振り返りしやすい。
6. 文章題・応用問題例
例題5
• 問題: 「二次関数 のグラフ上の点Aが、座標2のときの座標を求めよ。また、このグラフの頂点の座標を求めよ。」
• 解き方 (計算・平方完成):
1. Aの →
• よってAの座標は。
2. 頂点 → を平方完成
• 頂点は。
• 答え: A、頂点
7. 学習のコツ
1. 「わからない」はまず1・2年の振り返りから
• 二次方程式に苦戦する場合は、因数分解や連立方程式、文字式計算などの基礎が不足していることが多い。
2. 図形は“作図+定理のチェック”をセットで
• 問題文を読んだら、まず自分で図をきちんと描いて、分かっている長さや角度、必要な定理を書き込みながら整理する。
3. 解の公式などは「使い方」を重点的に
• 暗記も必要だが、使い方がわからないと意味がない。練習問題で何度も使ううちに手が覚えていく。
4. 過去問・模擬試験の活用
• 高校受験を見据えて、まとめ問題・過去問を解く習慣を作る。「本番でどんなふうに問われるか」を把握し、苦手分野を早めに潰す。
まとめ
• 二次方程式・二次関数: 因数分解や解の公式、放物線のグラフ(頂点・軸)など、初めて学ぶ内容が多く高校数学に直結。
• 図形(円の性質・三平方の定理): 定理をしっかり覚え、適切な場面で活用できるように証明問題で反復。
• 総合問題・応用力: 中1・中2の内容が確実に身についているかが問われる。複数の分野を組み合わせた問題にチャレンジ。
• 受験対策: 計算力と定理の理解をベースに、問題演習でパターンを掴む。まとめノートや過去問練習で弱点を補強。
中3になると本格的に受験を意識する時期でもあり、学習範囲が広く深くなりますが、その分「数学の面白さ」が増す学年でもあります。焦らずに中1・中2の復習を並行しながら、新出単元(二次方程式・二次関数・円・三平方の定理)を一つずつ丁寧に理解することが合格への近道です。しっかりポイントを押さえて、あとは演習量を確保し、自分のペースで着実に力をつけていきましょう。