米国大学院に留学する方法
コロンビア大学に留学した経験や、米国ロースクールを受験した経験から、米国大学院から合格を勝ち取る上でのTipsをメモしておこうと思います。
1英語
TOEFL ibt 100点、もしくはIELTS 7.0を持っていることが、アイビーリーグ等の有名校を目指す上では必要となってきます。しかしながら、有名校であっても例えば、コンピューターサイエンス等の理工系のプログラムであれば90点(コロンビア大学)からでよかったり、My Best Scoreが使えるところがあったり(バークレーロースクール)するため、少し英語の点数が足りなくても合格できる可能性があります。TOEFL ibt 100点を獲得すための勉強法としては、こちらの記事も参考にしてみてください。
また、大学によっては、duolingo等の他の試験スコアの提出を認めるところもあります。duolingoはTOEFLと異なり所要時間もかかる費用も少なくて済みます。対策がしにくいという難点はありますが、自分の英語の実力がストレートに得点化されやすい特徴もあると思うので、ある程度英語ができるという方にはお勧めです。また、無料で30分程度の模擬テストを受けることもできます。実力試しにTOEFLを受けるより圧倒的に安く、少ない時間で済むので、もしよければ試してみてください。
2推薦状
ゼミの教授や、直属の上司にお願いします。あまり自分のことを知らない偉い人というより、自分のことをよく知っていて、自分を応援してくれる人から書いてもらった方がアドミッションに評価されやすい推薦状となります。また、その推薦状を書いた人が、その大学の出身者であった場合は、推薦状の威力が高まるので、そのような方が周りにいる場合は、積極的に推薦状の執筆をお願いするのが良いと思います。自分の知人の例では、ステートメントに、なぜその学校で学びたいのかということを一切書かずに、今までの自分の経歴と仕事の経験だけを書いて、応募した全ての大学に落ちたものの、二人の推薦者があるロースクールの出身で、そのロースクールだけ合格となったという例があります。
ちなみに、ロースクールの場合は、LSACに推薦状を一度アップロードすれば、ほとんど全ての大学(ハーバードは例外)に使い回しが可能となるため、推薦者の方に何度も推薦状のアップロードをお願いする必要がありません。公共政策大学院やMBAは大学ごとにアップロードを推薦者にお願いする必要が出てくるので、毎回、心苦しい思いをしつつ、推薦状のアップロードをお願いすることが必要となります。
3ステートメント
書く内容の基本は、①掴み、②志望大学で学びたいこと、③卒業後の進路の3点です。形式は500文字から700文字くらいでまとめるか、もしくは、フォントサイズ12pt、ダブルスペースで3枚以内というところが多いです。
①では、自分の原体験(幼少期の辛い経験)から自分のやりたいこと、これまでやってきたことを書いて、②につなげるというのが一番オーソドックスですが、原体験が見つかりづらい場合は、これに固執する必要はないと思います。その場合は、仕事で経験した失敗を、小説の書き出しのように始める、という方法があります。成功体験を書くより、辛かった経験や失敗談を書く方が、読み手の共感を引き出しやすく、このような形でスタートするのは一つの方法だと思います。失敗から、自分がその仕事で成功を掴むためには、どんなスキルが必要だと学んで、そこから、この大学でそのスキルを身に付けたいと書き出すと後の展開がスムーズです。
②自分が受験する大学のプログラムを調べ、特に取りたい教授の授業がないか調べ、●●教授の●●の授業を取りたいと書くのが一つの方法です。もしくは、そのプログラムの必須科目を調べて、それらの授業が目標とすることが、自分が勉強したいこととマッチするように書くと良いと思います。逆に良くないのは、そのプログラムの本質的な内容(必須科目)ではなく、付随的な選択科目の内容にだけ言及するとか、そもそも、その大学が教えることと学びたいということがズレている場合です。大学のHPを見れば、必須科目や選択科目も含め詳細な情報が入手できるところがほとんどなので、この点は、入念に確認するべきです。
③卒業後の進路は、これまでのキャリアとの一貫性が出るものを書いた方が、読み手に納得してもらいやすくなると思います。あまり奇をてらわずに、②のリサーチに時間をかけるというのが一つの方法だと思います。また、ここでキャリアチェンジを主張する場合は、これまでの経験と全く違うことを主張しても説得力にかけるため、関連した職務経験や、課外活動を書けるよう準備した方が良いと思います。また、①から③で書いていることが一貫しているように書くことが重要だと思います。
個人的には、ステートメントは、あくまで、合格を勝ち取るためのものだと思っています。なので、A)本当に自分がやりたいことだけど、第三者的にみて実現できるか説得力に欠ける(そのやりたいことに関する経験を十分に積んでいない)こと、と、B)本当にやりたいことは別にあるけど、これまでの経歴や経験に照らして、十分に説得力を持つもの、のどちらを書くかで迷った時は、ステートメントにはB)を書く方が良いと思います。
例えば、MBAの卒業生を調べたところ、半数以上の学生が出願時にやりたいと言っていたことと、在学中に改めて考えて卒業後にやったことが異なっていた、という調査結果があり、大学(例えば、MITのMBA)によっては、③の部分はあまり受験においても問わないというところもあるようです。
4説明会・アドミッションへの質問
自分の中では、ステートメントや推薦状と同じく重要なのが、説明会への参加やアドミッションとのコミュニケーションです。特に、説明会に参加して質問し、その後も、メールで追加の質問を送って、できるだけアドミッションに覚えてもらうのが重要です。ただ、説明会でも長々話す必要はないと思います。黙っているよりも、質問した方が良いとは思いますが、どうせ質問するなら、自分をアピールできる質問をするべきだし、説明会→質問→メールで連絡をセットで行うようにすることは、合格確率をグッと高める上で非常に重要な戦略だと思っています。
自分の中で好感触だったのは、①Zoomの顔写真にスーツ、もしくはワイシャツのできるだけ爽やかなものを設定、②質問は、ロースクールであれば、●●法の分野を勉強したいんだけど、その分野に関連したインターンシップを行える機会はあるか、と質問していくことです。自分の発音に自信がなければ、チャットでも構いません。また、多くの人が質問していて取り上げてもらえなければ、同じ質問を時間をおいて2回質問したり、後ほどメールで質問するのも良いと思います。
TOEFLの足切りとか、ステートメントの体裁とかは、他の人が聞くし、それを質問しても、その個人をアピールすることには繋がらないので、それより、自分が勉強したいことに引き寄せて質問した方がいいと思います。また、その自分が勉強したい分野が、アドミッションの興味を引くものであると、尚良いと思います。ここは、説明会の中で、アドミッションが強調して話す分野を注意深く聞いていると見えてくる場合があります。なんとなく、環境法専攻の学生を増やしたそうだな、とか、エグゼクティブLLMを押してるなみたいなことを嗅ぎ取ることが重要だと思います。
5コンサルは必要か
コンサルは特に、①英語の仕上げをする、②日本語の内容を深める、場合に利用を検討する方が多いと思います。まず、①については、エッセイエッジ(Essay Edge)がおすすめです。合計で3万円ほど払えば、自分の英語が、1日で非常に素晴らしいものにブラッシュアップされます。また、的確な編集(削るところは削る、順番を入れ替える、power verbの採用)によって、内容自体も向上します。自分は、日本のサービスもいくつか利用しましたが、スピード、値段、クオリティの全ての点で、エッセイエッジが最も良いサービスだと感じました。
次に、②日本語の内容を深めるという点です。こちらでも自分は、一年目の受験の際は、複数のコンサルに見てもらいましたが、結局のところ一番役にたったのは、両親からのフィードバックでした。また、二年目のロースクール受験の際は、弁護士の友人達にステートメントの書き出しのエピソードが良いというコメントをもらったので、コンサルは活用せず、エッセイエッジのみ利用して受験を行いました。
日本のコンサルを選ぶ場合は、レビューをよく見るのが大切だと思います。一人一人に向き合ってアドバイスをするコンサルは、一年にみる生徒に制限をかけているところが多い印象です。一番重要なのは、特に、エッセイですが、自分で書く、という意識を強く持つことです。
6費用
留学の費用についてです。留学の準備については、ステートメントを作成するためにコンサルト契約するか、英語の塾等に通うかによっても違って来ますが、コンサルと契約し(30万円~70万円)、英語の塾(5万円〜30万円)に通った場合は、TOEFLやGREの受験と合わせて100万円程度はかかると思っておいた方が良いかと思います。
また、プログラムによっても異なるのですが、米国の場合、学費で一年間約700万円です。この他、保険の費用(基本的には大学のものに加入することが必須となります。)が、一年間で約60万円(夫婦で同じ大学の保険に加入)です。生活費は、物価が高いニューヨークに夫婦で滞在した場合、大学が賃し出しているアパートの家賃が約25万円。ほぼ毎日自炊した場合の生活費が約25万円(通信・光熱費用含む)です。なので、一年間で約1300万円くらいはトータルで必要となってきます。尚、奨学金を出す学校も多いため、学校の奨学金を活用したり、一年制のプログラムであれば、9月に始まって、5月に終わるところもあるため、少し早く帰国すること等により費用を節約することも可能です。
二年制のプログラムに留学した場合は、それだけ学費も生活費も増えますが、一年制のプログラムや、シンガポール等の米国以外にも目を向けることで、コストを抑えて留学する方法もあります。
7効果
留学の効果については、まだ自分が留学中であるため、今思うことについて紹介すると、働いていた頃と比べて、自分がやりたいことに使う時間を圧倒的に生み出すことができるということと、今まで自分が思いもよらなかったことを学び、意外とそれが楽しいと感じる経験を積むことができるということです。
また、例えば、一年制のMBA(コーネル・テック)の場合、卒業生の卒業年の年収(ボーナスを含む)の中央値が1500万円程度とされており、留学期間を最大限活用することで、投資に見合うだけのリターンを得ていくことも可能になると思います。
さらに、米国の大手法律事務所に就職できた場合は初任給が2000万円程度とのことです。法科大学院(LLM及びJD)には、インドや中国の大学出身の学生が多くいますが、彼らの多くは米国の現地就活に挑戦しています(英語力はTOEFL ibt 105点前後)。米国での就職を本気で考えるなら、一年制のLLMよりも三年制のJDが有利です。もし、大学卒業後、米国への移住も視野に法律系の資格を取りたいという方がいれば、日本の法科大学院に進学して弁護士資格を取る代わりに、JDへの進学を視野に入れても良いかと思います。
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