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『はなしあい』web版#2 中西 久枝氏(同志社大学教授)

1.なぜ、こんなことが起こるのか・・・。

 ガザでは、イスラエルの無差別攻撃が続き、パレスチナ人は一人残らず全滅させられそうである。なぜこんなことが起き、誰もそれを止めることがで

きないのか?それを考えるために、このフォーラムは持たれた。
発題をして下さったのは、アメリカ、カリフォルニア大学ロスアンゼルス校で中東の歴史を専攻した後、30年以上に亘って中東諸国を訪ね、中東の国際政治と安全保障を研究してこられた同志社大学教授の中西久枝さんである。同氏は、この混迷の原因には、19世紀以来ヨーロッパとアメリカが放置してきた問題が山積している、と言われる。

お話になる中西 久枝氏

2.アメリカ第51番目の州 ”イスラエル国”

 ヨーロッパやアメリカは、中東の和平を考える際に、ガザのイスラム主義者ハマスを考慮に入れようとしない。イスラエルは、アメリカの51番目の州かと言われるほどに、アメリカのユダヤ人は、アメリカの政策を左右している。
 共和党はもとより、民主党も、ユダヤ人の団体から多額の献金を受けている。アメリカ人の5人に一人は福音派のキリスト者で、彼らはイスラエルの政策を強く支持している。最近アメリカの大学では、イスラエルの暴挙に抗議し、パレスチナ人に組みする運動が起きているが、これらの運動は、ユダヤ人を排斥する人種差別であり、ハマスやイランのテロ行為を助長するものであるとして、厳しく弾圧されている。

3.イランは親米国家だった!!??

 イランは、植民地支配を受けたことがなく、しかも高い科学技術力と軍事力、行政組織を有しており、1979年までは、中東で指折りの親米国家であった。それは、パーレヴィ―国王が、イランの石油の利権を、アメリカの大手石油会社とヨーロッパの大手会社に独占的に譲り渡していたことによる。
 しかし1979年その体制は、イラン・イスラム革命によって崩壊し、ホエイニ師は、イスラム法学者の統治という国家制度を導入し、被抑圧者の解放を外交・政治のスローガンとした。
 その結果、アメリカとイスラエルは、イランの敵とされた。抑圧された人々の中には、イスラエルのシオニズム運動により抑圧されたパレスチナの人々も入る。
 結果として、中東紛争の対立軸は、アメリカ・イスラエル対ハマス・イランとなった。アメリカとイスラエルにとっての脅威は、ハマスの背後にイランがあり、そのイランは、核開発とミサイル開発能力を持っていることである。この対立は、世界の様々な国を巻き込んで、抜き差しならぬものになっている。
 中西氏は、今日の中東情勢がなぜ混迷を極めているかを、実際に現地に入り込んで調べたこと、またその背後に

ある問題点を、フォーラムでは明らかにされた。それにより参加者は、問題解決の難しさと、人間の愚かさを痛感させられたのではないだろうか。
(記者:小久保 正 運営委員長 京都大学・中部大学名誉教授)

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