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商品・サービスには顧客価値を定義しよう!
今回は「顧客価値を定義しよう」
というテーマについてです。
先日企画サポートをしているお客様の会議で
顧客価値(お客様にとっての価値)の話になりました。
顧客ベネフィットとも言いますね。
◇つくる側の視点、顧客側の視点◇
お客様の会議の中で
特長あるとてもよいアイデアが出たのですが
「いいですね!じゃ顧客価値はどうなるでしょう?」
の問うと、
「う~ん… たしかに…」
となり
みんなで悩みました。
つくる側の視点から入ると
どうしても商品の性能やスペックが優先され
顧客の視点や顧客価値まで意識するのは
なかなか難しいですよね。
私もメーカー出身なのでとてもよく分かります。
一方
この顧客価値がしっかり定義できていないと
やはりモノは売れないですし
興味を持っていただくこともできません。
◇顧客視点を掘り下げる◇
例えばこんなことがありました。
私が監視カメラの技術マーケティングの
マネージャーをしていた時のことです。
新製品の企画段階で
主要なシステムインテグレーターさん
ソフトウェアパートナーさんを訪問して
技術の検証や製品をシステムに組み込んでもらう
お願いをしていました。
商品企画チームから
4K監視カメラの企画があがってきました。
それは
放送局向け4Kビデオカメラや
家庭用4Kビデオカメラの技術を
監視カメラに応用したものです。
4KなのでHDと比較すれば
当然のことながら画はとてもきれいで感動的です。
でも
監視カメラはきれいな画を見るためのものではありません。
感動も必要ありません。
では、4Kになることによる
監視カメラの顧客価値ってどこにあるか・・・について
考えました。
①4Kになると画素数がHDの4倍になるので
一台のカメラでより広い範囲を
映すことができるようになります。
ここで少し顧客の価値が見えてきましたが
まだ緩いですよね。
さらに広い範囲を映せると何がよいでしょうか?
②1台で広い範囲を映せるということは
カメラの設置台数を減らすことができます。
言い換えれば
③値段が高い4Kのカメラでも
トータルとしては安く抑えることができます。
④あるいは同じ台数のカメラを設置すれば
より広範囲を監視できることになります。
そうすると
⑤人件費も削減できるかもしれません。
さらに
⑥街や空港の監視を担当している人にとっては
より安全を守ることができて安心につながります。
こうして
監視カメラが4Kになることによる
お客様の価値が見えてきました。
ここまで落とし込んで初めて
お客様に話を聞いてもらえるようになります。
「4Kの監視カメラです」と言っても
お客様は知識がないので
「すごいですね。」
で終わってしまい
「これ必要だね」になりませんね。
◇2つの「顧客価値」◇
顧客価値には2つの価値があります。
・機能的価値
・情緒的価値
上記の監視カメラの場合は機能的価値ですね。
情緒的価値とは
その商品やサービスによる気持ち的な価値になります。
ブランドなどは情緒的価値の代表です。
同じ機能でも
そのブランドを持っていることによって
ステイタスが得られたり
気持ちが高まるという価値になります。
ビジネス的に言うと
そこがお客様にとっての費用対効果になる訳ですよね。
監視カメラの例で言うと
こんなことがありました。
中国のとある大都市の
監視カメラを管轄している警察を訪問したときのことです。
通常の監視には中国製の監視カメラを設置し
政府系の建物がある地域は
ソニー製の監視カメラを設置頂いていました。
いろいろ理由を聞いてみると
性能も異なるのですが
監視をつかさどる方々の
”安心度合い”も上がるという理由もあるとのことでした。
機能的価値と情緒的価値を認識いただいた例です。
◇顧客価値を多角視点で定義する◇
このようにモノづくり企業の場合
性能やスペックを特長としてあげることが多くなりますが
顧客価値はどんなことがあるかが重要です。
しっかり定義しましょう。
その性能や価値があることで
顧客にとってどんな良いことがあるのか?
それでさらにどんなことが良いことがあるのか?
など、2段、3段深堀りしていくのがコツです。
では、しっかり顧客価値を考えて
企画を進めていきましょう。
追伸:
昔のことを思い出して少し長文になってしまいました。
中国の大都市とはコロナでもニュースになっている武漢です。
実はソニーの監視カメラの設置テストで
うまく接続できないというトラブルがあり
中国現地のサポートチームでは解決できず
日本の責任者がすぐに来るようにという呼び出しで
エンジニアといっしょに呼び出しの翌日に訪問したときのことです。
期待が大きいところにトラブルとなり
さらに現地サポートで解決できずで
かなりお怒りモードでした。
実は私は若いころにバックパッカー一人旅で
中国の重慶から武漢まで長江を船で旅したことがあり
船でいっしょだった武漢の人の家に
泊めてもらうなど武漢は思い出の場所でした。
かなりのお怒りモードと聞いていたので
その頃の写真を引っ張り出して持参し
挨拶のときに写真を見せながら武漢の思い出話をしたら
警察の方がとてもよろこんでくれ、意気投合。
夜は白酒(中国のとても強いお酒)で乾杯してフラフラに。
そんな中、同行したエンジニアが頑張ってくれてトラブルも解決し
また武漢がよい思い出の場所になりました。
余談でした。
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