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先日の記事は
「顧客に尋ねたら、『もっと速い馬車が欲しい』と答えただろう」
というテーマでした。

顧客は答えをもっていません.

顧客ヒアリングやユーザー調査では答えを求めず、
答えにつながるかもしれないヒントを探しましょう。


と、この記事の内容に対して
あるメーカーの方から以下のようなご意見をいただきました。

世の中は、
造り手主体の「プロダクトアウト」の発想では
お客様に売れる良い商品とならず、
買い手のニーズにあった「マーケットイン」
の考え方が必要だと説かれますが、
果たしてどうなんでしょうか?
「ウォークマンやiphone」などは、
こんなのがあったら楽しいだろう、面白いだろう
という創り手側の発想で生まれたものと思います。

これは本当に大切ですよね。

先日、新規事業開発に関するセミナーに参加した際も
セミナーの講師の方が
「プロダクトアウトはダメ。
必ずマーケットインの発想で行くように。」
と力説されていました。

あなたはどう思いますか?

今回はこの内容について、私なりの考えをお伝えします。

◇プロダクトアウトで発想し、マーケットイン的に顧客価値を定義する◇

新規事業開発や商品企画についてまわるのが
「プロダクトアウト」「マーケットイン」という二つの考え方です。

プロダクトアウト:
企業が持っている技術や方針から企業側が創りたいモノを開発する
マーケットイン:
市場調査などから市場ニーズに沿ったモノを開発する

結論から言うと、
私自身は、プロダクトアウト派です。

より正しく言うと

新しいモノやサービスを生み出すには
プロダクトアウトで発想し、
そこにマーケットイン的に顧客価値を
しっかり定義していく必要がある

というが私の意見です。

先日の記事でも触れた、
ウォークマン
iphone
facebook
などは、
プロダクトアウトの要素が大きいと思います。

前述のご意見にもあったように
こういった市場創造型の商品やサービスは
マーケットインの発想からだけでは生まれてこないでしょう。

ただ、顧客視点が全くなくてもよいかというとそうではなく、
どこかの段階でしっかり顧客価値を定義していかないと
時間がたっても、
まったく売れない商品、だったり
立ち上がらないサービス
になってしまいます。

「新商品を作ったけれど、全く売れない...。」
という声をよく聞きます。

これはその企画の顧客価値を全く考えていなかったか、
想定がはずれてしまったということでしょう。

◇イノベーションの3つのタイプ◇

「イノベーションのジレンマ」や「ジョブ理論」で有名な
クレイトン・クリステンセン氏は、
イノベーションには3つのタイプがあると言っています。

① 市場創造型: 市場自体を創造する商品やサービス
② 持続型:市場にすでに存在する商品やサービスの改良
③ 効率化:商品やサービスの提供などのプロセスの効率化

①の市場創造型で、新しい市場を創造し、
その事業を拡大するために
②や③を企画していくことになります。

①の市場創造型の事業や商品、サービスを企画するときは、
プロダクトアウト的な発想を持っていないと
よいアイデアの種は見つかりません。

逆に、②持続型や③効率化の商品やサービスを企画するときは、
イノベーションかどうかは別として、
マーケットインの発想で顧客課題をうまく見つけることで、
よりよい確実な企画になっていきます。

◇企画者自身がどう価値をおいているか◇

私の感覚では、企画のアプローチとしてこんなイメージを持っています。

「売れる商品・サービスをつくる」:マーケットイン
「新しい商品・サービスをつくる」:プロダクトアウト

どちらが正しいかということではなく、
企画者自身がどちらのマインドを持っているのか、
どちらに価値を置いているか、
ということですね。

私の場合は、ソニーの企画マン時代に
「まだ誰もやっていない世界初を企画しろ」
と言われ続け、それが染みついてしまっているので、
やはりどんな小さな企画でも、
プロダクトアウト的な発想を入れないと気がすみません。

さて、あなたは
マーケットイン派?
プロダクトアウト派?
どちらですか?

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