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気孔と麦ごはん

学校の給食は、思っていた以上に美味しい。栄養士さんの献立と調理師さんの腕、とくに時間管理が上手で、温かい昼食が食べられる。そう、校内調理なのだ。なかでも気に入っているのが「ごはん」だ。麦飯が香ばしい。

栄養士さんに聞くと、「白麦」だという。白米との混合割合もちょうどよく、パサパサじゃなく、かみしめるとうま味がでる。さっそく「白麦」を買って家でも麦ごはんにした。

麦は白い粒のまん中に「タテ」の茶色の線がある。平たくて、白米の間に点々と散らばって、ひとめでわかる。

6年生の理科に、植物の水代謝のテーマがある。ホウセンカを根こそぎとって、植物染色液につけ、根から茎、葉への水の通路を調べる。そのあと、葉から蒸散する機能としての「気孔」の観察がある。

ホウセンカの葉の裏の薄皮をはがして、顕微鏡で見る。20倍じゃ見えない、100倍でなんとか。400倍だと焦点がすぐぼけるのでむずかしい。だから100倍で観察する。

「どれが気孔なの?」

教科書に写真はあるが、実物とは感覚がちがう。ジグソーパズルのような形をした葉の細胞のなかに、小さく、点々と散らばっている。

「給食の麦ごはんのなかにある麦の粒。そんな形だよ」

「あっこれ!」
「麦ごはん粒、似てるね」

ホウセンカの気孔を初めて見たという生徒と、それに理科の先生の感想だった。

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