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同時代を並列にならべる ー「私の履歴書」の楽しみ方ー

「年はとりたくないものだ」という。わたしもそう思う。暗いところでは本も読めないし、人の名前が出てこないのは序の口。話題についていけず、自分勝手なことばかりしゃべっていると言われることもある。でも悪いことばかりじゃない、「年はとるものだ」と感じる時がある。

日経新聞の「私の履歴書」を読むのが面白くなった。若いころは(トシヨリくさい言葉だなあ)ときどき見る程度だった。第一線を退いた人が書くのだから、年齢と時代が自分と違いすぎて実感がわかなかったから。ところが、「年をとると」彼・彼女らに同時代感を持ち、身近になったのだ。

そう、今やっているのは年表づくりだ。井上ひさしさんの作品で、年表を使って物語を書くというエッセイがある。それを読んで思いついた。

まず、自分の生まれた年から現在までの年号をエクセル表のタテに書く。入学や卒業、就職、結婚、転勤などの出来事を右の欄にメモしておく。トシヨリだから覚えているのはそれくらい。世の中、なにがあったかも定かじゃない。そんなときは空欄のままでいい。

「私の履歴書」を読むと、筆者の生まれ年などのイベントや「やったこと」がわかる。それをエクセルの年号の右の欄に埋めていく。関連した世の中の動きも書かれていることが多いから、それも別欄にメモする。

先だっての5月は囲碁の趙治勲さんだった。1956年生まれ、同時代の範疇に入る。空欄を埋めていった。

1962年6歳で来日して木谷實門下に入った(自分:そんなころの記憶はないぞ、幼稚園に行かないと泣きわめいたのは覚えているが)。
1968年プロ試験合格2段(同:毎日野球の練習と、夜は天文部での流星観測と夜遊びを覚えた頃)。


エクセルを見ると、同時代の出来ごとが並列に並び、ひと目でながめることができる。彼(彼女)らと、どこかで接点が見つかるかもしれない、それを期待しながら、「私の履歴書」を読んでいる。

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