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オトナには見えない、子どもには見える

昔の子どもは遠くのものがよく見えた。視力検査をすれば、1.5から2.0、わたしも小学生の頃はそうだった。今の子どもはどうなのだろうか。メガネをかけた子も何人かいる。でも、大人よりは目がいいと思う。

2学期が始まり、3年生の最初の理科は「学校のなかの動物さがし」だった。小学校理科のお手伝いをしているわたしも一緒だ。

最初に先生が、「予想をしてみよう」という。これは、授業のすすめ方の手順に沿っている。まず予想、そして、確認だ。

校内の簡単な配置図のプリントを配って、どこにどんな動物や昆虫がいるかを書かせ、それを発表する。トンボ、チョウ、カマキリ、バッタ。つぎつぎと手を挙げて言う。

「ウサギ」

と言う子がいた。

「ウサギ?どこにいるの?」
「ウサギ小屋の少し向こう」
「逃げ出したの?」
「ちがうよ!野生のウサギ」
「そう」

とは答えても先生もわたしも半信半疑だ。否定はできないから探してみようということになった。

残念ながらというより、やっぱり、いなかった。
学校の周りは自然が多い。畑や公園、川も近い。でもね、野ウサギはどうだろうか、見たことないよね。

グランドを探検していた女の子が「先生!ちょっと来て」と言う。「これ!」と片隅の芝の間を指さす。

丸い1㎝ほどの糞らしきもの。たくさんころがっている。シカの糞よりは小さいし白っぽい。ウサギか?ウサギ小屋にいって確かめた。それっぽい。

「野生のウサギ」はいるのだ。

子どもは目がいいから、そうじゃない。オトナは見てないのだ。いるはずがないという先入観、それが目をふさぐ。

オトナには見えない、子どもには見える。

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