真球
夜も更けてきた
汽笛が遠くに聞こえたと思ったら、すでに列車がプラットホームにはいってきている
べんとう~ べんとう~
おじさんが歩きながら、客車の窓越しに駅弁を渡している
昔ながらの風景だ
サアーサアー サアーサアー
兄さん、姉さん、坊ちゃん、嬢ちゃん
よく見ておくれ
このお弁当、そんじょそこらの弁当とはちょいと違う
おなかすいたら、食べる
これ、あたりまえ
おなかいっぱいになったが、どこか物足りない
これ、よくあることだ
ところが、このお弁当、ちょいと違う
サアーサアー サアーサアー
よく見ておくれ
このお弁当の団子、ちょいと違う
まるいよ 実にまるいよ 完全無欠の真球だ
まるくて、ころころ ころころ
転がりだしたら止まらない
サアーサアー サアーサアー
よく見ておくれ
やっと箸でつかんだ、この団子
ついに、口の中にはいったよ
うまいよ、実にうまいよ
うまくて、大満足、間違いなし
ころころ転がる団子のお弁当
心満たされるお弁当
心お弁当は、いらんかね~
(398字)
2022年8月頃から、毎週、以下の企画に参加させて頂いています。ずっと土曜日に投稿していましたが、今後は月曜日にシフトさせます。今回のお題は「心お弁当」でした。どうぞよろしくお願いいたします。
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