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パパが父親になるためにママができること①

男性は、自分が「親」になったと、いつ実感するのでしょう。

女性は、妊婦健診のエコーで赤ちゃんを確認したときや胎動を感じた時、どんどん大きくなっていくお腹で「親」になったと実感する人もいると思います。
出産、授乳という女性にしかできない経験からも実感するでしょう。

男性は、生まれたての小さな赤ちゃんを初めて見たときに、「自分の子どもなんだな」と愛しさが湧くのではないでしょうか。
その時、「親」としても実感するのでしょうか。

パパに父親としての自覚がなさそうだとママから相談を受けることがあります。
積極的に子どものお世話をしようとしない。
子どものことより、自分のやりたいことを優先する。
子どもがなついていないから、子どもとパパだけにするのは不安しかない。

子どもとどう遊んだらいいのか、どう関わったらいいのか分からず、ママ抜きでは、子どもと出かけられないパパもいるようです。

そして、こんなパパからの相談もあります。
出産後、妻の態度が変わってしまった、冷たくなったと不満を持つパパ。
子どもに妻を取られたと嫉妬してしまうパパ。
妻が子育てに悩んでいるようで、やってくれていた家事がおろそかになり、どうしたらいいのだろうと心配するパパ。

ママは、赤ちゃんのお世話を24時間体制でしなければならない毎日で、パパのことまで気にかける余裕がなかったりします。
それなのに、パパが出産前と変わらない生活を求めたり、子育てに協力的じゃなかったりしたら、パパへの不満は募るばかりです。

でも、もしパパの立場だったら・・・。
赤ちゃんが自分のお腹の中で10か月かけて育っていく感覚が分からないし、出産も経験していない。
赤ちゃんが泣くだけで母乳が出る体験もできないし、授乳の時の赤ちゃんとの間に感じる絆のような気持ちも感じることができない。

ある日、自分の子どもとして現れた小さな赤ちゃん。
小さ過ぎて、どう扱っていいか分からないから、ちょっと怖い。
妻の方が赤ちゃんのことを分かっているだろうな。
妻は手際よく赤ちゃんの世話をしているから、自分の出番はないな。
妻がお世話をした方が子どもにとっていいだろう(遠慮の気持ち)。
仕事で子どもと過ごす時間が少ないから、どう関わったらいいのか分からないけれど、妻に分からないと言えば頼りなく思われそう。
妻の期待通りの子どもとの関わり方ができないと文句を言われそう。
分からないから、子どものことは妻に任せた方がいいな。
妻が赤ちゃんに付きっきりで、疎外感を感じるな。

私がパパだったら、そう思ってしまうこともありそうです。

パパの立場を想像すると、違った景色が見えてきます。
ママとは、「親」を実感するタイミングが違い、ママのような経験をしていないので、子どもに対する思いが違うのは当たり前なのかもしれない。
パパに、ママと同じような「母性のある親」を求めるのはどうなのだろう。
パパにしかできない「親」という役割もあるのではないか。
そして、パパも子どもと関わりたいのに、どうしていいのか分からずに困っているのかもしれない。

パパが父親になるために、ママにできることがあると思います。
それは、
パパを頼ること・パパに任せること

頼りなくても、頼る。
任せるのが不安でも、任せる。
そうすることで、ママの期待通りにしなければと思う気持ちより、パパなりに「親」としてできることを考え、子どもと関わっていけるようになるのではないかなと思います。

パパが父親になりきれないのは、ママが原因かもしれません。
パパに、理想の父親像を求めすぎていないか、パパがパパらしく子育てができるように尊重しているか、振り返ってみてはどうでしょう。


********
私は、夫が父親になるのを遅らせてしまった張本人です。

夫は仕事が忙しく、朝早く家を出て、帰りは深夜。
土日も仕事で、時々、職場に泊まります。
子どもと遊んでくれるのは、1か月に1回あるかないか。
せっかくの休みでも、夕方まで寝ていることがほとんどでした。

娘が9歳、息子が5歳の時です。
家族でショッピングモールに行きました。
私は買い物に行き、夫と子どもたちはゲーセンへ。
集合場所で待っていると、泣いている息子と不機嫌そうな夫と娘が遅れてやってきました。
カードゲームで息子が間違ってボタンを連打してしまい、100円を損したというのです。

久しぶりに子どもたちと過ごせる貴重な時間なのに、そんなことで息子を叱るなんて信じられない!それでも父親なの?
この時の私の気持ちです。
いつも子どもと一緒にいない夫には、子どもを叱る権利はないという気持ちがどこかにありました。

「仕事が忙しくて本当は休んでいられない状況だけど、子どもたちとの時間も大切だと思って休みを取った。けれど、ゲーセンで子どもたちに付き合っている時間がすごく無駄に感じられて、仕事をしていた方がましだとイラついていた。だから、息子が100円を無駄にしただけでも腹が立った。」
夫が息子を叱った理由です。

それを聞いて、ますます怒りがこみ上げた私は夫に言いました。
「そんな気持ちで子どもと一緒にいてもらってもうれしくないから、仕事に行って!」
夫は、だまって仕事に行く準備を始めました。

すると、娘が夫を引き留めました。
「パパ、お願い。○○(弟の名前)と遊んで欲しい。私は、もうパパと遊ばなくても平気だけれど、○○は、まだパパが必要なんだよ。あとちょっとしたら遊んでくれなくても大丈夫になると思うから。お仕事が大変だと思うけど、今だけだから、お願い遊んであげて。」

夫は、ハッとした表情をして、娘と息子に謝りました。
「パパが悪かった。そんなことも言われないと分からないなんて、パパ失格だよな。分かった。本当にごめん。これから、いっぱい遊ぼうな。」

その日から、夫は変わりました。
休日が少し増え、ずっと寝ていることがなくなりました。
時々、暑苦しいくらいに関わって、それはそれで嫌がられましたが、子どもといる時間を全力で楽しもうとしているのを感じました。

なんで、私は娘のような声掛けができなかったのだろうと反省しました。
ワンオペ育児で、親としての責任を一人で背負い込む癖がついていました。
夫の子どもへの思いが、私と同じではないことに不満がありました。
私の中の「父親ならこうあるべき」という思いが強すぎて、仕事が忙しい中で子どものために時間を作ろうとしてくれた気持ちを汲むこともせず、いない方がましと判断してしまいました。

娘の言葉がなかったら、夫は、子どもとの時間を作ろうとする気がなくなっていたかもしれません。

娘の言葉は、夫だけでなく、私の意識も変えてくれました。

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