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離れて暮らす親が70代以上の人に知ってほしいお金こと

皆さま、こんにちは!
人財育成コンサルタントを生業としております
サトクミと申します。

先日、実家じまいをしました。
もうじき79歳になる一人住まいの母の引っ越しを昨年末に済ませました。

と、さらっと言えるほど簡単なことではなく、
1年かけての壮絶な戦いでした!!!

父が他界した8年前には、家を手放すことは決まっていました。
父が残した借金、滞納した税金などで
抵当に入っていた家は公売になりました。

買い戻すこともできましたが、
弁護士に相談したところ、
これからかかる費用のほうが上回るため、すべて相続放棄したほうがよいという結論に至りました。
(相続放棄の話は、いつか別の記事にしますね)
その家がいよいよ買い手がついたため、母は引っ越すことになりました。
(実家じまいの話も、また別の記事で詳しくお話しますね)

今回のテーマは、親のお金の話
相続できるプラス財産ではなく、親の借金や消費のお話

もちろん、しっかりとした知識と知恵を持って自己管理できている親御さんもたくさんいらっしゃると思います。

ただ、多くの昭和の親世代は、
お金を稼ぐことや、貯蓄の知識はあっても、
消費の知識があまりないことを、
わたしの両親の事例をご紹介することによって皆さまに知っていただきたいと思います。

親がいよいよ高齢になり、判断能力が欠如し、情報に疎くなったとき、
子であるあなたはそれにいち早く気づき、対処できるかは重要な課題です。

そして、
親の問題だと思っても、実は子であるわたしたちに重くのしかかってくる重要な問題なのです


くわえて、
いつか自分たちも高齢になるそのときを迎えるにあたり、
自分のためにも準備しておく必要性を感じていただけたらと思います



いま、離れて暮らす70代以上の親御さまをお持ちの皆さまにはぜひお読みいただきたい内容です。
内々の恥であり、わたしの失敗でもありますが、お読みくださる皆さまのお役に立てましたら幸いです。

必要な皆さまのもとへ届きますように・・・


*****


昨年、60年近く商売をしてきた母が、最期の店を閉めることになり、
金銭的にもいよいよ切羽詰まって、
ようやく明るみになったさまざまな事実がありました。
それはとんでもないことばかりで、びっくり仰天、まさかの連続で、
あきれ返るのと、怒りと、悲しみと、軽蔑と、
さまざまな感情が爆発したこの一年でもありました。


年老いた親がどれだけ無知だったかを知りませんでした

両親は長年にわたって、地元で飲食店を数軒経営していました。
繁盛していたころは、住み込みの従業員がいたり、アルバイトも入れると30名近い従業員がおりました。
両親が若い頃には、お金を借りに来て踏み倒したり、売上をそのまま持ち逃げする人なんかもいたようです。

生命保険屋には、頼まれて高額な保険にいくつも入らされたり、
田舎育ちだからなのか、とにかくお人よしで、
擦れてないというのか、騙されやすいというのか、無知というのか、
両親はそれでも人を信じていました。
だから、稼いでも稼いでも家にお金が貯まることはありませんでした。
(もちろん、その分相当使ってもいました)

そんな家ですから、
だんだんと両親も借金することに対して、麻痺していったのでしょう。
商売をしていると日銭が入ってきますので、
店を開けていたらいつか返せると疑っていなかったのだと思います。
真面目に働くことだけが取り柄の両親でした
しかし、父が透析患者になった頃から、内情は立て直しが効かないところまできていました。

かけていたいくつもの高額な生命保険は、父が勝手にすべて解約してお金に換えたようです(貯金していたら今頃どれだけの財産になったことか)。

そして
驚きなこと1つ目は

国民年金を辞めたこと  

です。
当時は、年金事務所から定期的にお知らせが届く時代ではなく、
いまのようにブログやYouTubeで情報を得ることもできない時代ですから、
毎月集金にくる年金事務所の職員に相談するしか思いつく方法はなかったと母は言います。
その人が、「年金、辞めても大丈夫ですよ」と言ったようです。

その言葉を疑うことも確かめることもなく、
簡単に国民年金を辞めてしまったわけです。

その後、父は、障がい者1級になりました

わたしは、その当時30代になった頃。
芸能の仕事から、新卒採用の請負や、いまの研修講師へシフトし始め、同時に起業した頃。

恥ずかしながら、自分でようやく国民年金や厚生年金などの知識を持ち始めたわたしは、
航空会社を退職してからの数年間、売れない女優をしていたものですから、年金を親が払ってくれているものと思っていました(わたしが甘かった)。
なぜなら、納付書がわたしの手元に届かなかったからです。
当時、よく引っ越しをしていたわたしは、現住所を実家においたまま変更していなかったため、その数年間は実家に納付書が届いていたようです。
母に確認すると、もちろん代わりに払っていないし、納付書は廃棄していたとのこと。
一言教えてくれよ!!と。
わたしは急いで年金事務所に問い合わせし、未納分を遡って少しずつ後納できました。

透析患者である父に、障がい者年金の話をしました
当然ながら、その存在を父は知りませんでした

これが驚きの2つ目です。
わたしのように後納して、なんとか少額でも年金が支払われないものかと、
父を急かして年金事務所に相談にいくようにいいました。
結果はNG。
すでに後納できる時期は過ぎており、たった数か月分足りないとのことでした。
当時の障がい者年金はわりと金額もよく、
1日おきに半日かけて透析をしながらふらふらになって働く父の姿を見ておりましたから、とても気の毒に思いましたが、それも自業自得。
無知というのは、こうやって貧しく苦しくなっていくものなのかと思い知らされました。

その後、父は他界し、母一人で店を経営していくこととなりました。
父の生前から、月末の支払にお金が足りないと母から連絡があれば、
わたしからの金銭的援助を続けていました。
いま思えば、それが逆効果でした。
このタイミングで問題解決をするべきでした。
ただ、わたしにも何をどうしたらよいか、当時はわかりませんでした。

父がいなくなっても、母もそれまで何十年も経営者だったわけですから、
最低限のお金の知識については知っているものと、緊急な介入の必要性を感じませんでした
父が亡くなって、もうお金の苦労は終わったと、わたしはむしろ安堵していました。まさかこの後、実家の家がなくなるなんて思いもしませんでした。

お金が足りないといつも言っていた母

父が亡くなった直後から、
母には、これからの残りの人生をどうやって過ごしていくのか、
金銭的なことだけでなく、これからの生き方をよく考えるようにと何度となく促しましたが、
母はいつも「考えてるわよ!」と反論はするものの、
実際は「どうしよう、どうしよう」と頭の中でぐるぐるとさせること以外できない人なので、いつまで経っても問題は整理されず、解決もされず、時間だけが過ぎていきました。

父が他界する以前から、なぜそんなにお金が足りないのだろうと疑問には思っていましたが、父が他界してからもずっと、支払にお金が足りないと言い続ける母
公売になったため、買い手がつくまでは家賃の支払いもない。
高齢者が一人で暮らすだけなのに、なぜそんなにお金がかかるのかと、ずっと疑問でした

店の仕入れや価格を見直し、家賃交渉もしましたが、
問題はそこではありませんでした。

いよいよ母に体力の限界がきて、「店を閉めたい」と言い出したため、
無職になってこれからどうやって生活費を捻出するか、ようやく具体的な話をしました。

年金を途中で辞めてしまってはいるものの、
制度改正により、微々たる年金はもらえるようになりましたが、
もちろん生活できるまでの金額ではありません。

わたし自身も、相続放棄はしたものの、親がお世話になった人に借金をしていたため、
母が商売を続けるためには不義理はできず、
親に代わって返済するために、生命保険を解約したり、貯金を使い果たしてしまったため、自分自身の老後の貯金もなくなりました。
このままでは共倒れになる可能性もあるため、これまでのように、わたしからの援助はあてにしないでほしいと母には伝えました。

ここまできてようやく、母のお金の流れがどれだけ異常だったかを具体的に知ることになります。


自分で運転をして仕事に行っていた母。
乗っていた車が古くなって、車検も値上がるため、新車に買い替えたいと。
ただし、高齢の母名義ではもうローンが組めない。
わたしとしては、もう免許返納してほしい。
しかし、母が生活や仕事を続けていくのにどうしても必要だと折れないため、仕方なくわたし名義で車を購入しました。
(わたしの人生初の車のローンが母のための車でした。泣)

それも、ヤナセで購入してきた車を国産車や中古車にすることを勧めると母は激怒!(なんてプライドの高い母親!と思いましたが、情報に疎い高齢者は、優しくしてくれる営業マンの存在に頼りがちな傾向があります


わたしでは埒が明かないため、親戚やわたしの連れに間に入ってもらい、ようやく治めたのが数年前のこと。

そのとき、「自動車保険は自分でやるから」と、なぜかそこだけ強く言ってきたため、その通りにしました。
後でわかることですが、母はこれまで付き合いのあった保険屋(店のお客だったよう)に頼んでいたようでした。


こういう「お付き合い」ビジネスが昭和にはゴロゴロしていたわけです


そして昨年、経営していた店を閉めたのと、公売で家が売れたため、
母の引っ越しを機に、わたしが車を引き取ることにしました。

母が入っていた自動車保険がちょうど満期と重なり、あらたな保険に入り直すことになったため、
これまでどんな保険に入っていたかと母に訊ねると、「よくわからない」と。
毎月いくら払っていたかとの問いには、「月々2万」と。

え!!!自動車保険に月々2万?!

これが、驚きの3つ目です。

高齢の母親は、自動車保険に月々2万円支払っていました。
これを親世代は高額だと思わないわけです
他の人がいくら払っているかを知らないからです。
高齢者には比較という概念がありません。Amazonでネットショッピングもしないし、アイミツなんて取らないんです。
だから、テレビショッピングが爆売れするわけですね。
高齢に加えて、長年商売をやってきた自負、昭和世代の正常性バイアスが疑うことをさせなかったのだと思います。


保険屋からは、
以前事故をしたことと、
高齢者ドライバーであることも加算された理由と聞かされていたようですが、
それを差し引いても詐欺レベルの高額過ぎる金額。(普通はせいぜい年間で数万円程度)
このとき、保険屋を訴えることも考えました。


どうやら、父の生前から何十年も更新してきた保険なのだとか。
父が糖尿病の後遺症で目の手術をするまでは、両親はそれぞれの車を所有していたため、
ざっと見積もっても、高級車を1台買えるほどのお金をドブに捨てたと同じ

わたしはひっくり返りました。

ほかにも、同じ保険屋で自宅の火災保険も加入していたようで、
地震保険からなにからすべて言いなりに契約していました。
すでに公売にかかり、自分の家でない住まいに対して。

驚くことはまだまだあります。
驚き4つ目は、さほど広くない戸建てに高齢者一人で住んでいて

電気料金が
これまた毎月2万円以上かかっていた!

とのこと。

おそらく、家族3人で暮らしていた30年以上前のままのアンペアを直さず、当時の基本料金のまま見直しをしていなかったためかと。
加えて、冷蔵庫などの家電も大きくて古く、電気料金がかかるものばかりだったのかと。


そして驚き5つ目。お金がないのにもかかわらず、

生命保険は70代で月々数万円もかけていました

これは以前、ある事情で義理の母の生命保険を見直ししたところ、月々8万円も払っていて驚き、
ついでに母の保険も見直したときに発覚しました。


母は、後期高齢者になれば医療費がほとんどかからないことや、そもそもの高額医療費制度があることは知っていても、具体的な内容を知りませんでした。
個室代だとか、差額ベッド台なんて、保険料の分を貯金すれば贅沢な入院ライフができるだろうに!!

だからいつもお金が足りないと言っていたのかと。
こんなにも無知な親だったのかと
あきれ返りました。

娘がひとりで懸命に働いて得たお金を、
こんな無知な親が、
無駄なお金の補填のために使ったのかと思うと、
怒りと悲しみを言葉にできませんでした。
都内で安い中古マンションを買えるほどの金額を親に使いました。


高齢の親たちは、自分たちが当たり前にしてきたことに対して疑問を持ちません。
もちろん問題意識もありません。
情報源はテレビしかありません。

子であるわたしたちも、自分たちの人生や生活で手一杯で、
何か起こらないと問題として気づきません。
ましてや離れて暮らしていれば尚更

どうか、
離れて暮らす70代以上の高齢の親御さまをお持ちの皆さま、

親御さまのお金の流れを
これをお読みいただいたことをきっかけに一度全部見直していただくことを強くお勧めします。

たとえば、

  • 携帯電話料金と契約内容

  • 自動車保険、生命保険、火災保険など、その他の加入保険

  • 月々の光熱費と契約内容

  • 借金(特に税金未払いは子にもマイナス相続としてやってきます)

  • その他の支払いすべて

ちなみに、親はときどき子に隠し事をします嘘をつきます
親の威厳のために、弱みを子に見られたくないのでしょう。
ですから、一回では真実に到達しません。
父にも何度となく問いただしましたが、そのたびに「借金はもうない」と言っていましたが、結局、家が無くなりました。


いま考えると、父は、
自分が亡くなればすべて借金はチャラになると思っていたのかもしれません。
消費税は、残された家族が相続放棄しても逃れられないことを知らずに亡くなったのかもしれません
そのことを母も知りませんでしたから。


わたしの母が抱えるさまざまな問題は、まだ解決の途中です。
まだまだ隠れた問題に驚くことがこれからきっと出てくるんだと思います。
勘弁してほしいです。
こんなとき、ひとりっ子は非常に辛いです。

ふぅ~
今回は、書きながらも精神的にしんどい内容でしたが、
皆さまのお役に立てましたら、わたしのこれまでの苦労も少しは癒されます。

今回はこのへんで。
最後までお読みいただき誠に有難うございます!

おしまい。




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