他人の言葉でショートショートを書く #3
はじめに
外出自粛で暇すぎて、このままだとなんかどうにかなりそうだなって唐突に思い、友人から貰ったキーワードでショートショートを書いてみます。
そもそもショートショートを知らない知能レベル3のお猿さんと比べた時には幾分かサルの方が賢いのではないかと疑われているでろうあなたのために一応説明すると…
主に、短編小説より短い小説のことを指す。特に決まりがある訳ではないがアイディア重視ではっきりとオチをつけたものが多い。代表的作家は日本では星新一、海外ではフレドリック・ブラウンなど。(ニコニコ大百科より)
「・・・」
僕も実はショートショートの意味を初めて知りました。今回は依然TOKYO FM系列のラジオ番組にご出演させていただいた際に、素敵なMCで慣れない自分をリードしてくださったON THE PLANETの綿谷エリナさんから頂いたワードです。
出演時のウラガワも撮らせていただいたのでその時のYouTubeはこちら▼
https://youtu.be/IK5ks8LpYD4
アイスクリーム / 歯磨き粉 / ネイル / 電話 / トースター / 近所のクリーニング店 / カエル / 多肉植物 / テーブル / 相対性理論
今回も特にショートショートを書くことを前提とせず、下さったのかなと思います。それではいざ。
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ショートショート「あいまいさ」
リーン!
朝一番にトースターが鳴った。みみを傾けると、近所のクリーニング店でズボンを洗い終わったという電話だった。ズボンに足を通すと、適度な着圧感があり、どれだけ飛び跳ねても疲れないのだ。
多肉植物に腰を下ろし、水切りをするとよく跳ねそうなテーブルで朝食を食べる。時間は絶対的なものだと思われていたが相対性理論の一説によると、実はそうではないと証明できるらしい。
確かに私も物凄く集中して目の前を通り過ぎる光速物を捕まえて食べる瞬間、時間がゆったりと流れている様に錯覚する。風のない日に水面で揺られて過ごすあの時も同じような気持ちになる。
チョコミントアイスクリーム味の歯磨き粉は、甘くて洗い心地がスッキリしているからお気に入りになった。今日のビデオ会議では、春に生まれてきたお子様たちの指導要領について話す予定だ。
「新型コロナの影響で教育カリキュラムに遅れが出て、私の子供が立派なカエルに育たなかったらどうするのでざます!」
モンスターペアレントは怖いな。あー冬眠し損ねればいいのに…。ふと指先を見ると、この前の無理なジャンプがたたりネイルが落ちかけていた。両生類は保湿には強いが、ジェルネイルのジェルが定着しづらいためぬるぬると流れるのがたまに傷だ。
あとがき
今回の話の中では本来使われる用途とは違うはずなのに、その場面にあったとしても決して間違いと断言できない"あいまい"な感じを楽しんでみた。僕の感覚にある"あいまいさ"を表現しただけだ。
動物や植物にも思考があるのではないだろうか?僕は何かの気持になって妄想するのが好きなので、今回のショートショートの主人公は「カエル」にしてみた。カエルに爪があるのかもわからんし。ズボンをはくのかも知らない。トースターからパンが飛び足してきた"チーン"という一連の動作は、黒電話が鳴った時のリーンという感じに近くないだろうか。そして僕らがトースターを使っていて手に取るのは耳は耳でもパンの耳。アインシュタインはどんな世界に見えて相対性理論に至ったのだろうか。人間は意思疎通が言葉で出来るので結局理解できなかったりする。その気持ち悪いあいまいな感覚をその人にあてはめたときにできた言葉が、個性なのではないだろうか。