漢方仙人による漢方逸話『激しい咳には神様"白虎"の出番じゃ』の巻
今回は五虎湯(ごことう)について説明するとしよう。
五とか虎とか名前が変わっている漢方薬じゃ。
この処方は「せき」に使うのう。
秋は気温の寒暖の差が激しくなる季節で、それに伴い咳などの症状が多くなるのじゃが、かぜやぜんそくなどの幅広い咳全般に使われる処方じゃ。
漢方的には五虎湯のタイプは「肺熱の咳」という症状に該当するのう。
肺の熱、すなわち呼吸器系に熱があることによる咳じゃ。
特徴としては、比較的激しい咳、かぜの場合は発熱、体が温まると悪化する、痰が黄色く粘着性などが該当するのう。
対照的な「肺寒の咳」は普通の咳、かぜの場合は発熱、体が冷えると悪化、痰が無色透明水様性、鼻水などで、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)が使われておる。
五虎湯の中心生薬は石膏で、呼吸器系を冷やしながら炎症を取る作用があるのじゃ。
一般的な漢方薬は、温める効果も含めて白湯で飲んだ方が良いものが多いのじゃが、五虎湯は冷水で服用したほうが効果は高まるのじゃ。
ネーミングに虎という字があるのじゃが、これは古代中国の白虎(びゃっこ)という神様から引用されておる。
この神様は白い虎の形をして西を守る神様。旗印は白で石膏という生薬も白なので名前に使われておるのじゃ。
幕末の会津藩の白虎隊にも現れておるのう。
今回はここまでじゃ。
読者の方に少しでも興味が生まれ、漢方に触れるきっかけになれたなら嬉しく思うのう。